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旅の宿と日常感覚

指宿では湯の里ユースホステルに泊まった
久しぶりのY.H利用だ
昭和40年代から50年代
その頃が一番活気のあった時代だったんじゃないかな
ドイツ発祥
安い宿代で質素な旅行をする若者相手の会員制
基本ドミトリー部屋で食事は全員一緒に
決められた時間に食べる
飲酒は禁止
消灯時間も決まっていた
スリーピングシーツを持参する
あるいは借りる
毛布は決められた畳み方でベッドの所定位置に置く
食後のミーティングに参加する
などなど今から思えばいろいろ決まり事が多かった
特に運営主体が直営と公営はそうだった
旅人をもてなすと言う発想からは真逆の教育的とも言える側面があったり役人的な接し方しかできないペアレントもいた
しかし民営は個性的な宿が多く思い返せば楽しい思い出が多い
寺の宿坊や釣り人宿、旅館がユースホステルを兼ねていたりした
決まり事などどこ吹く風
ただ旅人と接するのが好きでたまらない
そんな宿もあった
一期一会の出会いがあり翌日から一緒に旅したり
連泊が続いていつの間にかヘルパーとなって夏休み中滞在した人もいた
時代が変わり旅行者のニーズに合わせてルールも随分変わった
個室あり飲酒OK、寝具はそのままで良いなど
普通の民宿と使い勝手はなんら変わりはない所がむしろ多いのではないか
でなければ消滅していただろう
今でも絶滅危惧種的なY.Hが存在するのだろうか
それはそれで貴重な体験ができて面白いかもしれない
今回泊まった湯の里ユースホステルも民営で
指宿市内の住宅地の中にひっそりとあるごく普通の宿だった
玄関周りには所狭しと鉢植えが並べてあり自転車の置き場所にちょっと困った昭和感満載の佇まい
旅人相手に話をするのが好きな年配のご婦人が切り盛りしていた
といっても当日は泊まり客私一人だったから二階の畳部屋を独占することになった
浴室には温泉が引いてあってすぐに入ることが出来た
『お湯入れたばかりだからすぐに入れるわよ』
と言われたから素直に入ったまでだ
ちょっと大きめだがごく普通の家庭用ステンレス浴槽だ
私は嗅覚が馬鹿だから匂いはほとんど感じない
ナトリウム泉らしく身体が温まった
『指宿は砂蒸し風呂くらいしか観光名所はないから』
と言われたが私にはこんな普通が却って心地よい
近所のコインランドリーに行きコンビニでビールと南九州新聞を買った
夕食と朝食を頼んであったので一人食堂でテレビを見ながら食べた

部屋に戻り久しぶりの布団の感触にほっとした
ホテル泊にはない民宿的な安心感がここにはある
そんな宿も悪くはない
普通ってお金では買えない
買う必要もない
非日常の刺激を求めて旅に出ているのに
ありふれた場所に出会いほっとする時がある
帰る日未定の旅だからだろうか
同宿者がいれは旅の話もできたのだがちょっと寂しい夜だった

#ユースホステル #温泉 #指宿  

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