フォローしませんか?
シェア
──むかしむかしの、お話だ。 僕は、気が付くと「そこ」にいた。 そこがどこかは分からない。いつから居たかも分からない。 唯一理解できたのは、自分がここに在るという事実だけだった。 「はじめまして」 声が降ってきたのは、僕がそこに来てしばらく経ってからのこと。 もっとも、その時の僕は、声を声として認識できなかった。 きっと前にいた場所では言葉を発する必要がなかったから、 そういった文化を知らなかったんだろうな。 だから、言葉を単なる音の連なりとしてしか