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銭湯で出会った新ワード「タイムトラベルミュージック」


いつもの如く仕事終わりに銭湯に行くことにした。

近所にもお気に入りの銭湯が幾つかあるけれど、その日は散歩がてら少し離れた町にある、初めて訪れる銭湯にした。


銭湯ひとつにしても土地ごとで客層や料金システムやルールひとつにしても色があって面白い。
次はどこ攻めようかとか考えながら、1人で勝手にスタンプラリーやってる気分で知らない場所にも好んで行く。(その後の近隣の酒場探しが楽しみというのも理由の一つでもある)


ちなみに女湯では主婦やシニア層が晩御飯の準備や早く就寝されるという方も多いので、22:00以降は一気に人がガラッと少なくなる。

勿論風呂だったり、カランの取り合い、ドライヤーの順番待ちとか、人の動線をソワソワと視野見で次の自分の行き場を確認する必要がなくていいからあえてこの時間を選ぶことが多い。


わたしは密かにそれを女湯の「ゴールデンタイム」と呼んでいる。


そしてわたしの読み通り、銭湯にはちらほら人は居たものの、サウナユーザーはわたしのみだったので(番台で渡される専用タオルで分かる)、ゼロ真顔のまま気持ちだけ小躍りくらいはしておいた。


そこのサウナ室のBGMはラジオだった。
無音の方が好みではあるけど、テレビじゃないだけでありがたい。アレは完全に邪念が入ってしまう(気がするだけ)。

ラジオの周波数はFM802。

幼少期の頃、自宅で仕事をしていた父親がエンドレスで付けていたので、物心ついた頃から802のDJの声は耳馴染みがあって好きだった。(特にマーキーが推し)


番組は落合健太郎のROCK KIDS 802が流れていた。

今月のヘビーローテーションが流れ、はじめて聴くバンドやなとかなんとかぼんやり考えながら黙って聴き入っていると、リスナーからの一通のお便が読まれた。

「青春時代によく聴いていた音楽がどこからか流れてきたり、誰かがカラオケで歌ったりするのを聴いた時、その頃の情景や記憶がふと蘇ることがありませんか?」


あー、あるよー、あるあるー。

そしてどうやらその現象を「タイムトラベル・ミュージック」というらしい。

自分のまだ短い(はずの)人生の中でよく聴いていた音楽はたぶん何百曲とかはあると思う。

そしてそれが日常生活を過ごすうちに忘れていた(気にする事でもないというか)ことも、ラジオとかテレビとかSpotifyのシャッフル機能とかで、一曲一曲にまつわる事件や出来事が、なんだかちょっと前にあったことのようにフワッと思い出させてくれる瞬間がある。


例えば昔の恋人が好きだった曲が流れて「あの頃あそこの河川敷でよく遊んだなぁ」とか。
大学生の頃、友達と朝まで馬鹿騒ぎして歌った曲で「そういえば大学の横の喫茶店の塩焼きそば、好きだったなぁ」とか。
そういう些細で小さなタイムスリップが音楽ひとつで出来てしまう。

なんだかいいな、タイムトラベルミュージック。



ちなみに余談中の余談、わたしの場合はHYの「それで〜もいーいーーーーーー」がどっかその辺で流れてきたら、高校一年生の頃「赤い糸」というドラマ(の主題歌だった)が当時バチバチ流行っていて、クリスマス前日に大好きだった彼氏に突然フラれて淀川河川敷を自転車漕ぎながら爆音で聴きながら帰った(白目)という、今思うとほんまに黒歴史andダサ過ぎておもろ恥ずかしい事件にうっかりタイムトラベルしてしまう。


今まであまりその現象をわざわざ気にしたことは無かったけど、改めてそのタイムトラベルミュージックというワードが新鮮に感じて面白いと思った。
滑稽ではあるけど、全裸で。サウナ室で。

現場は門真にある、「みやの湯」さんにて。

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