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《短編小説集》なにがしかの話

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物語の半分はほろ苦さでできています
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2020年6月の記事一覧

肉団子の霊と同居した日々の話

「あの、センカワさん──来月末で、退職させて頂きたいです」  仕事終わりに誘われた酒の席で、部下に頭を下げられた。 「次は決まってるのかい?」 「はい、入社時期について先方と交渉中でして……」 「わかった、社長には俺から話を通しておくよ」  俺がそう言い終わると同時に、狙いすましたかのごとく料理が運ばれてきた。こぢんまりとしたテーブルが、瞬く間に賑やかになる。早速とばかりに箸をつけるこちらをよそに、目の前の部下は呆気にとられたように固まっていた。 「……どうかした?」