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【1分小説】父とジャム瓶

うちの父って、瓶の蓋を緩く閉めるんですよ。
毎朝ヨーグルトに入れるブルーベリージャム、結構大きい瓶だから、きちんと閉まっていないと持つ時に危ないんです。蓋がついてる系は全部そう。だからペットボトルとか、お弁当のスープジャーとか。
僕、高校の時実家で弁当係だったんですけど、洗い物出された時も緩く閉まってて保冷バックに若干染み出してたんですよ、味噌汁が。一回ほんとに言いましたけどねちゃんと閉めろって。

でもそんな父なんですが、握力は97kgあるんです。ガチです。
ラガーマンでしたし、他にも色々やってたこともあってマッチョです。立端もあるんでちょっと怖いかもですね。僕も父に似たのかな。性格も体格もどちらかといえば父譲りだと思います、髪と横顔は母に似てるって、妹から言われますけど。
だから目上の人や女性と接する時、怖がられてないかとか、物を雑に扱っていないかとか、ちょっと心配なんです。

あ、僕こんなですけど花が好きで。香りも見た目も、育てるのも全部好きなんですが、なんていうかな、一緒にいると柔らかい気持ちになるんですよね。でも、最初のうちはうまく育てられませんで、花咲かせる前に枯れさせてしまったこともありました。繊細なものを扱うって、力加減がわからなくて。毎日優しく丁寧に接したいなって、思ってるんですけどね。

あ、今はちょうどブルーベリーの花が咲いてますよ、華奢な白い花で。
見て、いかれますか。

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