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永遠の名盤『A LONG VACATION』『EACH TIME』大滝詠一×松本隆の世界

学生時代に毎日聴いていた『A LONG VACATION』『EACH TIME』は永遠の名盤と思いたい。
今もCMでよく流れているので、聞いたことがある方は多いはず。
きっとそうやって、ずっと歌い継がれる、聴き継がれる名曲として残っていくのだろう。

優しくほっとさせてくれる声、さわやかな『大滝サウンド』もさることながら、全曲 松本隆の歌詞は、ちょっと背伸びしてこんな恋がしてみたい、と思わせてくれる、憧れの世界だった。


『A LONG VACATION』より
「君は天然色」

『A LONG VACATION』を聴くと、思春期の夏にタイムスリップできる。
洗練された歌詞は、「ショートムービー」のように、美しい、夏のラブ・ストーリーを想像させてくれた。


「カナリア諸島にて」

音源を探していたら、そっくりにカバーしていらっしゃる方がいてびっくりさせられた。
2013年に突然亡くなってしまったので、ご本人が生き返っているような歌声は、ファンなら涙が出るほどうれしい。

たとえ「大滝詠一のそっくりさん」であっても、心に響く歌を届けられるのだから、私には「ホンモノ」に思える。


「恋するカレン」

同じクラスに大滝詠一ファンの歌の上手な友達がいて、よく休み時間にねだって歌ってもらっていた。
今でも頭の中の再生ボタンを押すと、彼女の澄んだ声が聴こえる。自分で歌うと自己嫌悪になるのだけれど、彼女の声はなぜか、ピッタリだった。

『EACH TIME』より
「ペパーミントブルー」

今も昔も、一番好きな曲。

なぜこの曲を飽きもせず、毎日毎日聴いていたのだろう。
あらためて歌詞を読んでみると、そこは美しいフレーズの宝庫だった。

【ペパーミントブルー】

眠るような陽を浴びて
君はブロンズ色
南向きのベランダで
海を眺めている
やわらかな前髪のカール
憂いがちな眼を隠す

風はペパーミント
ブルーのソーダが
指先に揺れている
斜め横の椅子を選ぶのは
この角度からの君が
とても綺麗だから

黙りこんだ貝殻が
深みできらめくよ
そう 大事なこと
ぼくはまだ 話し忘れてたよ
沖をゆく客船の汽笛
旅に誘っても ここを動かない

風はペパーミント
想い出の日々が
グラスからはじけてる
旧い歌の低いハミングに
口笛でハーモニー
重なる音が溶けて消える
波は時を砂に変え
寄せる…やさしく…

そんな風にぼくたちも
愛せたらいいのに
水のように透明な
心ならいいのに
抱きしめた両手から逃げる
灼きすぎて痛いわって

風はペパーミント
ブルーのソーダが
指先に揺れている
空も海も遠のいてゆくよ
君のはにかんだ
笑顔だけを残して

今になって、やっとわかった。
この音楽そのものに、“”をしていた、ことを。

ななめ横の椅子を選ぶのは、この角度からの君がとても綺麗だから
水のように 透明な心ならいいのに

美しくて哀しい恋。情景が浮かぶ歌詞と何度聴いても飽きない曲を、多感な時期に聴けたことは、今から思えば本当に「幸せ」だったと思える。


『A LONG VACATION』『EACH TIME』は、古くなることのない名盤。聞いたことがない方も、できれば良い音源で聞いてみてほしい。
他にはない、永遠の『大滝サウンド』がある。
今から、理想のVACATIONをイメージしながら、聴いてみるのもいいかもしれない。

ペパーミントブルー」始め、美しい曲ばかりの『EACH TIME』












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