博士進学を決めるまでの話

このページはHCI Advent Calendar 2023の記事として書かせていただきました。

こんにちは。私は研究を初めて2年目の修士1年のHCI研究者です。最近、進路として博士課程への進学を決めました。
今回は、この場を借りて私の場合の進路決定ヒストリーを書き残そうと思います。
読んでくださっている方の中に卒業後の進路をまだ決めていないという人がいらっしゃれば、もしよければ参考例の1つとして記憶にとどめていただけると嬉しいです。


自己紹介

元村愛美と申します。お茶の水女子大学の五十嵐悠紀研究室に所属する現在修士1年の学生です。博士進学時も外部受験などはせず、内部受験して現在の所属のまま進学するつもりです。

ざっくりとした時系列

ではまずは、私が博士に進学しよう!と決めるまでどんな時系列で過ごしたかをざっくりと書き出してみます。ここに並べたものは、進路決定に関わったと思う経験です。

〜B3
大学の授業課題で何度か開発を行う
大学以外ではほとんど開発経験はない

B4 
(B4になる前)2月 HCI分野の研究室に配属される
5月 卒業研究のテーマが決まり、本格的に研究スタート
6月 CHI勉強会にオンライン参加     
     AIST Creative HCI Seminarの運営補助に応募
11月 第200回HCI研究会にて登壇発表
12月 UIST勉強会に参加
   WISS2022にてデモ・ポスター発表
2月 大学の卒業研究発表

M1
4月 CHI2023Interactivityにてデモ発表
    ⭐️これをきっかけに博士進学に興味を持つ
6月 CHI勉強会参加
7月 企業の技術部門の短期インターンに参加
11月 ⭐️博士進学を決意
12月 WISS2023にてデモ・ポスター発表
   ⭐️今ここ


博士進学に興味を持ったきっかけ

国際会議への参加

私が博士課程への進学を本格的に考えるようになった決定的なきっかけはCHI2023への参加です。それまでは、研究が好きだな〜とはずっと思いつつも進学したいと考えたことはほとんどありませんでした。
国際会議への参加ももちろん初めてでした。

CHIでは、卒業研究のテーマについてデモ発表を行いました。
Demonstrating FoodSkin: A Method for Creating Electronic Circuits on Food Surfaces by Using Edible Gold Leaf for Enhancement of Eating Experience

会議参加を通して、デモ発表で世界中からの参加者に研究知ってもらうことができたり、様々なHCI研究の発表を聞いたり、デモを実体験させてもらったり、日本から参加した参加者とも交流したりしたのですが、これらすべてがシンプルにとてもとても楽しい経験でした。今でも思い出すと胸が熱くなります。

参加後に思ったこと

初めて国際会議に参加してみた結果、もっと自分の研究を頑張って再びここに参加したい、もっと色んな研究に関わっていきたいと思いました。
と同時に、修士卒業後は就職するとなると、研究できるのは修士の2年間、合間に就活が挟まるので実質的にはもっと短い期間。この時間で研究は多くてもせいぜい3つくらいかな?と考えた時に、それがとても惜しく感じられました。
そこで、(じゃあ博士に進学したら+3年は研究できる!)と思ったのが最初のきっかけです。

決断するまで

CHI参加後

博士進学を本格的に考え始めたのが4月ですが、決断したのは11月でした。
CHI参加を通して進学意欲が芽生えたとはいっても、学会に参加して気持ちが昂っているだけの状態を進学意欲と錯覚しているのかもしれない、と決断には至らず一旦冷静に立ち止まりました。そのため、この時点ではまだ就職も進学も両方視野に入れていました。

また、博士課程の学生の生活や進路などについても実態をあまり知らなかったため、まずは色んな人の話を聞いてみたいと思い、SNSで調べたり、研究者の方と実際にお話しさせていただいた時はその方のヒストリーを伺ったりなど自分なりに情報収集を行いました。

夏休み

夏休みはとあるメーカーの技術室の短期インターンに参加しました。そのインターンでは、実際の商品開発の流れを学んだり、一部は実際に体験させていただきました。
また、HCIとあまり関係ないので詳細は省きますが、デジタルマーケティングのスタートアップ企業での長期インターンも行っており夏休み中は特にシフトをたくさん入れていたので、社会人に近い生活を送っていました。
夏休みの間はゼミや学会参加予定がなく研究から少し遠ざかっていたことで、短期インターン参加後しばらくは、やっぱり就職して商品(商品技術)開発をやりたい!と就職意欲が高い状態が続きました。

(基本的になんでもすぐに面白い!いいね!と思ってしまう節があります…笑)

夏休み明け以降

10月になり後期期間に入ると再び研究活動が身近な生活に戻りました。特にWISSのデモポスター投稿締め切りを控えていたので、10月は研究室全体で研究モチベーションが高い状態でした。
後期が始まってからは、自分自身の研究を熱心に進めるのはもちろんのこと、ゼミ中のコメントや他の学生の論文の添削なども積極的に行いました。
(私の所属する研究室は、設立2年目で社会人博士を除くとM1が最上級生であったため、執筆した論文はまず学生同士で添削し合うという流れがありました。)

そんなこんなで、社会人に近い生活と研究にどっぷり浸かった生活との両方を経験した結果、やっぱり研究を続けたいと思い、最終的には11月の半ば頃に博士課程に進むことを決断しました。

コミュニティへの参加

私が関わっていきたいと思っている”研究”とは、個々の研究テーマ以外にも、ゼミに参加したり、学術イベントに参加して研究者と交流したりという、HCIを中心としたコミュニティに関わっていきたいという意味も含んでいます。

というより、むしろ自分自身の研究モチベも、コミュニティに対して感じる面白さや楽しさが根底にあり、そこから湧いてくるものだとさえ感じています。

B4時は、指導教員の先生などに勧められるがままとりあえず色々参加していましたが、そこで色々な方と繋がれたことが今になってとても活きていています。

最近だと、今年のWISSへの参加モチベーションの1つに去年WISSでお話しした人と再び会いたいという思いがありました。実際会場で再会してお話しした時の内容や来年への意気込みなんかが今のモチベーションです。
また、AIST Creative HCI Seminarでは、補助として関わらせていただく中で国内外のHCI研究者と関わらせていただいています。
(こちらは明日第6回が開催されますのでお時間ある方はぜひ…!)

こうしてコミュニティに継続的に関わることで良い刺激をたくさん受けています。

今後のビジョン

とりあえず今は学振に向けた準備を進めています。
具体的には、国内の学会で発表する準備を進めつつ、論文誌や国際会議のデモポスターも出したいという方針で短期的に進捗を出せるよう頑張っています。
詳細は書きませんが他に並行して進めている研究もあります。

また、現在自分の研究で、既にあるツールを使用して機械学習を用いた画像処理を行っているのですが、使用ツールについての表面的な仕組みは付け焼き刃として理解はしたのですが、そもそもの機械学習について根本的な知識不足を感じており、最近基礎から学び始めました。

学振申請後の具体的な目標はまだ未定です笑
国際会議は修士の間にもう1回参加したいです。

最後に

ここまで読んでくださりありがとうございます。
博士に進んだ人の学生生活やその後の様子を情報収集をする中で、自分自身がHCIのコミュニティに繋がりを持っているということに大きく助けられました。だからこそ、おこがましいかもしれませんが、私の活動がHCIのコミュニティの発展に少しでも繋がればとも思っています。

その一環になるかはわかりませんが、この記事が現在進路がまだ決まっていない学部や修士のHCI研究者が進路を考える上で、こういう人もいるんだなー。ふーん。くらいに頭の片隅に入れていただければ嬉しいです。

また、現在博士課程にいるという方やすでに博士課程を修了されている方は、もしよろしければ学生生活や博士修了後の進路についてお話を聞かせてくださるととても嬉しいです!

直近の参加予定だとAIST Creative HCI SeminarとUIST勉強会に行きます!
参加予定の方よろしくお願いします!
参加しない方も今後何かしらの機会でお会いできたら嬉しいです!

追記:社会人博士や出戻り博士について

社会人博士や一度就職してから博士課程に出戻りすることについてはあまり考えていませんでした。最初から就職or博士課程進学の2択でした。
自分の性質上、努力の対象(方向)が複数あるとどちらかがおざなりになりやすく社会人と研究の両方を同時並行で進めるのは難しい、そして今目の前にあるものに対してなんでも面白いと思ってしまいやすいので一度就職して研究から離れてしまえばよほど辛いことがない限りは大学には戻ろうと思わないだろう、と予想できたからです。




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