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贅沢は言わないからドット絵で永遠にバズり続けたい

こんにちは!↓のような"踊るドット絵"を描いている、ピクセル振付師の961です。


💡本記事は「ドット絵 Advent Calendar 2023」の18日目の投稿です。
裏ドット絵 Advent Calendar 2023
端ドット絵Advent Calendar 2023
とあわせて、全日ぜひお楽しみください!主催してくださったMuscatさん、 フクDさん、ヒサシさんに感謝の気持ちをお伝えいたします。

今回はタイトルの通り「ドット絵でバズり続けたい」と思っている私が、18投稿連続で1万いいねを超えた(以下、バズる/バズった)際に考えていたことを整理して、「バズるドット絵」を設計する方法をまとめました。

⚠本題に入る前に

本記事では、作品の良し悪しという「評価」の話ではなく、SNSで作品がバズるという「結果」、あくまで現象にフォーカスしています。
「バズるのがいいことなんですか?」「バズる作品が素晴らしい作品なんですか?」といった判断は、みなさまの価値観におまかせいたします。
また、媒体はバズるという現象が起こりやすい「X」に絞って話を進めます。

1. バズるための設計

気を取り直して…あらためて「ドット絵でバズり続けたい」!そのためにしていた準備は以下の3点です。

  1. 再現性のある"仕組み"で全作品をつくる

  2. たくさん作品をつくって公開する

  3. 自分が面白いと思うものを自分以外に共感してもらえる形に最適化する

それぞれ詳細を記載します。

1.1 再現性のある"仕組み"で全作品をつくる

1作品ではなく、複数作品がバズり"続ける"ためには、作品がもつ要素を一般化して、他の作品にも転用できるようにしておく必要がありました。
具体的には、以下の3つの観点の組み合わせで作品をつくっています。
①題材:何を描きたいか
②表現:どう描きたいか
③反応:どう感じられるか

■①題材
「何を描きたいか」の設定です。ここは自分の好きなものや興味のあるものなど愛着がある題材を選んでいます。理由は、題材への理解が深いほど「②表現」のアイデアの幅が広がったり、「③反応」で想定するリアクションの精度が高くなったりするためです。

■②表現
「どう描きたいか」の設定です。どう見せたいか、とも言い換えられます。例えば、「かっこよく描きたい」「可愛く見せたい」「ポップに表現したい」など。場合によっては、ドット絵で描く理由まで立ち返ります。ローレゾさやポップさ、可愛さ、コミカルさ、懐かしさ…などドット絵がもつ強みなどを踏まえて、「①題材」をどう演出するか検討します。私の場合、題材でどれだけふざけられるか、いかにコミカルにするか、を考えています。

■③反応
「①・②でつくった作品を見せた結果、他の人にどう感じられるのか」という仮想のリアクションを設定します。「自分以外の人から見て何が面白いのか」です。個人的には③の設定が一番重要です。①・②が自分の感覚を基準に設定するものだとしたら、③は他人の感覚が基準。「自分がこうしたら相手がこう感じるだろう」という事前のイメージがあることで、作品公開後に感覚の違いを検知でき、2つの価値観をすり合わせられます。

これら①・②・③の観点に基づいて全作品を設計していきます。

💡「面白い」について
「自分以外の人から見て何が面白いのか」については、具体的であればあるほどよいと思っています。例えば、以下はすべて面白いものですが
・うんこ
・地球誕生秘話
・スポーツ観戦
同じ"面白い"ではないと思います。上記例でいえば
・うんこ:funny(滑稽さやおかしさでの面白い)
・地球誕生秘話:interesting(知的好奇心を刺激する面白い)
・スポーツ観戦:exciting(熱狂や興奮の意味での面白い)
など、面白いにも種類があり、同じものでも文脈によって解釈が変わることもあります。どの面白いを狙うかによって設定が変わってくるでしょう。同じように「1いいね」は数値上だれが押しても「1いいね」ですが、操作してくれている人間の感情は「いいね」ではなく、具体的な内訳があります。どんな「いいね」をしたくなるのか、という仮説と狙いをもってつくれるとより精度が上げられると思います。

1.2 たくさん作品をつくって公開する

おすすめは「毎日発信」です。理由は、作品のバリエーションが増えるのと、それにともなって多くの方からさまざまなリアクションがいただけるからです。いい反応もそうじゃない反応も、集まれば次項1.3の最適化の精度が上がります。

💡数は力
仮に100作品中1作品しかバズらないとしても、10,000作品つくれば100作品はバズるので、作品数=パワーだと思ってつくり続けています。

1.3 自分が面白いと思うものを自分以外に共感してもらえる形に最適化する

1.1で設計した作品を1.2でたくさん公開し、さまざまなリアクションが集まりました。1.3では作品の最適化をしていきますが、意識していることは、「想定していたリアクションとどれくらいズレがあったか」です。そのズレをひたすら考察します。
・「①題材」がマイナーだった?それとも選んだシーンが不適切だった?
・「②表現」が伝わらなかった?それは構図?画力?色味のせい?
・「③反応」が得られなかったのは、作品の出来に起因する?それとも投稿のキャプション?
などなど・・・狙ったとおり機能した作品群とそうじゃなかった作品群を比較して気づける要素もあります。

そして、想定した通りに反応をいただけた作品がもっている要素を、次回以降の制作に反映していく・・・を繰り返して作品を最適化していきます。

💡媚びている?
好反応を得た作品に寄せていく(解釈次第では反応に媚びる)ことに、心理的抵抗を感じられる方もいらっしゃると思います。一方で、バズりたいという気持ちもある。私は「自分の好きなもの/興味のあるもの」を題材にして、他の人にも一緒に共感してもらえるように翻訳する行為は媚びていない・・・と自分に言い聞かせています。あくまで、自分の好きなものを他の人とも共有したい気持ちで描いている・・・はずです。逆に「反応をとるために知らないものや興味がない作品を描く」は目的から逸れるので避けています。

2.バズった作品をみる

実際にバズるかどうかは、外的要因もあるため「運」の側面が大きいです。なので、いっぱい作品をつくって公開してリアクションをいただきながら、まぐれでも実力でもいいので1回バズります。ひとつ明確な成功例ができれば、分析の精度が格段に上がります。「こういうことね」がわかります。

以下が私が初めてバズった作品です。

上記作品を分析して得られた要素のうち、影響が大きいものを例として書き出しました。

■①題材
・みんなが知っている作品の方が多くの人に楽しんでもらえそう
・踊ることが想定されていない題材の方が踊ったときのギャップを感じてもらえそう

■②表現
・なめらかなダンスと荒々しいダンスが同居するとそれぞれの動きのコントラストが際立ちそう
・みんなが知っているダンスのほうが世界観を楽しんでもらえそう
・長尺ではなく、ぱっと見でわかるダンスの方が伝わりやすそう

■③反応
・ドット絵が踊っているのはコミカルで面白い、可愛いと感じるらしい
・ただ踊っているだけではなく、踊っている人たちの関係性を再定義しているような表現に面白さを感じるらしい

ここから上記作品と要素をもとに1ヶ月の最適化を経て、複数作品の連続バズにつながりました。

2.1実例を分解する

前述の内容を踏まえて、最適化した結果が以下の組み合わせです。

①題材:(好きな漫画やアニメの)有名なシリアスな/感動的なシーンで
②表現:ドット絵でわんぱくなダンスを踊らせて、陽気な雰囲気しちゃうことで
③反応:コミカルになってしまって面白い(funny)

以降同じ組み合わせに①・②に当てはまる要素を代入して作品をつくった結果、↓の作品をきっかけに18作品が連続でバズりました。

(※掲載終了)
各作品の掲載は省略しますが、X(Twitter)のハイライトにまとめたのでもしよろしければ上記の組み合わせを踏まえて見てみてください
https://twitter.com/961dots/highlights

また、↓のように転載されてもバズったことから、"961の投稿だから"という発信者バイアスではなく、組み合わせ自体が有効であろうことも確認できました。

2.2 自分以外の作品も分解してみる

他の人の反応が伸びている作品を見て、そのリアクションも自分の作品づくりの参考にしています。例えば、風景画でバズっているドット絵はこんなふうに解釈しています。

①題材:雰囲気ある精細な風景を
②表現:ドット絵というローレゾな画材で描くことでうまれる
③反応:ドット絵の粒子感と写実的なビジュアルのギャップが面白い(Impressed)

(この組み合わせを実現する=③で面白いと思わせるには、説得力のある高い画力や画面の構成力が必要そうに感じています)

💡バズるために「画力」は必須か?
自己正当化も大いにありますが、必須ではないと思っています。というよりも、前述の"反応"をどう設計するかによるでしょう。美しい景色を写実的に表現するためには高い画力がいる一方で、ふざけたアニメーションは粗々しい方が笑えることもあります。ただ、画力が高いことで実現できる組み合わせが多いのは間違いないので、高いに越したことはないですよね。

まとめ

私がわかる範囲のことを書きましたが、きっとまだいろんな組み合わせや、スキルや知識によって解放される要素もたくさんあると思います。みなさまと一緒に探しながら、もっとホットなドット絵を インターネットへアウトプット(©Muscut)していきたいです。これからもよろしくお願いいたします。

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