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自宅用の小型ギターアンプの比較とおすすめ

ちょっと前まではマルチエフェクター等があれば自宅にアンプが無くても良い、という人が多かったと思います。

昔の自宅用の小型アンプは音が安っぽい物が多く、マルチエフェクターにヘッドホンを繋いで練習したほうが全然マシだったりしました。

他方でせっかく大きいアンプを買っても、良い音を出すためには大きな音を出す必要があったりして、結局近所迷惑になるので宝の持ち腐れになるケースも多かったと思います。

私自身もアンプはいくつか持っていたのですが、自宅でギターを弾くときはアンプを使わずにヘッドホンでモニタリングすることが多かったです。

しかし、最近の自宅用の小型アンプの進化には目を見張るものがありますし、近所迷惑にならないような小さい音でも十分に良い音が出せるようになってきました。

ギターを弾くときに、いちいちヘッドホンを着けなければいけないのは面倒ですし、夏はヘッドホンを着けたままギターを弾いていると耳が蒸れてきたりします。

しかも、ギターを弾いていると肩がこりやすいのですが、ヘッドホンを着けていると余計に首が痛くなったりするんですよね。

そんな場合も、小さいギターアンプがあれば肩こりをあまり気にせずに楽しくギターを弾くことができます。

そこで、気軽に使えそうな小型アンプについて、それぞれの特徴と個人的なおすすめ度合いを整理していきたいと思います。



【コンパクトサイズのギターアンプ】


◆BLACKSTAR 「Fly 3 Bluetooth」

電池駆動    可能
音色数     少なめ(クリーン、オーバードライブ)
リバーブ等   ディレイ有り
大きさ     170mm x 126mm x 102mm
Bluetooth    有り
出力      3W、スピーカー3インチ・約7.6cm

少し前に自宅用のギターアンプとして爆発的に売れていたのが、BLACKSTARの「Fly 3」ですね。

一時期は、小型ギターアンプと言えば「Fly 3」みたいなイメージがあったと思います。

今はBluetoothに対応したバージョンが出ているので、スマホの音楽をアンプで出しながら練習することも可能です。

「Fly 3」のすごいのは、小さい割にはそれなりに本格的な音が鳴るという、これまでの小型アンプのイメージを覆したところだと思います。

「Fly 3」はとても良いアンプですが、歪みを強くするとコンプレッサーを強くかけたような音になって、弾きやすいと感じる一方で、「のっぺり」と表現力の乏しい音と感じる人もいると思いますので、好みが分かれるところだと思います。

ただ売れている理由はすごく分かるし、このくらい小さいと何時でも気軽に弾けますし、音の好みが合えば最高の小型アンプだと思います。

ディレイが付いているのでディレイでミスタッチを誤魔化しながら気持ち良く弾くことも可能です。


◆BOSS 「KATANA MINI」


電池駆動    可能
音色数     普通(クリーン、クランチ、ブラウン)
リバーブ等   ディレイ有り
大きさ     230 mm×116 mm×181 mm
Bluetooth    無し
出力      7W、スピーカー10cm・4インチ


以前にRoland 「MICRO CUBE」や「GC-405」を持っていてRolandの音の良さは身をもって体感していたのですが、この「KATANA MINI」もさすが天下のRoland=BOSSだけあって、音は良いです。

小型アンプのEQはTONEの1個か、BASSとTREBLEの2個しか無いことが多いのですが、「KATANA MINI」のEQは「BASS」「MIDDLE」「TREBLE」と3つあるので、細かい音色調整が可能です。

ただ、歪みの音はいわゆる「BOSSっぽい音」です。。

BOSSの歪みの音は「きのこたけのこ戦争」と同じくらい好みが分かれるところで激しい激論が交わされることがあります。

この「KATANA MINI」には「CLEAN」「CRUNCH」「BROWN」の3種類のアンプタイプが搭載されています。

「CLEAN」はスタジオによくあるジャズコーラス(JC-120)の癖のある固い音をマイルドにしたような使いやすいサウンドでエフェクターの乗りも良いです。

「CRUNCH」はジャズコーラス(JC-120)をBOSSのコンパクトエフェクターで歪ませたような音で好みが分かれそうです。

「BROWN」は名前のとおりVAN HALENのっぽい強い歪みの音色で、人によっては「やや古臭い音」と感じる人もいるかも知れません。

私はこれまでもBOSSのエフェクターやアンプを使ってきたこともあり新鮮さはあまりないのですが、実家のような安心感があるサウンドだと感じます。

音量も自宅で弾く分にはちょうど良いので私は自宅で気軽に音を出したい時はこの「KATANA MINI」を使うことが多いです。

良い意味でミスを誤魔化せないトランジスタアンプ的なサウンドなので、流行のアンプシミュレーター系のアンプよりも練習用のアンプとして見た場合にはお薦めできます。

ディレイも付いているので、ミスを誤魔化しながら豪快に弾きたいという場合にもディレイを強めにかけた気持ち良く弾くこともできます。

「KATANA MINI」はフリマなどでも安く出回っていますしBOSSの歪みの音に抵抗がない人であればコスパは非常に良いと思います。

ちなみに「KATANA MINI」にはBluetooth機能はありませんが、「KATANA-AIR」という機種にはBluetooth機能があるだけでなく、ギター自体もワイヤレスでアンプと繋ぐことができるので、ケーブルを一切使わずに使えます。

ただ「KATANA-AIR」は自宅用のアンプとしては値段がちょっと高いので、コスパを重視する人は「KATANA MINI」のほうが良いと思います。


◆YAMAHA  「THR5」


電池駆動    可能
音色数     多い(CLEAN, CRUNCH, LEAD, BRIT HI, MODERN、その他エフェクト多数)
リバーブ等   リバーブ有り
大きさ     270 x 160 x 120
Bluetooth   無し (上位機種のTHR10IIはあり)
出力      5w×2(10w)、スピーカー8cm×2(約3インチ×2)


自宅用のアンプとして馬鹿みたいに売れているのがYAMAHAの「THR」シリーズ。

まず見た目が良いですよね。

これまでのギターアンプって黒を基調としたロック・メタルなイメージのものか、VOXのようなブリティッシュの雰囲気なものが多かったと思うのですが、「THR」シリーズはレトロな雰囲気があって、インテリアとして棚に置いておくだけでも所有欲を満たせそうな見た目をしています。

おそらくYAMAHAの「THR」を買った男性のほとんどは

女の子「これ、なぁに」

自分「これはギターアンプだよ」

女の子「素敵」

という妄想をして買っているんだと思います。

しかも、音色の種類も多く、歪みも複数選べて、リバーブだけでなく、コーラスやフランジャーなど、基本的なエフェクトは一通り使えるので、エフェクターを持っていなくても「THR」1個あれば困ることは無いでしょう。


「THR5」はイコライザーが「TONE」という1つのツマミでしか調整できませんが、の上位機種の「THR10II」は3バンドEQが付いています。

別途エフェクターを買い足すことなく使えるということを考えると、2万円という価格は高くは無いと思います。

他方で、すでにエフェクターをいくつか持っている人にとっては、コスパはあまり良くないかも知れません。

「THR」シリーズの音は大半の人は「良い」と感じると思いますが、人によっては、「こもり気味」の「モコモコ」としたラジカセっぽい音に聞こえるかも知れません。

BLACKSTARの「カラっ」とした音とはある意味対極にあるような音なので、事前に試奏できるのであれば音色が自分の好みに合うか確かめてから買うのが良いと思います。

エフェクターを持っていない初心者の方が買うアンプとしてはおすすめできるモデルですが他の対抗馬のアンプに比べると割高な感はあります。

また私の周りで「THR」シリーズを持っている上級者は他のアンプに買い換える人が多い印象です。

「THR」シリーズはオーディオ的には良い音(CDのような音)なのですが、アンプシュミレーターにオーディオスピーカーを繋いだような上品な印象なので、アンプ的な荒々しさを求める人には少し物足りないかも知れません。


◆Laney「MINI-STB」

電池駆動    可能
音色数     多い(「Tonebridge Guitar Effects」と連動させた場合)
リバーブ等   ディレイ有り、
大きさ     142mm × 205mm × 100mm
Bluetooth    有り
出力      3w×2(6w)、スピーカー3インチ×2(約8cm×2)


このLaneyのアンプは安いので、あまり期待していなかったのですが、個人的には好きな音でした。

Laneyというメーカーがあることは知っていたのですが、私は日本でLaneyのアンプを使っている人を見たことがなく国内でもあまり売っていないメーカーなので、当初は選択肢に入っていませんでした。

しかしYoutubeでLaneyの「MINI」シリーズのレビュー動画を見てみたところ、正統派のトランジスタアンプ的なサウンドで自分の好みにあっていました。

実機を試奏できるお店がなかったのでメルカリで中古を買ってみたのですが・・・これは良いです。

「Tonebridge」というスマホ・タブレット用のアプリを使うと様々な音が出せます。

例えばアプリでアーティスト名で「Gun's N' Roses」と検索すると「Gun's N' Roses」の有名な曲がいくつか出てきて、その中から曲名「Sweet Child O' Mine」を選ぶと「Sweet Child O' Mine」のギターと同じようにセッティングされたパッチが使えます。

そのため同様の価格帯の「Fly 3」や「KATANA MINI」に比べ物にならないくらいの多数の音色が使えますし、自分のギターが上手くなったかのように勘違い出来るような気持ちの良い音色がたくさんあるので、楽しくギターを弾くことができます。

「Tonebridge」はスマホ等をマルチエフェクターのようにして使うシステムになっているみたいです。

もちろん「Tonebridge」を使わなくてもアンプとして使えますし、素のアンプとしても音も好みでした。

いかにもミニアンプというような軽い音なのですが、デジタル臭さが全く無く、弾いたとおりのニュアンスで音が出る感じの昔ながらの素直なアンプの音がします。

歪み系のペダルとの相性も良く、Effects Bakeryの 「Croissant Distortion」などの安いペダル合わせても良い感じでした。

いろいろなペダルやマルチエフェクターと組み合わせて使ってみるのも楽しいアンプです。

ただし・・・Laneyの「MINI」シリーズは、良いところばかりではなく、欠点もあります。

まず「Tonebridge」というアプリを使った時に音の遅延が気になることがあります。

iPadを使うと遅延はほとんど気にならないのですが、Androidのスマホを使うと実用に耐えられないくらいの遅延が発生します。

私のAndroidスマホのスペックが低いせいかも知れませんが、海外のユーザーのレビューを見てもAndroidでは遅延が酷いというレビューがあるのでAndroidのアプリ側の問題のような気もします。

また、App Storeの「Tonebridge」は自分で作った音色を保存するメニューがあるのに対し、Androidのほうでは自分で音色を作るメニューが無いようでした。

なので、iPadかiPhoneを持っている人でないと「Tonebridge」というアプリを十分に活かしきれない可能性があると思います。

「Tonebridge」というアプリを使わなくてもLaney「MINI-STB」の音は良いのですが、素のアンプの音はかなり人によって好みが分かれる音だと思います。

ピッキングの強弱によって歪みの量を変えることができるという点では素直で良い音だとは思うのですが、ちょっとしたミスもはっきりと分かる音でもあるので、「Tonebridge」を使わない場合にはある程度ギターのテクニックがある人でないと、気持ちの良い音を出すのは難しいかも知れません。

また歪みを強くすると潰れたような安っぽい音になってくるので「Tonebridge」かペダルを使わない限りメタル的な音は出せません。

そのため、強い歪みの音を出したい場合には「Tonebridge」を使うか、アンプの前にペダルをかませる必要があるのですが、この点においてはBLACKSTAR「Fly 3」、BOSS「KATANA MINI」、YAMAHA「THR5」のほうが使い勝手が良いと思います。

なお、Laney「MINI」シリーズで「Tonebridge」というアプリを使うためには付属の専用の「LSIケーブル」でアンプとスマホ等を繋ぐ必要があるのですが、私は中古で買ったため「LSIケーブル」はありませんでした。

専用ケーブルの見た目が4極の「TRRSフォン」ケーブルのようだったので、ネットで4極ケーブルを買って挿してみたところ「Tonebridge」が使えました。

4極ケーブルにはいくつか規格があるようなので、物によっては使えないかも知れません。

ちなみにLaneyの小型アンプには「MINISTACK」というシリーズもありますが、見た目が好きなほうを選べば良いと思います。


◆Positive Grid ( ポジティブ グリッド ) / Spark MINI

電池駆動      USB充電式バッテリー
音色数     もの凄く多い
リバーブ等   あり(エフェクトが数十種類)
大きさ     146.5mm x 123mm x 165mm
Bluetooth    有り
出力      10Wクラス、スピーカー2インチ×2(底にパッシブラジエーター×1)

価格が高めになりますが真空管アンプに近い質感と、使い勝手の良さから人気なのがPositive Gridの「Spark」シリーズです。

Positive Gridは「BIAS AMP」や「BIAS FX」といったパソコン・mac用のアンプシミュレーターも販売している会社で「BIAS」シリーズは本物の真空管アンプに近い弾き心地や質感に近いという評価が高く、一時期は爆発的な人気を誇っていました。

そのPositive Gridの技術によってパソコン・macが無くても手軽にリアルなサウンドを出せるように販売されているのが「Spark」という小型アンプです。

もともと評価の高いPositive Gridのアンプシミュレーターの技術が使われているということもあり小型ながらも「音が良い」と感じる人が多いと思います。

またBluetoothスピーカーとしての使い勝手も良くてスマホとBluetooth(無線)で接続することでアウトドア用のスピーカーとしても使えるので、このオシャレなアンプを持ってキャンプ・バーベキュー・花見などで音楽を流せば人気者になれるでしょう。

敢えてデメリットを挙げるとすればパソコン・macや、iPhoneなどで使える「BIAS AMP」や「BIAS FX」などのアプリケーションでも同じような音が出せて、かつアプリケーションは比較的安く買えるので、パソコン・mac・iPhone・iPadを持っている人にとっては、「Spark」シリーズよりもアプリの「BIAS AMP」や「BIAS FX」のほうがコストパフォーマンスは良いかも知れない、という点です。

「BIAS AMP」や「BIAS FX」にはいくつかのバージョンがありますが、アンプの種類が少な目の「Standard」は特に安くなっていることが多いです。


またPositive Gridのアンプシミュレーターは約10年前に販売開始された当時はその圧倒的なリアルさで評価が高かったですが、現在は他社からも非常にクオリティの高いアンプシミュレーターが多数販売されており、人によってはPositive Gridのアンプシミュレーターの音は今では少し古くなってきたと言う人もいます。

より最新の音にこだわる人でもう少し予算が出せる人であればUNIVERSAL AUDIOの「UAFX DREAM」、STRYMON の「IRIDIUM」、IK Multimediaの「TONEX」などの人気のペダル型のアンプシミュレーターと、小さめのモニタースピーカーを買って、自宅ではモニタースピーカーからアンプシミュレーターの音を出して、スタジオやライブではキャビやPAミキサーに繋いで使う、というほうが満足度が高いという場合もあると思います。

(アンプシミュレーターをスタジオやライブハウスで使う方法については以下の記事を参考にしていただければです)


ただ実際にペダル型のアンプシミュレーターをモニタースピーカーに繋ぐ作業は面倒だったりするんですよね。

ギターを毎日のように継続して練習できるようにするコツの1つは練習を始めるまでの作業を出来るだけ減らすことだったりしますが、そういった意味ではPositive Grid の「Spark」シリーズは、アンプにシールドを挿してすぐに練習できるので、「練習を始めるまでの手間を増やしたくない」という人には買う価値は十分にあると思います。

しかもPositive Gridは「Spark MINI」などをアンプヘッドのように使ってスタジオやライブハウスで爆音を出せるようにするための専用のキャビネットも販売していたりするので、「Spark MINI」の音が気に入っている場合には同じようなサウンドをライブなどで再現することができます。

ちなみにSparkシリーズには「Spark GO」というさらに小さいアンプも販売されています。

「Spark GO」はカバンに入る程に非常に小さくて軽いのがメリットですが、スピーカーから出る音はサイズ的に大きい「Spark MINI」のほうが良いです。

しかも「Spark MINI」も実際に実機を見てみると十分にコンパクトで小さいので「Spark MINI」でも持ち運びや置き場所に困るということはあまりないと思います。

イヤホンやヘッドホンで練習することが多い人は「Spark GO」でも良いと思いますが、スピーカーから音を出して練習することが多く予算に余裕がある人は「Spark MINI」を選んだほうが満足度は高いと思います。


【やや大きいギターアンプ】

アンプは基本的にスピーカーの大きさに比例して、音も良くなっていく傾向があります。

「Fly 3」「KATANA MINI」「THR5」などは非常にコンパクトで置き場所にこまることはないというメリットがありますが、音質を重視する人はもう少し大きめのアンプを選択肢に入れても良いと思います。

そこで、近所迷惑ならず狭い部屋でも邪魔にならない程度の大きさの小型のアンプいくつか挙げてみたいと思います。


◆BLACKSTAR 「ID:CORE  STEREO 10」

電池駆動    不可(ただし、別売りの「PB-1パワーバンク」を使うとコンセント無で使える)
音色数     多い(クリーン2種、歪み4種、モジュレーション、ディレイ、リバーブ)
リバーブ等   リバーブ有り、
大きさ     340mm x 265mm x 185mm
Bluetooth    無し
出力      5w×2(10w)、スピーカー3インチ×2(約8cm×2)

BLACKSTARの「Fly 3」の歪みの音が自分の中であまり好みではなかったので、BLACKSTARのその他のアンプは選択肢から除外していたのですが、意外に盲点だったのが「ID:CORE」というシリーズ。

BLACKSTARの「ID:CORE  10」は、YAMAHAの「THR5」と同じくらいの音色数、エフェクト数があり、しかもオーディオインターフィエス機能まで付いていて、サイズも「THR5」より一回り大きいにもかかわらず、価格は「THR5」よりも安く売られていることが多いです。

「ID:CORE」シリーズは海外ではそこそこ売れているようなのですが、日本では取り扱っている店舗が少ないのか、あまり評判を聞きません。ネットのレビューも少なめです。

試奏できる環境も無かったので、試しにフリマで新古品を買ってみました。

「Fly 3」と比べて「ID:CORE  STEREO 10」の良いところは、クリーンを2種類から、歪み4種類の中から選べる点ですね。

「Fly 3」は音色の選択肢が少ないので自分の好みに合わなければ、別のアンプを買い直すか、ペダルを使ったりして調整していく必要があります。

他方で「ID:CORE」は、クリーンも歪みも複数の選択肢が用意されているので、自分の好みの音色が見つかる可能性が高いです。

しかも、「ID:CORE」はPCに繋いで「Architect」というソフトを使うことで、BASS・MID・TREBLEだけなく、RESONANCE・PRESENCEまで使えるので、かなり細かい音色の調整が可能ですし、作った音色を保存できるのでちょっとしたマルチエフェクターのような感覚で使えます。

しかもヘッドホンやLINE出力で使う場合には「Cab Rig Lite」というキャビネットシュミレーターも使えるので、それなりに遊べます。

「Fly 3」に比べて良くないところ(デメリット)は、電池駆動が使えないことと、スピーカーのサイズが小さい割には全体として大きいところだと思います。

一応、別売の「PB-1パワーバンク」という電源を買えば「ID:CORE」もコンセント無しで使えるのですが、「PB-1パワーバンク」は1万円以上します。

ただ、「ID:CORE  STEREO 10」は「Fly 3」と比べてもそれほど大きな価格差はないので、少し大きめのアンプでも良くて電池駆動にこだわらないのであれば「ID:CORE」のほうがコスパは良いと思います。

なお、先ほどお話したとおり「ID:CORE 」シリーズはPCに繋いで「Architect」というソフトを使うことでかなり細かく音を作り込むことができますが、「Architect」を使うためにはBlackstarのサイトにログインをした上で製品のシリアルナンバーを入力して製品登録をしなければならないようでした。

私は中古で買ったので製品登録を求められた際に「やばい!Architectが使えないかも!」と一瞬焦ったのですが、前の所有者が製品登録をしていなかったようで、無事に「Architect」を使うことができました。

「ID:CORE 」シリーズを中古で買った場合、「Architect」を使えない可能性もあるので、その点は注意が必要だと思いました。

「ID:CORE  STEREO 10」の対抗馬としては、やはりYAMAHAの「THR5」あたりでしょうか。

「THR5」のほうは常にエフェクトがかかったような少しこもったような音であるのに対し、「ID:CORE」は「カラッ」とした乾いた音が特徴的なので、音に関しては好みが分かれるところだと思います。

あと大きいほうが良い音が出しやすいだろうと思って「ID:CORE V3 STEREO 10」を買ってみたのですが、スペックを見てみると「ID:CORE V3 STEREO 10」のスピーカーは他の小型アンプと比べてもそんなに大きくないんですよね。買ってから気がつきました。

BLACKSTAR 「Fly 3」 ⇒ 3W、スピーカー8cm(3インチ)
BOSS 「KATANA MINI」⇒ 7W、スピーカー10cm・4インチ
YAMAHA  「THR5 V.2」⇒ 5w×2(10w)、スピーカー8cm×2(約3インチ×2)
Laney「MINI-STB」  ⇒ 3w×2(6w)、スピーカー8cm×2(約3インチ×2)
「ID:CORE  10」  ⇒  5w×2(10w)、スピーカー8cm×2(約3インチ×2)

スピーカーのサイズだけで比べると「KATANA MINI」だけが4インチで一番大きいです。

一般的にスピーカーのサイズが大きいほうが低音も出しやすいので、「KATANA MINI」の音が良いと感じる人が多いのは、スピーカーの大きさが他のアンプよりも大きいからかも知れません。

その他、メジャーなアンプもいくつか挙げてみたいと思います。



◆Marshall 「MG10」「MG15」

電池駆動     不可
音色数     少ない
リバーブ等   ない
大きさ     「MG10」290 x 310 x 170、「MG15」375 x 370 x 195
Bluetooth    無し
出力      「MG10」10w・スピーカー6.5インチ、「MG15」15w・スピーカー8インチ


昔のバンドメンバーの結婚式で演奏をすることになりメンバーがマーシャルのギターアンプ持ってきたことがあるのですが、びっくりするくらい音が良かった記憶があります。。

式場で聞いたアンプは30Wか40Wのやや大きめのアンプだったと思うのですが、自宅で使うとなると10Wの「MG10」か15wの「MG15」あたりが現実的だと思います。

マーシャルのアンプのデメリットは、マーシャルの音しか出せないというところです。

他の小型アンプに比べるとスピーカーが大きめでアンプっぽい音が出るのは良いと思うのですが、「MG10」「MG15」くらいまで小さくなってくると・・・マーシャルという名前が付いている割には少し残念・・・という音に感じてしまいます。

マーシャルはスタジオに置いてあることが多いので、どうしてもスタジオにあるJCMシリーズやJVMシリーズと音を比べてしまいます。

アンプメーカーとして有名過ぎるが故に、上位のモデルと比較されて厳しめのレビューが増えてしまうというところが、マーシャルの自宅用アンプの可愛そうな宿命でもあると思います。


◆Fender 「FRONTMAN 10G」

電池駆動    不可
音色数     少ない
リバーブ等   ない
大きさ     260 × 280 × 146
Bluetooth    無し
出力      10w・スピーカー6インチ


フェンダー好きにとっては「FRONTMAN」シリーズのアンプは魅力的だと思います。

シンプルでかっこいい。部屋に置いておくだけでもインテリアになりそうなところがまた素敵。

小さくてもちゃんとフェンダーのアンプの見た目をしているのが良いですね。

一時期、新品が5000円以下で買える時期もあったりしたのですが価格の割には音は良いです。

価格破壊と言って差し支えないレベル。

ペダルをかませてもナチュラルなかかり方がするのも良いですし、かなりコスパは良いです。

ミスをごまかしにくい自然な音が出るという点ではギターが上達しやすいアンプだと思いますが、良くも悪くもフェンダーのアンプの音なので、自分の気に入った音を出までのハードルは高いかも知れません。

他方で様々なペダルと合わせることで音作りを楽しめるという点では上級者がオモチャとして使えるアンプでもあると思いますが、ペダルやエフェクターの沼にはまってひたすら浪費を繰り返す可能性も秘めていると思います。

ただ、他のモデリングアンプやDAWのプラグインの多くにはフェンダーのモデリングが入っていることが多いので「敢えてフェンダーのアンプを買わなくてもいいかな」という人もいると思います。

こちらも有名すぎるメーカーであるが故の宿命ですね。

フリマアプリで4000円程度で売られていることもあるので、安い割に良いアンプを買いたい人にとっては、おすすめだと思います。

ギターが上達した後も使えるアンプだと思います。


◆VOX 「Pathfinder 10」

電池駆動    不可
音色数     少ない
リバーブ等   ない
大きさ     380 × 260 × 170
Bluetooth    無し
出力      10w・スピーカー6.5インチ


VOXの「Pathfinder 10」は一時期「自宅用の小型アンプと言えばコレ」というくらい売れてましたね。(今でも売れていると思います)

出回っている量が多いので、運が良ければフリマサイトで安く買えますし、新品でも安いです。

コスパだけで見ればトップクラスのアンプだと思います。

自分が高校生の時にこんなにコスパの良いアンプがあったら良かったのになぁと考えてしまいます

ただ、マーシャルやフェンダーと同様に、自分のイメージした音を作るためにはペダルと試行錯誤が必要になってくるので、「簡単に格好良い音を出したい」という人には向いていないかも知れません。

まぁ試行錯誤しながら自分の好きな音を見つける作業も楽しいんですけどね。

こちらも、他のモデリングアンプやDAWのプラグインにはVOXのモデリングが入っていることが多いので「敢えて安いVOXのアンプを買わなくてもいいかな」という人もいると思います。


■歪み用のペダル(エフェクター)

アンプを買った後に「自分のイメージしていた音と違う!」って感じることは良くあることだ思います。

特に歪み(オーバードライブやディストーション)系の音は人によって好みがバラバラなので、他の人が「良い!」と言っている音が自分の好みに合うとは限りません。

では、アンプの音が自分の好みでなかった場合にどうするかなのですが、アンプを売る前にペダル(エフェクター)を追加することで、自分の好みの音に近づけることができる可能性があります。

先ほど紹介したアンプのうち特にLaney、Marshall、Fender、VOXあたりのアンプは、音が自然である反面、アンプだけで歪みを作ろうとすると残念な音になりがちです。

そんな時には、アンプのゲインの量を減らして、ペダルで歪みを作ってあげると良い感じになると思います。

ペダルはアンプ以上に沼にはまりやすく基本的にお財布に優しくない世界ですが、「Effects Bakery」というメーカーが安くて良質なペダルを出しているので、初心者の方にはおすすめです。

歪み系のエフェクターの中では初心者の人であれば「Croissant Distortion」が使いやすいと思います。



ちなみにBOSSも様々なエフェクターを出していて有名なので、BOSSのエフェクターを集めたくなる人は多いと思うのですが、個人的にBOSSのコンパクトエフェクターを集めるくらいであれば最初のうちはマルチエフェクターを買ったほうがお得だと思います。

昔は「コンパクトエフェクターの音」 >>>>(越えられない壁) >>>> 「マルチエフェクターの音」という感じで、マルチエフェクターを使っていると哀れみの目で見られることもあったのですが、最近はマルチエフェクターも進化していて、コンパクトエフェクターとマルチエフェクターの違いは、好みの違いの世界になってきています。

また、昔のマルチエフェクターは基本的に操作が面倒だったりするんですが、BOSSの「ME」シリーズはツマミがいっぱい付いていてコンパクトエフェクターと同じような感覚で使えます。

しかも、マルチエフェクターには、様々なペダルやアンプのモデリングが入っていたりするので(例えばBOSSの「ME-80」にはBOSSのペダルの他にIbanez の 「TS-808」 やElectro Harmonics の 「Big Muff」 のモデリングが入っている)、有名なペダルにどのような特徴があるのか自分の耳で勉強することもできます。

なのでエフェクターにあまりお金をかけられないという人は、最初からマルチエフェクターを買っておいたほうが良いと思います。

ただマルチエフェクターでは作れない自分が好きなペダルが見つかった時には、結局コンパクトエフェクターの沼にはまっていくんですけどね。


■モニタリング用のヘッドホン

蛇足ですが、アンプを買った後も夜中にギターを弾く時にはヘッドホンを使わざるを得ないことあると思います。

自宅にあるヘッドホンを色々と試してみたのですが、ギターを練習する時には個人的にはAKGの「K240」が使いやすいと思います。

最近だと「ぼっち・ざ・ろっく!」の「後藤ひとり」が使っているということで話題になって居るようですが、昔からコスパが良いと評判のヘッドホンです。

「K240」は付け心地が良く疲れにくく、耳をすっぽりと覆うタイプで半解放型(セミオープン)なので蒸れにくいです。

低音もそこそこ出るものの解像度が高すぎないのでギターの音が耳に刺さるような不快感もありません。

ただ、このヘッドホンは高音域が弱めなので「K240」で音作りをしたセッティングでスタジオで音を出すと「キンキン」「ギャリギャリ」としたハイの強い音になりがちで、その点は慣れが必要かなと思います。

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