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マンダラ世界

ゴールデンウィークに生誕1250年を記念した空海展に行ってきた。あまりにも複雑かつ壮大で、自分なりにも理解するには時間がかかりそうだけど、長い歴史を経て現存する両界曼荼羅と対面できるなんて、贅沢極まりない。という価値は充分理解できた。空海が製作に携わった曼荼羅あり、直筆の書がありと大満足の展覧会。その空間にいるだけで文化レベルが上がりそうで嬉しい(笑)

曼荼羅は、とにかくそのストーリーが壮大で人間の想像力と発想力の偉大さを感じる。当時は今から比べると想像できないぐらい混沌とした世の中で、人間は1日1日の食事を確保するのも大変だったろうし、衛生面での問題、治安の問題など、想像できないぐらい混沌としていたに違いない。空海を同じ香川県の出身画家で猪熊弦一郎がいるが、彼が好きな言葉は「Confusion and order:混沌と秩序」だったと最近知った。混沌とした中に、何か一つ置くことによって秩序が生まれる。混沌としていたから秩序が必要とされる。その秩序が生み出す美しさ。曼荼羅が多くの人を惹きつけ、美しく見えるのはそういう理由なのかもしれない。

ちなみに空海が偉大なのはもちろんだけど、これだけのものを1000年以上残してきた数多くの先人の尽力に頭が下がる。空海の人生たった60年余。もちろんまだ今も祈り続けていると言うことなのだけれど、時の権力者から密教を学ぶものから1000年以上その教えや、彼の成し遂げたものが守り続けられるのがすごい。

空海は密教のみならず、様々な能力を発揮したマルチプロデューサーだ。香川県にあるまんのう池は水不足解消のために、空海が造ったもの。うどんの元となったものも空海が持ち帰ってきたと言うことなので、たった2年の滞在期間中どれだけのものを吸収してきたのかと思うと、ダイソンもびっくりの吸収力!(それは不謹慎か)空海の脳はギガバイト級だったのか。好奇心、観察力、集中力、記憶力、全てにおいてハイレベルな能力を持っていたに違いない。

展覧会で学んだことの一つにこの時代のインターナショナルさ。空海の師匠、恵果は知っていたけれど真言八祖像で初めてその8人のつながりを知る。インド人、中国人、日本人。この時代かなりインターナショナル。ボーダレスであり、どんな国の人ともすぐに繋がることができる現代において、アジアはもっと同じ思想や価値観で深く繋がることができそうに思った。言葉や人種の違いを超えて思想で繋がる。

また甥の智泉が亡くなった時の空海の嘆き悲しみが深かったことを知り、人間として深い愛情を持っていたことが想像できる。歴史上の伝説的人物って神格化しすぎて、人ではないように扱われることが多い。探究心と行動力は人並み外れていただろうけれど、人間的な魅力が溢れる素敵な人だったに違いない。同じ時代に生きていたら惚れてしまいそう(笑)立派な教えだけでは人々を長い時間に渡って動かすことはできない。その背景に人として好きになれるような温かさ、純粋さ、優しさがこもっているからこそ、歴史を超えて今なお人々の心を惹きつける人なんだろうな。

ということで、学び大き空海展でした。そんなことでもっと空海を知りたくなったのでプランとしては、高野山、そしていよいよ四国八十八ヶ所参りかなぁ。

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