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《短編小説集》なにがしかの話

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物語の半分はほろ苦さでできています
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#雨の日をたのしく

辺境魔女が旅巫女と別れるまでの譚

「冗談じゃねェや!!」  狭い一室に、男の絶叫がこだました。 「もうすぐ祭りなのに値上げだァ!? ただでさえ高っけえのに!!」  怒声とともに男は値札を指差す。  いわく、そこにはこうあった。 <防腐薬 銀10 改め 銀15>  椅子に座った老魔女は、あばた面を掻きながらうんざりしたように告げた。 「特別価格で5割増しだよ。雨季は気分が滅入るからね、薬の精製にも普段より労力がかかる──何度言ったら分かるんだい」 「去年は2割増しで済んでたじゃねェか!」 「去年は去年、