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採用面接におけるコツ

こんな話を聞いたことがある。
就職活動中の学生は、採用面接にて、面接官に「ご自身は運が良い方だと思いますか?悪い方だと思いますか?」と聞かれることがある。
そして、その問いに対する正解(採用に有利だとされる方)は、「私は運が良い方だと思っております」というものらしいのだ。

さて、皆さんは就活というものを経験したことがあるだろうか?
筆者は就活、転職活動をそこそこ経験している方だが、実は、アルバイトも含めて面接結果が「不採用」となったことが一度もない。
もちろん業種も関係しているとは思うが、ありがたいことに、採用後に「面接のときから良い人だなって感じてたんだよ」と言われることが多いのだ。
いわゆる圧迫面接のような、人格否定に対する反応を見ている、というふうな面接を受けたこともあるが、さらっと受け流して内定を頂いていた(入社はしなかったが)。

ちなみにだが、筆者は「面接対策」のような講義・研修を受けたこともなければ、そういった啓発本・対策本のようなものを読んだこともなく、定型文を暗記するようなこともしたことがない。
だからといって、「私は人格・能力ともに優れているからいつも採用を貰うのだ!」と思っているわけでは全くなく、これはちょっとしたコツさえ押さえていれば誰にでもできることじゃないか?と思ってる。
なので今回は、そのコツについて少し書いてみたい。

まずは、対策本のようなものの可否についてなのだが。
面接が全く初めてという方であれば、質問の雰囲気を掴むために1冊くらいは読んでみてもいいのかもしれない。
ただ、何度も面接を受けていて、でも上手くいかず、採用が欲しいからいわゆる「虎の巻」を求める気持ちで読むのであれば、正直不要なのではないかな?と思う。

面接の際に必要なことは、基本的には
①面接を受ける企業のこと(店舗数、店舗がある都道府県、従業員数、業務内容、企業理念など)をある程度調べておく
②一般的なマナー(服装、髪形、座り方など)を身につけておく
②面接の際の受け答え(会話内容)で好印象を与える
の3つであると思う。

①は事前にネットで調べておけば答えがすぐに出るものであるし、②についても、ネットで検索をかけていくつかのサイトを参照すれば、ある程度清潔感があり、相手に不快感を与えないで済むマナーを身につけることができると思う。
問題は、③である。
この受け答えについて、「何が正しいのか」「模範解答は何なのか」みたいな部分に関する対策本や必勝法解説!みたいなサイトがたくさんあるのではないだろうか。

だが、当然ありとあらゆる面接に対応できる「模範解答」みたいなものは存在しない。
こういう質問がきたらこう答えましょう、というふうな「正解」を丸暗記して、面接中にそれを必死に思い出しながら口にしたって、面接官に必ず好印象を与えられるとは限らないのだ。

むしろ、面接官にとっては、「みんな同じこと言うなあ、なんかそういう対策本でもあるのかな」「用意された模範解答って感じで面白味もないし、そんな言葉を並べられても印象に残らない」というふうになってしまう可能性が高いのである。

では、どうすればいいのか?
私が思うに、面接の際に必要なものは「特定の言葉」ではない。
好印象を与えるために必要なのは、「素直さ」と「前向きさ」である。
そのために具体的に何を言えばいいのか?という話だと思うのだが、その前に冒頭の質問に戻ってみたいと思う。

「あなたは運が良い方だと思いますか?」
これに対する回答は別にイエスでもノーでも構わないと思うのだが、その回答の後に続きそうな言葉を想像してみてほしい。

「はい、運は良い方だと思っております。何事にも挑戦させてくれる両親や、困ったときに助けてくれる友人、色んな新しいことを教えてくださる教師の方々など、周りの人に恵まれていたこともあり、ここまでやってくることができたと思っております」

「いいえ、運は悪い方です。コンビニで買い物をしていても、自分の前の人で丁度買いたいものが売り切れてしまったり、大事な日に限って電車が遅延していて遅刻してしまいそうになったり、そんなことばかりです」

仮にこの2つがどちらも事実で、どちらの志願者も経歴や資格の数は同じくらいで、マナーもよく、懸念点は特になかったとする。
しかし、このうちのどちらか1人しか採用できないという場合は、面接官はどちらを採用しそうだろうか?

もちろん、採用面接なんて言うものはほぼ100%面接官の好みで判断されるようなものなので、明確にどちらが選ばれると断言することはできない。
ただ、上記の例であれば、採用される確率が高いのは、どちらかといえば前者の方ではないだろうか?

この場合重視されているのは、質問に対する答えがイエスなのかノーなのかというところではない。
その回答の後に続く部分で、「どんなふうな人柄をその人から感じることができるか?」という部分だ(つまり、イエスかノーかの回答だけで終了する人は論外であるわけだが)。
前者からは、「自分も努力をしているが、自分が努力できる環境を作ってくれているのは周囲の人間である」というふうな謙虚で前向きな姿勢を感じ、後者からは「自分ではどうしようもないような不運な出来事を、いつまでも記憶していて不満に思っている人」のような後ろ向きな雰囲気を感じるのではないだろうか?

もしくは、一緒に仕事をするとして、上手くいったことについて「いや~運がよかったところもありますよ!」と報告されるのと、上手くいかなかったことについて「運が悪かったんです」と報告されるのとでは、上司としてはどちらの方が良い印象を受けるだろうか?
どちらかといえば、部下には前者であってほしいと感じる人が過半数なのではないだろうか。

これはただの一例であるが、採用するかどうかという点において、経歴や資格などは履歴書を読めば誰でもわかるところである。
わざわざ面接を行うということは、その人の「人となり」を見たいということであり、その「人となり」の部分で好印象を与えること、すなわち「素直で前向きだから、真面目に一生懸命働いてくれそうだな」と思ってもらうことが重要なのである。

例えば、先ほどの質問にノーと答えたとしよう。
しかし、その後に続く言葉がこんなふうだったらどうだろうか。
「いいえ、私は運が悪い方だと思います。しっかり感染予防をしていたのに病気にかかってしまったり、大事な予定の際に渋滞に巻き込まれてしまったりすることもあります。でも、そのおかげで、事前に『こういうことが起こったらこう対応しよう』と準備する癖をつけることができました。そう考えると、悪いことばかりでもないのかもしれませんね」

まあ、ここまですらすらと喋られると若干胡散臭いかもしれないが、こういう回答であれば、例え答えがノーであっても、なんとなく前向きな印象を与えられるのではないだろうか?

すなわち、受け答えの際に重要なのは、「自分の経験や意見(ここの部分はなんでもいい)」を、「素直に受け止め」「前向きに話す」という姿勢なのである。
この姿勢を崩さずに、想定される質問に対して、ある程度の流れを事前にイメージしておくとよい。

例えばじっくり考えることが苦手な体育会系の人であれば、長所は「すぐに動くことができること、瞬発力があるところです」で、短所は「その場に立ち止まってゆっくり考えることが苦手です。なので、動く前には必ず一呼吸おいて、冷静になるよう心掛けています」というふうに、長所と短所を結び付けて矛盾をなくしたうえで、前向きな姿勢を示せばよい。

人付き合いが苦手であまり活動的ではない人であれば、長所は「1つの物事について、頭の中で長くしっかりと考えることができます」で、短所は「考えすぎて、机上の空論となってしまうことがあります。なので、積極的に行動に移すよう意識して何事にも取り組んでいます」というふうに、こちらも長所と短所を裏表の関係にした上で、改善する意志がありますよというポジティブな考えを示すと良いだろう。

こんなふうにして、個性(1人1人異なる意見や体験の部分)と、「素直で前向きですよ」という標準化された好ましい人格を組み合わせて、ある程度の自分専用の回答(の流れ)は事前に用意しておくといい。
もちろん突拍子のない質問をされることもあるため、そういう場合も焦らず、咄嗟に思いついた自分の考えと、「素直で前向きですよ」のテンションを上手いこと混ぜ合わせて返答すればよいのだ。

筆者が今までに受けた面接の中で記憶に残っているものといえば、ありきたりかもしれないが、「苦手な人のタイプはどんなものですか?」というどう答えても後ろ向きな姿勢になりそうな問いと、それに続いた「職場にそういうタイプの人がいたらどうしますか?」という質問だ。

私は頭の中で「苦手な人間なんていっぱいいるわ~」と思いながら、後ろ向きにならないためには「ある程度一般的な意見であること」「あまり悪い言葉を使わないこと」が重要かなあと考えた。
回答としては、「強い言葉、暴言を使ったり大きな声で怒鳴ったりする人が苦手です」「業務以外のことでは関わらないよう、必要最低限の関わりだけにしてある程度は我慢しますが、私だけでなく職場全体として雰囲気が悪く感じているようであれば上長に相談します」というふうに答えたと記憶している。

この答えが100点満点だったとは思わないが、「人間関係を大切にする穏やかな人」というふうな個性を見せつつ、「嫌なことでも我慢するある程度は意志があり、解決のために動く積極性もある」という素直さ・前向きさを表現することができていたように思う。

随分長くなってしまった。
ここまで読んでくださった方のために、最後に面接に取り組む際におすすめのテンションについて紹介したいと思う。

面接を担当している面接官が、どんなふうな感情で志望者を見ているかご存じだろうか?
それは、基本的には「これから仲間になるかもしれない人」と思って志願者と話しているのである。
つまり、必然的に、それに対してこちらはこういうふうに振る舞うのが良い。

「私の仲間になってくれるかもしれない人だ!」

そう思って面接に挑むのが一番である。
なんなら、「新しく知り合いになる人と楽しくお喋りしにいく」くらいのテンションで構わない。
ともかく、最初から、こちらが先に好意的な雰囲気を作っていくのだ。
それだけで、「素直で前向きな」印象を与えることができる。

もし、万が一、面接官が「とてもじゃないけどこいつは仲間にしたくないな・・・」という人だった場合、別の会社を受けた方がよいだろう。
圧迫面接に合格したから、あるいは不合格だったからといって、喜んだり悲しんだりする必要はないと思う。
採用担当の人事部・採用部などは基本的に会社の「顔」であるわけなので、その部分が汚れている場合、中身も期待できたものではない。
相性が悪かったんだなあ、ここにいても居心地が悪いだけだろうなあ。そう考えてあまり気にせず、さっさと次にいくのがよい。

筆者は舌が8枚くらいある上に、相手に合わせて人格ごと入れ替えて相手の好みそうな言葉をぺらぺらと話せる不誠実クソカメレオンなので、もしかしたらあまり参考にはならないかもしれませんが。
あまり気負わず、明るく前向きにという部分だけでも参考にしていただけると幸いです。

ではでは、今回はこのへんで。

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