【随筆】論理的に最強の金銭感覚
頭の中に貸借対照表と損益計算書が書ければ最強の金銭感覚ができるんじゃないかという話。
金銭感覚批判
「子供にとっての1万円と大人にとっての1万円は価値が違うので、子供はどんどんお金を使っていくべきだ」という話があるように、同じお金でも価値は全然違う。
世の中の人たちの金銭感覚は全く理性的ではなくて、ATM手数料に払う300円は高いというのに、飲み屋では平気で1000円する日本酒を注文する。
はっきり言おう、300円は一喜一憂する額ではない。ドル-円は1日に0.5%変動することはザラである。このとき、ドルベースで見たら10万円の貯金がある人は500円程度の貯金の価値変動がある。貯金1000万円なら5万円が1日に変動しうる。にもかかわらず300円で一喜一憂するのはダブルスタンダードだ。
お金というのは基本的にインフレを起こすものである。健全な経済では約2%/年程度の物価上昇がある。お金はすぐに使うかモノや経験や人間関係という財産に両替したほうがいい。
また、私なんかは自分の将来の年収に対してある程度希望的観測を抱いているので(今は学生なんだから働いたら年収が増えるのはあたりまえ)、お金の価値が将来的に下がっていくことを予期した投資行動をとっている。
倹約重視批判
日本人は特に倹約重視すぎる節がある。食費を抑えるために自炊をすることを考えよう。
仮に外食した場合800円かかり、自炊するなら400円とすると、差額は高々400円でしかない。1日3食で年額40万円の差額しかない。自炊するということは1日1時間程度の時間を失うことでもある(買い物・調理・洗い物含む)。年額40万円のために年360時間を失うことは妥当だろうか。
労働時間以外の時間を時給換算することは世の中では「シャバい」とされ忌避されがちだが、目安をつけるためにはいいことだと私は思っているので、ここではそうさせてもらう。
なんと、自炊というのは時給400円なのである。
結論として外食のほうがいい。同じことは掃除・洗濯等にも言える。
私なんかは自分の時間の価値を1時間5000円と設定してものごとを考えている。時給5000円よりもコスパの悪い節約はやらない。料理をするのもそういう気分になったときだけだ。
通常の会計ではないことだが、私は時間を資産の部に入れて頭の中で会計を行なっている。だってそうだろう、時間の価値がないなんてことはない。
節約のキホンとして、たとえば支払いを全てクレカ払いにしてポイントを貯めるだとか、サブスクを見直すだとかがある。これらは1回そうすると決めたらずっと適用されるからコスパがいい。こういうものだけやればいい。
節約しやすいものをやり尽くしたらのこりは節約しにくい物事しかない。それ以上できることはないから諦めたほうがいい。
節約しやすいものをやり尽くしたら、次は収入を増やす方に目を向けたほうがまだいいんじゃないだろうか。
複利感覚の欠如批判
貯金というのは、ちゃんと投資行動をとっていれば
$${貯金額_{t+1} = 利率\times貯金額_t + (年収 - 支出)}$$
で変動していくわけだ。
ということは、貯金していくにあたって貯金額がない序盤は(年収-支出)の項が優勢だが、貯金が増えていくにつれて複利効果が大きくなるという現象が起こる。
自分がどのフェーズにいるかという認識がみんな足りていないように思える。「投資して複利で増やしたいよね」とバカの一つ覚えのように繰り返してなんとなくNISAを始めるような人たちばかりだ。複利効果が優勢になる閾値がいくらくらいだとかをしっかり計算すべきだ。
そんでもって貯金目標を立てていく。そしたら、人生の今のフェーズでお金をお金としてためていくべきなのか、あるいは人間関係や事業に投資していくべきなのか、自ずと見えてくるだろう。
というような感じで、みんなの金銭感覚は論理的にただしくないよねというどちらかというと批評に近い感じの話でした。乱文になったから今回は随筆扱いにしておこう。
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