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2024年新刊・特集紹介① 常設・コレクション展特集&ポリアモリー特集

こんにちは、懶いです。年の瀬がいよいよ近づいてきましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。今回から、何回かに分けて、新刊の内容を紹介していきます!


特集① 常設・コレクション展――その見方と通い方

最初の特集は、美術館の常設・コレクション展がテーマです。美術館に行き慣れている人も、企画展を観終わった後にもう一つの展示室に足を延ばすことは多くないかもしれません。いつ見ても同じ、という印象を持っている人も多いかもしれません。ですが、常設・コレクション展には企画展にない魅力がたくさんあります。そこで、メンバーの座談会と3本のレビューで、その魅力に迫ります。

座談会

座談会では、各務文歌、谷川哲哉、吉田理紗、水上ミサキ、懶いの5人が、お気に入りの美術館の常設・コレクション展や、どんな風に楽しんでいるか、国内にどんな美術館があるかなどを話し合っています。

各務文歌「響き合う対話の空間 /京都市京セラ美術館コレクションルーム」

各務のレビューは、公立美術館でありながらリニューアル前まで常設展示室を持っていなかった京都市京セラ美術館(旧京都市美術館)に新設されたコレクションルームの展示を起点に、常設・コレクション展の果たす役割、そしてどのような観賞が可能になるのかを探ります。京セラ美術館を訪れる人はもちろん、これから常設展を見る人のためにもうってつけの試論です。

吉田理紗「八ヶ岳とキース・ヘリングをつなぐ展示室――中村キース・ヘリング美術館 コレクション展評」

吉田のレビューは八ヶ岳の麓にある、世界で唯一のキース・ヘリング専門美術館を紹介します。登山客か美術愛好家でなければなかなか訪れる機会がない私設美術館ですが、その展示や建築を丁寧に読み解くことで、決してマニアックとは限らない魅力が見えてきます。

谷川哲哉「視覚的アラカワ+ギンズ」

谷川は岡山県にある奈義町現代美術館の作品から、難解な荒川修作+マドリン・ギンズの作品を読み解きます。常設されることしかできない、土地と空間と絡み合った巨大な作品は、どんな意味を持つのでしょうか。確かに難解ではあるものの、頭の中だけで計算されるのではない、空間の体験との関わりが見えてきます。

特集② ポリアモリーのタンジェント

合意のもとに複数の人間間で結ばれた恋愛関係を指す、ポリアモリーという言葉、概念、あり方が世間を賑わせるようになって、それなりに長くなりました。イベントが各地で行われているほか、荻上チキ『もう一人、誰かを好きになったとき―ポリアモリーのリアル―』が出版されたところでもあります。

かく言う私も5年ほどそういう風に生活しているのですが、ここでは「ポリアモリーのリアル」的なドキュメントや調査をするのではなく、ポリアモリーというレンズを通して、新規な標語として通り過ぎるのではなく、それとある点を接して遠ざかる様々な事象を考えることを目指します。

コラム1:文学

ヘミングウェイ『エデンの園』の達成されなかった複数婚的関係について。(懶い)

コラム2:キリスト教

ある聖書読解に基づく一夫一妻をやめたキリスト教コミュニティ「オナイダ・コミュニティ」とは?(シラカワタイヨウ)

コラム3:仏教

ポリアモリーどころか性愛に対して保守的なイメージがある日本仏教では、どのようにして現在の慣習が確立されたのか。(足利大輔)

コラム4:建築

建築思想がいかにして(無意識に)単婚性をすり抜け、乗り越える可能性を見せているのか。(中島亮二)


特集紹介②はこちら


次回はもう1つの特集と、特集外の論考についてご紹介します。乞うご期待!

文学フリマでのブース番号も発表されました。1月14日、みやこめっせのさー33でお待ちしております。

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