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🇯🇵日本

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幼少期、学生時代の懐かしエピソードや、 日本へ帰国した歳のポンコツ体験談等。
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10冊のキングダムを前にして128ページ目あたりで行ったり来たりしている話

10冊のキングダムを前にして128ページ目あたりで行ったり来たりしている話

まず、10冊のキングダムを前にして1巻目の128ページ目あたりで行ったり来たりしている事は幼馴染のタカノには内緒だ。
なぜならばキングダムをすすめてきた張本人がソイツだからだ。

前々からゴリ押しされているのは気が付いていて、なんとなく知らないフリをかましていた。
で、本日もキングダム熱をゴーゴー言わせながら語り散らかしているタカノの横で、キングダム熱風に2時間弱さらされ続けた私は、その間も結構頑

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ギャル、なぜアメリカへ

ギャル、なぜアメリカへ

男の子みたいな髪型をした7歳の私をシャッターの光が大きく飲み込むと、間も無くしてそれが世界へ渡れる旅券に載り手元へやってきた。

初めてのパスポートは青かった。

韓国行きの飛行機の中で前列のシートの隙間から男の子が顔を覗かせ、私はその子と友達になろうとちょっかいを出したが、日本人ではない事に気がついたのはそう遅くはなかった。男の子の母親が同じ隙間から私を覗き、会釈する姿はまるで日本人そのものなの

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一座布団入魂

一座布団入魂

人生初のお葬式だった。

夜中の電話で飛び起きて、受話器を置いた後も母は母親を見事にやり遂げた。

「どうする?一緒にくる?」

小3の甘ったれに、こんな馬鹿デカい祖父母宅で留守番する勇気などあるはずも無い。

「いく」

眠たい目を擦りながらも事の重大さに気がついていた私は、モタモタしていると置いて行かれると悟っていたので力の限りサッサとした。

夜中の病院はまるで戦慄迷宮。
今でこそホテルの様

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カルビ、 宙を舞う。

カルビ、 宙を舞う。

父の親友が経営する焼肉屋は、ローカルでは名の知れた貴重なブランド牛が出てくる店で、ユッケのユの字も知らなかった小学生の私のベロに革命を起こした場所でもあった。

「騙されたと思って食ってみろ」

この言葉には微小だが私の好奇心に魔法をかける力があり、疑わしい物も一口だけは口に入れてみようという勇気をくれる。

扇の様な林檎のスライスを半分下敷きに、黄金に輝く黄身を担いだ赤い生肉。ユッケという名前が

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野良犬と私

野良犬と私

小学校への道のりは地獄だった。
私の家は田舎町の中でも、比較的都会と呼ばれる方に位置していたにも関わらず、縦長の学校区内にギリギリ、インしていた為、毎朝学校まで過酷な上り坂と戦う羽目になった。「インッ」って、旗持ったジャッジを恨みたいくらい。まぁ、誰が自宅をインしたのか知らないけども。

片道35分、体感2時間。小学生の私は頑張った。身長が縮む程重いランドセルを背負って山越え、谷越え小学校へ向かう

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上履きのシンデレラ

上履きのシンデレラ

いやぁ、いいね、実に良い。
今日は街で制服デートしてる高校生をみかけて、

くぅぅ〜、青春だねぇぇ
っつってもう少しでおばちゃんお小遣い渡しちゃうとこだったよ。

これでポン・デ・リング食べといでって。
古いか。
今は、あれか、スタバか。
それも古いか。

いやぁしかし
制服っていいよね。

制服なんてもぅ何十年も着てないなぁ。
職場も私服だし。

まず、楽でいーよね。
楽なのにシュッとするし。

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母がついた嘘

母がついた嘘

小学校三年生にもなると、お手伝いを覚え ''小さいお母さん '' を演じるのが楽しかった時期があった。

「こぼさないように!」

「へいへい、すぃませんねぇ、お母さん」

いつも自分が言われている事をいっちょ前に父に注意し、父もそれを面白がった。

当時のマイブームといえば、家中の水回りを掃除する事。隅々まで綺麗にしてから最後にお風呂場の壁を一気に流すと淡い色の付いた水がサーッとタイルを伝って排

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