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夢の一戦が消滅の危機!!武尊はレオナ・ぺタスに勝てるのか?!

2020年大晦日に、さいたまスーパーアリーナで開催されたRIZIN26に武尊が電撃来場!格闘技ファン待望の武尊vs那須川天心のドリームマッチ実現の機運が高まる中、武尊はK-1の年間最大イベントであるK'FESTA.4で最強のチャレンジャーとの呼び声が高いレオナ・ぺタスを迎え撃つこととなった。

K-1のトップコンテンダーをことごとく撃破してきたのにもかかわらず、なかなか武尊との対戦まで辿り着けなかったレオナ。しかしセコンドについた武尊の眼前で彼の盟友である大岩相手に完封勝利をあげたことでタイトルへの挑戦権をもぎ取った。

175センチの長身から繰り出される右ストレートを主武器とするレオナ。
対してフックの連打が必勝パターンである武尊。お互いのリーチ差から生まれる射程距離の違いからレオナは武尊にとって、とてつもなく相性が悪く、まさに天敵と言える対戦相手だ。

K-1の象徴 武尊

私の中では当初、武尊は舌を出すイケイケの兄ちゃんという印象に過ぎなかった。彼をK-1のアイコンとして認識したのはビクトー・サラビアとの一戦からだ。この試合でサラビアの放ったバックキックが武尊の金的に直撃。彼は悶絶し、あげくにリング上で嘔吐した。

蹴りの中でも最も威力があるとされるバックキック。それが生殖器官を司る急所中の急所である金的に直撃だ。まさに地獄の苦しみであっただろう。金的に衝撃を喰らうと脳が危険信号を出し身体の動きを制限し始める。なぜなら動物としてのオス最大の仕事は子孫を残すことだからだ。

試合を観戦していた私は、画面越しから伝わる武尊の苦悶の表情から、もうノーコンテストか武尊の反則勝ちでも良いとさえ思った。メインイベンターの責任感からか、とんでもない苦痛に耐えながら必死に試合を再開させようとする武尊の姿を見たら誰でもそう思うことだろう。

彼の、その一途な気持ちに私は心を打たれた。そして、その後、目の当たりにした怒涛のKO劇は過去に見た、どの試合よりも強烈なインパクトを私に与えた。この時、解説席にいたK-1MAXのカリスマである魔裟斗が、自分よりも武尊の方がK-1を背負って戦っていると発言したのも印象的であった。

最強幻想に踊らされし者とリアリストとの違い

一経営者としての私の浅はかな考えに過ぎないが、格闘技の興行は面白い試合をファンに提供するのが第一義だと思う。面白い試合とは、お互いが相手を倒すべくバチバチに打ち合って生まれる白熱のKO劇である。そしてK-1のマッチメーカーは、そういったカードを組むのに非常に長けていると感じる。

この辺の対戦相手の見極めが出来ないと客を呼べて尚且つ、団体の顔となるメインイベンターなど生まれてはこない。世界は広いと言うが、国内にも強いファイターは数多いる。ましてや勝負事は相対的なものであり、単なる強い弱いで決まるものではない。最強という一種荒唐無稽なことを目指していてはファンが熱狂する不敗のヒーローなどは絶対誕生しないのだ。

もちろん武尊のみならず選手全員は、そんなことなど、これっぽっちも思わず絶対的な強さを追求して日々、厳しいトレーニングに打ち込んでいることだろう。ここで話題に挙げているのは、あくまで組織を安定的に維持運営することを義務付けられた背広組である経営者サイドの話である。

あの神童、那須川天心を抱える団体や関係者も、ある程度相手を選んで試合を組んでいる。多くの格闘技ファンが敗戦認定している因縁のあるロッタンと再戦のチャンスがあったにもかかわらず見送ったり、さらに制限の少ないムエタイルールで試合する場合は階級下の選手を選んでいる。

立ち技最強を目指すならメイウェザーよりも、まだウェイト差のないムエタイの生きる伝説であるセンチャイとムエタイルールでやれば良いし、または既に那須川親子とコネクションがある強豪揃いのONEと提携すれば良い。しかし、それは経営者の判断としてはNGなのだ。

初期のKNOCKOUTも最強路線を突き進んだおかげで、当時のムエタイ王者であったヨードレックペットにチャンピオンである森井が初防衛戦で鼻を潰されてベルトは海外流出。シュートボクシングも最強幻想にとりつかれた挙句、団体史上最高の逸材である海人に強豪外国人を次々に当てた結果、敗戦を重ね失速した。しかしK-1は、そのへんのサジ加減が絶妙なのである。

もし私がK-1のマッチメーカーだったら(妄想)

団体の顔である武尊の対戦相手は見映えの良い欧米人が望ましく、
しかも以下の項目を3つ以上満たす選手に限られる。

1.身長は武尊と同じ位か低いこと
  (リーチ差で有利)
2.頭を振ってパンチを避けないこと
  (ボクシング技術で有利)
3.ムエタイのようにアップライトで構えること
  (首相撲や肘打ちが使えないので有利)
4.フットワークを巧みに使って距離をとらないこと
  (足を止めて打ち合ってくれるので有利)
5.ミドルキック主体のファイトスタイルであること
  (パンチの連打やコンビネーションに反応出来ないので有利)

お判りいただけただろうか?
どの項目にも当てはまらないチャレンジャーがいる。
そう、レオナは武尊にとって、まさしくジョーカーなのだ。

最強の挑戦者 レオナ・ぺタス

スーパーフェザー級ながら175センチの身長を持つレオナは武尊とは一回り骨格が違うように見受けられる。彼の通常とる対戦相手との距離は武尊の攻撃が何一つ当たらない超ロングの間合いである。武尊が距離を詰めに一歩でも踏み込めば射程距離の長い左ジャブや右カーフキックで出鼻をくじかれる。武尊の盟友大岩も、これらを喰らって体力を削られた。

そして強引に接近を試みてもスウェーやダッキングを用いて武尊の初撃を避け、さらにクリンチすることによって攻撃の芽を摘んでしまう。もし武尊がバランスを崩したら、石の拳と称される威力抜群の右が、タメを充分に取るために半身に切られた右体側から放たれるのだ。

構えから読み解くレオナ・ぺタスの出来ること

レオナは足幅を肩幅より広めにとるワイドスタンスで、前足である左足を少し内側に向けるボクサーのような立ち方をするのが特徴的である。そして半身を大きく切り右拳はアゴの横に添え、左手は下げ気味にしたデトロイト・スタイルにやや似た構え方をする。

このキックボクサーとしては特徴的な構え方からレオナの攻撃パターンがある程度読み解ける。まず半身を大きく切って左足を内側に入れていることで左ジャブの射程距離を伸ばし、リーチ差というアドバンテージをさらに高めることが可能となる。

逆に言えば半身を大きく切っているので左フックや左アッパーを打つためのタメを作ることが出来ない。その結果、左手からの攻撃はジャブからしか始まらず、それ以外の左パンチは右ストレートからの返し技のみに限定される。そして同様の理由から、スイッチなどのステップを伴わないキックは右脚からしか出せないのだ。

レオナは、その長いリーチを活かして相手が出ようとした瞬間に左ジャブまたは右カーフキックを放ち、相手の出鼻をくじきながら体力を少しずつ削っていく。そしてしびれを切らした相手が、強引に距離を詰めようとしてガードを崩しながら前進した刹那に、充分にタメをとった右ストレートを放つ。さらに相手が、それに構わず接近してくればクリンチして難を逃れるのだ。

レオナ・ぺタスの攻略法

そんなレオナの攻略法として、まず頭に浮かぶのが肩幅以上に足を広げたワイドスタンスと前足先が内に向いた、そのキックボクサーとしては特徴的な立ち方である。この立ち方では前足を上げてローキックをカットすることが出来ず、尚且つ足先が内に向いているため大腿部に受けるダメージも甚大となる。ゆえに一流のキックボクサーで、こんな立ち方をする者は皆無なのだ。

しかし、長いリーチを持つレオナにとっては、相手がローキックを蹴ってくる瞬間が絶好のカウンターチャンスとなるのだ。相手がローを出そうとインステップしてからパンチを出しても、レオナの左ジャブのほうが相手に早くヒットするからだ。

だが少し視点を変えてみるとレオナの攻略法が見えてくる。彼は人体の急所である、ふくらはぎ横を丸出しにして構えている。遠慮なく流行りのカーフキックを蹴ってあげればよい。カーフキックはローキックより半歩ほど長い距離を保って蹴れるので、レオナのカウンターパンチを被弾するリスクはローキックと比較して小さくなる。

そしてレオナが攻撃する際、その軸となり打撃の力を逃さない壁となるのは前に出した左脚である。それ故に、ここを破壊すればレオナの武器は全て使えなくなるのだ。そしてレオナのか細い脚は、武尊の放つカーフキック数発がクリーンヒットするだけで用を成さなくなるだろう。

加えて、大きく半身を切った構えをとることで生じた、武尊の放つ攻撃が見えにくくなる死角が存在することがあげられる。武尊から見てレオナの右側面が、それにあたる。武尊が前足を何処にポジショニングするかによって、この死角は大きくもなり小さくもなるのだ。

レオナ・ぺタス戦決定のウラ側を妄想全開でお届けします

ファンとの公約である那須川天心との一戦を何としても実現させたい武尊。引退すら囁かれているK-1の大功労者である武尊の気持ちは汲んであげたいが、万が一にでも武尊が負けでもすればK-1のイメージダウンは免れない。過去いくつもの団体が他団体との対抗戦に敗れ消え去ったことか…。

武尊が簡単に那須川天心に負けると思わない。逆に圧倒的なパンチ力を誇る武尊が勝つ可能性も少なくない。そして武尊の勝負強さは折り紙付きだ。しかし一番の懸念材料は、那須川天心が場の空気を読まず足を使ってアウトボクシングに徹した場合である。那須川天心は勝つためには、そういうことも躊躇なくやるだろう。那須川天心については下に詳しく記述しているので、よかったらご一読を。
皇治は那須川天心に いかにして勝つのか?!

https://note.com/7thstreet/n/nb2ed139843f5?magazine_key=m954694c00ab3

K-1の象徴である武尊を倒す者がK-1グループから出てこなければ、新生K-1の伝統がいきなり途絶えストーリーが終わってしまう。これでは100年続く競技を目指すなんて夢のまた夢だ。ほっといても那須川天心は近い将来ボクシングに転向する。だから、言葉は悪いが考えているフリをして、この一戦にGOサインを出すことを引き延ばしてきた。

しかし、それも限界にきた。こうなったら武尊が負けた際のリスクヘッジをきちんと行い、気持ちよくを彼を送り出してあげよう。

えっ?もし武尊がレオナに負けたら那須川天心とのドリームマッチが中止になるかって??そんなことある訳ないよww 仮に那須川天心が志郎に不覚をとっても、ほとんどのマスコミがスルーしてくれる。TVでも、それについては一切触れないだろうね。上の方で何年もかけてまとめた一戦だから中止なんかあり得ない。何事も無かったかのように武尊vs那須川天心が華々しく開催されることだろう。

さて、まず第一に取り掛かったのが、スターである武尊がいなくなっても安定的に資金供給してくれる大口スポンサーの獲得だ。今までも熱心に営業はかけていたが、なかなか実にならず…。しかし今回は違う。那須川天心との一戦を前提として出資を募ると企業の喰いつきも変わってきた。その結果、東証一部上場のサイバーエージェントから第三者割当増資を受けることとなった。

そして一番大事なことは、武尊に引導を渡す者は決して那須川天心であってはならないということだ。その男は必ずK-1グループに所属している日本人選手でなくてはならない。そうすれば武尊が那須川天心に不覚をとっても、K-1の世界観の中では既に世代交代が行われているため、会場にお金を落としてくれるコアなファンは離れない。

そして武尊相手にドロー以上の戦果をあげることが出来るのは、K-1グループ内にはレオナ・ぺタス以外にはいないのだ。レオナのスター性の無さを危惧する声もちらほら聞こえるが、武尊がそうであったようにトップになれば全てにおいて垢抜けてくるものだ。心配無用である。

地方のアマチュア大会から頂点であるK-1チャンピオンまでのピラミッドが構築されたK-1グループでは、次世代スターを目指して若き野獣たちが牙を研いでいる。そう、どんな偉大なチャンピオンでも必ず彼らに喰われる日がやってくるのだ。だがチャンピオンたちの名と偉業は団体が存続する限り後世に語り継がれる。

そう、それが100年続く競技を標榜するK-1グループの世界観なのだ。


あとがき

有名格闘家のYouTubeやSNSで行われている武尊vsレオナ・ぺタスの勝敗予想が出揃ってきた感がある昨今。皆さん、それぞれ立場があるのでハッキリと明言しないが、大半がレオナ・ぺタス優勢と捉えているように見受けられる。

武尊の対戦相手が何らかの条件をもとに選考されているのはファン周知の事実だが、それは武尊の評価を何一つ貶めるものではない。試合勝ち続けるということ、そして相手をKOするということは、それほどに困難な行為なのだ。

当人の血の滲むような努力と、勝利を渇望する一種、偏執的な感情を抜きにしては実現できないものである。K-1の世界観の中では魔袈斗と武尊しか到達していない境地でもある。

武尊はピュアな人間である。ごまかしを良しとせず愚直にファンとの約束を守ろうとする姿勢からも、それは伺える。私は、そんな彼が体現するかもしれない奇跡の瞬間をみんなと共有したいのだ。

武尊が、最強チャレンジャーの風格を携えたレオナ・ぺタスを見事に撃破して新生K-1のフェーズ1を締めくくるとともに、その後に控えるであろう那須川天心との最強決定戦に駒を進め、勝利を収める瞬間を共に迎えることを切望している。

written by 7th street

END


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