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【本の紹介】大災害がテーマの小説

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 阪神淡路大震災から今年で28年、東日本大震災から12年、
 みなさんはいざという時の備えは大丈夫ですか?

 …ということで、今回は大災害がテーマの小説をご紹介します。
 どの物語も単なる想像ではなくて、綿密な取材のもとに執筆された物語で、リアリティのあるものばかりです。

大災害がテーマの小説

●もしも、首都直下型地震が起きたら!

M8
著者 高嶋哲夫

【内容紹介】
 28歳の若き研究者、瀬戸口の計算式は、マグニチュード8規模の直下型大地震が東京に迫っていることをしめしていた。十年前の神戸での震災、あのとき自分は何もできなかった。同じ過ちを繰り返したくはない。今、行動を起こさなければ…。東京に巨大地震が起こったら、高速道路は、地下鉄は、都心のビル街は、いったいどうなるのか。最新研究に基づいてシミュレーションした衝撃の作品。

【感想】
 昔に比べれば天気予報の精度が上がって、雨や雪の予報はだいぶ性格になってきたけれど、地震となるとなかなか難しい。ましてや絶対に起こるとはいえない自然災害に対してどこまで警戒し、どこで非難の判断をするのか。
 物語では研究者の進言を信じて大英断を下した都知事。心中穏やかではなかっただろうけれど、この決断がなければもっと被害は拡大していただろうし、この都知事には周りを動かすだけのカリスマ性があったと言うことなのかも知れない。
 物語中、一番手に汗握ったのはやはりコンビナート火災の部分。全てが予想外の中、身を呈して人命を守ろうとする自衛隊と消防隊には頭が下がりました。

●もし大津波が太平洋岸を襲ったら!

TSUNAMI 津波
著者 高嶋哲夫

【内容紹介】
 東海大地震。起きる起きないが問題なのではない。それは必ず起きる。だから、今から何をしなければならないのか。独自のハザードマップを作り、地震対策に努める26歳の市役所防災課職員がいた。だが、大地震が連続して発生。空前の大津波が太平洋岸を襲う!そのとき恋人は、超高層ビルの建築主は、原子力発電所の職員は、自衛隊員は、首相は、どう運命と向き合ったのか!?大迫力の防災サスペンス作品。

【感想】
 〝M8〟(平成大震災)から6年。
 まず名古屋を中心とする中部地区の太平洋岸で大きな地震が起こります。
 これだけでいっぱいいっぱいなのに連鎖するように南海、東南海地震が立て続けに起き、20m超えの大津波が静岡から九州の太平洋側を襲います。
 この物語では危機一髪で原発事故は回避されますが、東日本大震災の時のことを考えると、現実は小説の遥か上を行ったことになります。
 この物語が東日本大震災の6年前に書かれていたことを考えると、著者に「高嶋ダムス」という異名がつくのも納得できます。

 どの災害もそうですが、とにかく初動が大切だし、少しの気の緩みが取り返しのつかない事態を招きます。

 今回のコロナもそうですが、やはりついて回る「人命か経済か」という問題。これは社会を形成している我々人間の、永遠の課題なのかもしれません。

●もし首都圏を巨大台風が直撃したら!

東京大洪水
著者 高嶋哲夫

【内容紹介】
 大型台風23号が接近。東京上陸はないとの気象庁発表。が、日本防災研究センターの玉城はコンピュータ・シミュレーションで24号と23号が合体、未曾有の巨大台風となって首都圏を直撃することを予知。要請により荒川防災の現場に入る玉城。設計担当者として建設中の超高層マンションに篭もる妻・恵子。残された子どもたち。ひとつの家族模様を軸に空前の規模で東京水没の危機を描く、災害サスペンス3部作、堂々の完結編。

【感想】
 〝M8〟〝TSUNAMI〟に次ぐ災害サスペンス第三弾ですが、物語の流れとしては〝M8〟と〝TSUNAMI〟の間の物語になります。

 この物語を読んで、まず2015年9月の鬼怒川の氾濫を思い出しました。事実かどうか真相は闇の中ですが、当時「鬼怒川の氾濫は、都内で利根川を氾濫させないために、どこぞが指示した」という噂を耳にしました。

 荒川や隅田川が氾濫していくところはやはり手に汗握りますし、ブルドーザーまで操縦してしまう主人公玉城の妻はとてもカッコいいのですが、最後は仕事ではなく子供たちのそばにいてほしかったと思う私は、やはり昭和的な古いタイプの人間なのでしょうか。

●もしも大噴火が起きたら!

死都日本
著者 石黒耀

【内容紹介】
 西暦二〇XX年、有史以来初めての、しかし地球誕生以降、幾たびも繰り返されてきた“破局噴火”が日本に襲いかかる。噴火は霧島火山帯で始まり、南九州は壊滅、さらに噴煙は国境を越え北半球を覆う。日本は死の都となってしまうのか?火山学者をも震撼、熱狂させたメフィスト賞、宮沢賢治賞奨励賞受賞作。

【感想】
 前半はとにかく火山と噴火についての専門的な解説に沢山のページが裂かれるので、多少読み手を選ぶかもしれません。
 しかしそれを超えると、直接被害が及ぶ宮崎、熊本、鹿児島をはじめとする九州は勿論、日本全土、そして世界へと話が広がっていくので、600ページ超えの大作ですが、集中力が途切れることなくあっという間に読了しました。
 最後に、日本の首相が世界に向けて発信した日本再建計画は…。あれは著者の願いというか…。このくらい大きなことが起こらなければ今の日本を変えることはできないのかもしれませんね。なんて思ってみたり。

●そして日本は…!?

日本沈没 上・下
著者 小松左京

【内容紹介】(下巻)
 とにかくその日が来る前に。政府は日本人全員を海外へ移住させるべく、極秘裏に世界各国との交渉に入った。田所博士は週刊誌で「日本列島は沈没する」と発言して、物議をかもしていた。小野寺は極秘プロジェクトからはずれて、恋人・玲子とともにスイスに旅立とうとするが、運悪く玲子は、ついに始まった富士山の大噴火に巻き込まれ行方不明となってしまう。そして、日本沈没のその日は予想外に早くやってきた。死にゆく竜のように日本列島は最後の叫びをあげていた。日本人は最悪の危機の中で、生き残ることができるのか。未来をも予見していた問題作。

【感想】
 言わずと知れた日本SF、災害小説の金字塔。
 別の記事で感想は書いているので一言だけ。
 50年前の物語なので出てくる道具は古いですが、それ以外は全く古さを感じませんでした。小説家の取材力と想像力に脱帽。

【まとまらないまとめ】

 いかがでしたか?
 とにかく今自分ができることは、最寄りの避難所を把握し、そこまでの道筋を再確認しておくことと、数年前に買った非常持ち出し袋の中身を点検すること。非常食や飲料水の賞味期限はもちろんですが、意外に盲点なのが、手回し充電ラジオなんかについている携帯充電用のコネクタ。結構規格が変わっていたりするので要チェックです。

 先にも書きましたが、大災害は起きないのが一番。でも万が一起きてしまった時に冷静に行動できるだけの備えと知識を蓄えておきたいものです。

 最期に、
 読書っていいよね。


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