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恋の始まりは豚足から。



マッチングアプリにしても、紹介にしても、ナチュラルな出会いにしても、わたしが初めて男の人と2人で飲みに行く時に、必ず行く店がある。


大阪・なんばにある
【豚足焼肉かどや】という店だ。



その名の通り、ここは豚足が有名。

サムネイルでも一目で分かると思うが、お世辞にも綺麗でおしゃれな店とは言えない。
なんならむしろものすごく汚い。

毒毒しいピンクのおしぼりが奥の洗濯機で繰り返し洗われて渡され、着席してから30秒で豚足と共に凍ってしまいかけのキンキンに冷えた大瓶が提供される。

タバコは吸えるので喫煙者にはありがたい。
が、灰皿はない。床にブチ投げるのだ。
貞操観念と倫理観が失われる体験を味わえる。


豚足は箸を使うのではなく、自身の両手で鷲掴みにしてしゃぶって食べる。
豚足のぶりっぶりなコラーゲンで口の周りをビッチャビチャにさせまくりながら、しゃぶってしゃぶってしゃぶりつくすのだ。

ワセリンでも塗りたくったような口周りをピンクのボロ雑巾で拭って「大瓶もう一本!」と叫ぶわたしの姿を見て、
店の雰囲気に圧倒されドン引きして苦笑いを浮かべている男性を横目で見てしまうと、
こちら側も自動的にこれにて終了〜⭐︎となり、
どれだけ高身長高学歴イケメンであろうが二度と食事にはいかないのがマイルールなのだ。
というかそもそもあっちも願い下げだと思うので、もうこれはWin-Winだろう。


逆に、「淀川ちゃん、こういうところ好きなんだ!僕もこういう店大好き!!」と素直な気持ちで言ってくれる人なら、是非またご一緒したいなと思える。


偉そうに言うようだが、わたしは食の趣味が合う事よりも、食の価値観の一致が非常に大切な位置付けにあるので、
これが一番手っ取り早く、何度もデートを重ねなくてもいいなと思える方法なのだ。


そして、かどやで苦笑い男子が連れて行ってくれる店でも、
逆のパターンが起こりうる可能性がある事も分かっている。


こ洒落た内装、綺麗な盛り付けの料理とボトルのワイン。
勿論美味しいのだろうが、かどやで苦笑い男子と同じ挙動になっているだろうと思う。
たまのお洒落なお店も好きではあるけれど、
これからもずっとこんな店ばかりだと落ち着かない。しんどい。ソワソワする。
こういうお店では何食べても美味いので、食の趣味は合うのかもしれないが、食の価値観はここでは測れないと思う。


極端な話、クリスマスにホテルの豪華なコースのディナーへドレスアップして出かけるよりも、
いつもの格好でかどやに赴き、庶民的な豚足デートをする方が、私にとってはよっぽど豊かに思うし、そういう人とこの先ずっと一緒にいたい。



しかしながら、ここ8年ほどのわたしの恋は全てかどやから始まってしまっているので、
恋人と初めて行った思い出の店=全員もれなく同じ店だということは、彼らには口が裂けても言える訳がないので、こればっかりは墓場まで持っていくチャレンジをしてみようと思う。


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