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結婚式を挙げました

9月。結婚式を挙げた。

結婚式はやらなくても良い派で、やるにしても家族婚でいいかなぁくらいに思っていた私。
対して夫は、結婚式はやりたいし、やるなら友達も呼んでちゃんとしたい派だった。

これを言うとバレるかもしれないが、夫の地元では、結婚式といえば300人近くの人を呼んで行う盛大な行事で。
私はとにかくそれが嫌だった。
夫の家族や親戚に悪いから、嫌だとは最後まで口にしなかったけど。笑

両家の間を取って、という理由を付け。
場所は夫の地元で挙げ、人数は私の地元の感覚に合わせて両方合わせて60人(それでも多いけど)で行った。
幸いだったのは夫が、友達は呼びたいけど地元のソレほど盛大なのはしたくない、と言ってくれたことだった。

300人規模の盛大な結婚式。
ステージがあり、プログラムがあり、次から次へと余興三昧な結婚式。
それはそれで楽しいのだろうけど、私はそういう大勢の集まりがあまり得意では無いし、出来れば本当に仲の良い友人だけを呼んで、たくさん話したり写真を撮ったりしたかった。
だから夫が、余興無しの少人数に賛同してくれた時は心からホッとした。
これももちろん、夫の親族には死ぬまで言わない。笑

余談だが、結婚式の準備でよく夫婦喧嘩になると聞くが、私たちはとりあえず喧嘩にはならなかった。
子連れということもあり、衣装合わせや打ち合わせはお互い助け合いながらだったし。
結婚式やりたい派の夫が、率先して準備に参加してくれたからだと思う。
ウェルカムスペースは私が全て準備したが、その他は基本的に自分のゲストは自分で、スタイルでやりきった。

終わってみれば、夫の親族からも大好評だった。
これまで盛大な式にしか参列したことが無かったという叔父や叔母も、結婚式は忙しないイメージだったのが、ゆっくり料理が食べれてお酒も飲めて、たくさん話せて楽しかったと言ってくれた。
正直すごく安心した。



挙式は人前式にした。
証人の署名は、20年来の友人をサプライズで指名した。
その友人とは中学生の頃「お互いの結婚式にお互いを呼んで、いつか同い年の男の子を産んで、子供同士を幼馴染にしたい」という夢物語を話していたことがある。
今現在、同い年の男の子のママになっている。
結婚式に呼び合うことも実現した。
15歳の頃の自分たちがそれを知ったら、きっと驚くだろう。

入場して1番に目に入ったのは、白いタキシード姿の夫。では無く。
高校で出会い、その後の職場でも同期だった友人が早々に大号泣している姿だった。
彼女は学生時代からとても芯があって、強くて、でも人一倍優しい子だった。
だから、そんな彼女が泣いている姿を見て、正直少しだけもらい泣きした。

お菓子につられながらリングボーイの責務を果たした息子がお昼寝を開始する中、披露宴が始まった。

出欠確認の締切直前まで、子供を預けられるか分からないから行けないかも、と言っていた友人が手を振って出迎えてくれた。
招待状を送った時、入院しているからと一度は欠席の連絡をもらっていた友人が、退院して参列し、笑顔をみせてくれた。
きっと多少の無理をしただろうに、祝福の言葉を投げかけてくれるのが有り難かった。

中座のエスコートは、サプライズで弟を指名した。
たった一人の姉弟。
小さい頃は引っ込み思案で、私の後ろに隠れてばかりだったのに。
いつの間にか身長も追い抜かれ、逞しい社会人になり、私の前を歩きながらエスコートしてくれる姿に、なんだか不思議な感覚になった。

お色直しを終えて出てくると、前職の同僚が夫婦と子供で話に来てくれた。
顔を真っ赤にして酔っ払っている旦那さんは相変わらず愉快で。
コロナ禍だったためにちゃんとしたお別れも出来ないまま退職して会えなくなっていた同僚は、なんだか懐かしくて泣けてくると目をうるませていた。
同僚と言いつつも年下で後輩だった彼女は、立派にママになっていた。

楽しい時間はあっという間で。
両親への手紙を読む時間になった。

両親への手紙といえば、父親との思い出を語り、母親との思い出を語り、育ててくれてありがとうと伝えるのがきっと定番でありテンプレートなんだろうけど。
定番ってやつが嫌いな私は、テンプレート無視で手紙を書いた。
両親へはもちろん、弟や、来てくれた人たちへのメッセージも込めたかったから。

読んでいる途中、泣いている母親と目が合った。
他にも何人かが涙を流してくれていた。
心友の旦那さんまでもが目を赤くしてくれていた。

退場の時、私が結婚式でどうしても流したかった曲をBGMで流した。
気付いてくれるか分からないなと思っていたけど、友達のようで、仲間のような、年上だけどそんな事は気にならないくらいフラットに接してくれる先輩たちは気付いてくれていた。
連絡先も知らないのに映画を見に行く約束をしたことから始まり、たくさん旅行もして、どんな私でも受け止めてくれた人。
初めましての日には次会う約束をして、何事も全力で楽しんでいて、常に私を青春の渦に巻き込んでくれた人。
出会った日は人見知り全開だったのに、今では帰省する度に会ってくれて、2人きりでガード下でお酒を飲んで語ったりできる貴重な人。
いつも馬鹿なことばかりして、会えば常に大爆笑な彼女たちの涙を、私は初めて見たかもしれない。

そして、父の涙も。


どっちでもよかった結婚式。
きっと、挙げなかったら挙げなかったで、後悔は無かったのだと思う。
その分、他の経験が出来ていたかもしれない。

でも、やってよかったと思う。

絶対やりたい!こだわりたい!というのが無かったからこその感情かもしれないが、何ひとつ後悔は無い。
それくらい、良い1日だった。


いつの日か、緊張で変な歩き方になっていた夫のことを思い出して笑うかもしれない。
歩行器に乗ってリングボーイを務めた息子の成長を噛み締めるかもしれない。
たくさんの祝福を贈ってくれた友人たちと、また新しい思い出を積み重ねることが出来るかもしれない。

とにかく、私はこの日のことを一生忘れない。

そしてあの場に居た全ての人たちを、これから先、ずっと、大切にしたいと思う。


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