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◆松岡和子訳『じゃじゃ馬馴らし シェイクスピア全集20』ちくま文庫

 Netflixで最近のラブコメを見るとカップルたちはそれぞれの場所で各々の夢を追いながら共に成長していくパートナとなりました、という時代において、解説にもあるように19世紀末から、じゃじゃ馬馴らしは時代に合っているのか?という議論があったとのことだから、そうだろうと思う。キャタリーナ最後の長台詞の内容はどうしても違和感が強くなってしまう。けれど、私にとって長く暗い道のりだった『ヘンリー六世』読了からの今作は、舞台も登場人物も文の調子も全く正反対の喜劇だ!と終始、太陽が燦々と降り注いでいるようだった。舞台はイタリア。読書中に『ルネサンスの女たち』と『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』も読んだものだから、「知ってる知ってるこの地名!」「え?もしかしてイザベッラ・デステのところ?」など背景の臨場感も良かった。序章も含めてこれはあの時代の”関白宣言”のようなものだったりするのかなぁ、キャタリーナとペトルーチオはあーだ、こーだと言いながらも結局最後は”Kiss me, Kate""あんたほんま最後そればっかりやがな!"とか言いながら、いいコンビでお互い幸せに暮らしていくんじゃないだろうかと(これは好意的に解釈しすぎなのかも知れないが、そうしたくなったほど)読後も楽しいドタバタコメディーだった。

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