見出し画像

砂州を裸足で歩いた

地図を見ると近くにちりりんロードという地名があった
なんだかチロリン村みたいな名前だ
古いですね
私はテレビっ子第一世代ですから

きょうはゆっくり休みながら走っても昼頃には目的地の谷山港に到着してしまう
立ち寄ってみることにした
雨降りなので開聞岳登山というプランも既に諦めている
その島の名前は知林ヶ島
歩いて渡れるのは干潮時に砂州が現れる時のみだ
午前中はちょうどその時間帯にさしかかっていた
海岸沿いを走ると右手に国民休暇村の建物とキャンプ場施設があった
遊歩道を右に入りどんどん進むと浜に出た

穏やかな波の音が聞こえる
なるほど確かに道のように砂州が島まで延びている
遠くに人が歩いているのが見えた
近くの木に自転車を立て掛けてさっそく歩き出した
砂地だからどうも歩きにくい
途中から裸足になった
砂粒の感触が心地よい
対岸は近いように見えて意外と遠い
先に歩いている人に追いついた
声をかけて話してみると
これから島に出勤だそうだ
潮が満ちてきて帰れなくなってしまう観光客がたまにいる
帰るに帰れなくなるのだ
そうなった時には案内板に書いてある電話番号に連絡すればボートで迎えに来てくれるそうだが救難活動ということになり万単位の費用を請求されるとの事
それを未然に防ぐために島の入り口の日傘の下で案内と留守番を2人1組で毎日しているのだそうだ
なかなか面白い商売だと言ったら失礼か
金儲けでやっているわけではないのだから
自然に合わせて毎日出勤時間が変わるのがいい
2人とも年配者だからもしかしたらシルバー人材センターから来ているのかもしれない
まあそこまでは聞いていないが
なんとなく平和な使命の仕事で羨ましくなった
しかも証明書を発行する業務もある

島の上部の展望台まで登りどんよりとした景色を眺めていたら女性が一人登ってきた
旅は道連れと一緒に遊歩道を歩いた
雨で濡れた木道は滑りやすく何度も転びそうになった
彼女の方は前日開聞岳に登ってきたそうだ
山登りが趣味で時間を工面しては各地の山に出かけているようだ
お互い子供も独り立ちしている
今はそんな年代の旅行者の多い季節なのだ
天気も良くなく景色を楽しむということもなかったが山登りの事や家族のことなど話しながら歩くことができた
それも旅の縁
午後には鹿児島空港から帰宅するとの事
自宅は羽田空港から近いそうだから夜には
家の布団で寝られるのだ
便利な所にお住まいで羨ましくもある
私は長野県北部から来ているので帰るだけでも長旅だ
好きで時間の掛かる自転車旅をしているのだ
そこを羨んでもしょうがない
帰る日未定の旅だから時間の贅沢とも言えるかもしれない

浜まで戻ったときに記念に渡島証明書を買い求めた
やはり私は懲りない人間なのだ

#知林ヶ島 #指宿 #自転車旅 #縁 #証明書  

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?