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フィラメント防湿ケースを作る実験

麦茶さんとかけるさんの動画を見て、湿気対策のために防湿ケースが必要なのだと知ったのは約半年前のこと。麦茶さんのは穴あけが多く、ドリルとかをできるだけ使わないように考えられたかけるさんの防湿ケースのほうが私向きと思い、かけるさんの動画を参考に防湿ケースを作りました。

しかしながら、最近は紙製スプールが多いため、ベアリングを使用していないローラー上でうまくスプールが回らず、結果的に印刷に失敗するケースが出てきました。特に、TPUなど軟らかいフィラメントだと引っ張られてダメなようなのでベアリング仕様のフィラメントホルダー(Mini+購入時についてきたもの)をしていました。
かけるさんはFusion360のモデルも共有してくださっていますので、そちらをお借りして改造することとしました。

この記事を書いていて気が付いたのですが、かけるさんはベアリングバージョンをデザインされていました。それをお借りすれば早かったのに!
ベアリングバージョンへのリンクも上記からたどれます。
何はともあれ、改版させていただいた防湿ケースをこちらで共有したいと思います。

実験条件

目的:防湿ケースのベアリング化
実験日:2022年5月30日
実験環境: 3Dプリンタ Prusa Mini+
ノズル交換時期:2022年3月25日
フィラメント: RepRapper PLA+ 白
デザイン: かけるさんの防湿フィラメントホルダーのModify

使用したフィラメントはこちら

湿度計はこちら(現在品切れのようですが)

ベアリングはこちら


改版ポイント

あくまでも、私の環境では問題があったということで、モデルそのものに問題があるわけではないと思います。が、せっかくなのでプロのデザインはどんなものか見てみたいということで、デザインの蓋を開けてみました。

  1. すべてのパーツがアセンブリ化されていてまるでお手本でした。改造するにあたり、変更したい個所を追っていくわけですが、なぜこの作業でこういう加工になるのだろう、と興味深く観察しました。まだまだ理解しきるには時間がかかりそうです。
    肝心のこだわったポイントはこちら

    1. ベアリングの使用 先にも書いたように、フィラメントのスプールが紙製のものが増え、うまく回らなくなり、印刷に失敗することがありました。よって、ベアリングの使用は必須と考えました。

    2. 部品点数の削減 オリジナルデザインでは10点の印刷が必要でした。 Bearing outerをシャフトに一体化することで削減することにより、部品数を6点にすることができました。

    3. 不要な(私にとって)凹凸の削減 フィラメントの下に乾燥剤をおけるスペースがあり、ずれどめのためだと思いますが無数の凸部があります。乾燥剤はフィラメントのスプール内に収まるものを別途デザインしましたのでこちらは削除しました。また、前面パネルに不思議なスペースがあり不要なサポートを作って外したりと不可解な作業を求められました。

    4. シリカゲルケースの追加
      パッキングされた乾燥剤は高価なため、大袋入りのシリカゲルをお茶パックに入れて使っていましたがこぼれることがおおく、ケースをデザインしました。フィラメントによってスプールの穴の大きさが異なります。最も小さい部類のPrusamentでも蓋を開け閉めしなくても使えるサイズにしました。

デザインのポイント

シャフト

10mm * 22mm * 6mmのベアリングと篏合する部分の寸法を変更しました。また、Bearing Outerをとりやめたので、その部分にスロープを付けました。一次試作ではそれをしなかったがために、ボディとシャフトの隙間にフィラメントスプールがはまったことが何度かありました。

本体

ベアリングが入れられるように寸法を変更しました。また、用途不明なへっこみがあり、意識しないでプリントするとサポートがつき、狭い隙間にサポートが形成されるのでそれを外したりと面倒でしたのでその部分を埋めました。先にも書きましたが、乾燥剤を置くスペースに無数の突起がありましたが、乾燥剤は別に用意することとしましたのでこれを外しました。念のため、乾燥剤をパッキングせずに入れることを考え、せき止める部分を高くしたきおくがあります。

あとは、すみません忘れました。

乾燥剤ケース

フィラメントスプールの穴に入れられる乾燥剤ケースを作りました。穴はFusion360のエンボス機能を利用しました。ケースはねじが切ってありますので、蓋を回して開け閉めするタイプです。

スライサの設定

プリント時間がそれほど違わないようですので、インフィル20%としました。サポートが簡単に外れるような設定にしてあります。具体的には、サポートの射出幅は0.25mm、トップコンタクト距離は0.15mm、ボトムコンタクト距離は0.2mmです。


プリント結果

実際に使用する様子はこちらです。ケース背面にフィラメントを取り出す穴があります。

300円のケースにいれたところ

本体がケースにとりついていないことの利点は、フィラメントの取り出し方向を前面と背面とで変えられることですこの置き方だと、背面にプリンタがりますので、背面方向に穴があったほうがよいです。フィラメントケースの置き方次第では逆のほうがよいときもあります。どちらでも使えるのが利点です。

プリントした部分をケースから取り出したところ

シリカゲルケースはこちら。Prusamentの径の小さいスプールにも適合します。両側が太くなっていることで穴から外れることがありません。

上部が蓋。スプールの穴に入ります


考察

実は最近、麦茶さんのベアリング内蔵フィラメントケースを購入しました。部品の精度が高く、穴あけも余分な傷一つなく、同じレベルで自作するのは無理だ!と思いました。大変恐縮ながら、時間をお金で買わせていただく、ということでSTLファイルは共有されていますが自作は断念しました。
かけるさんのデザインは、かけるさんがおっしゃるように穴あけを減らしているとのことで、私のニーズとマッチしますのでこちらを改版させていただきました。結果的に、使い勝手はばっちりです。

よろしければ、こちらからダウンロードしてお使いください。
その前に、Fusion360お勉強中の方はかけるさんのFusion360のデザインが参考になると思います。前出のリンクからたどってみてください。

麦茶さんのベアリング付防湿ケースの紹介動画はこちらです。


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