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雑煮で感じる、家の雰囲気

嫁ぎ先の雑煮を初めて見た時、餅を探した。

大根をはじめとした根菜類がたっぷりと餅に覆い被さり野菜から出た水分がメインの為、汁も少なめ。ごぼうや煮干しが入っていて癖も強く、魚介系ラーメンが苦手な私は、なかなか食べ終えるまでに時間がかかってしまった記憶がある。

一方、実家では鶏肉、長ネギが基本食材の醤油ベース仕上げに三つ葉をぱらり。非常にシンプル。
やっぱりコレだわ~と結婚当初は思っていたものの、10年以上経つと、元旦の最初に口に迎えるものは、嫁ぎ先の雑煮ではないと落ち着かなくなってしまった。

色んなお宅のお雑煮が食べてみたい。一番気になっているのは、白味噌の雑煮だ。西へ旅行に行く際は、食べられるお店がないか調べてみようかな。
まぁこの熱も、正月を過ぎれば忘れ去られてしまうのだけど。

あとは餅の形。私の住む東では角餅。餅の形の由来は諸説あるが、西の丸餅は「角が立たず、丸く収まるように」だとか。なんとも穏やかで新年に相応しく感じる。それに対して、わが地域の角餅は「敵をのす」。なんとも穏やかではない。

西の方は、餅をついたら丸めるそうだ。我が家ではついたら、のし袋にいれ、伸ばし、冷え固まった翌日切る。鏡餅だけは丸めるのだが、その作業がまるでパン作りのような、しっとり柔らかな手触りで気持ち良く、とても楽しい。めちゃくちゃ熱いけど。我が家も全部丸めてしまいたい位だ。

でも数を多く作るとなると大変か?家族総出でワイワイ丸めるのも楽しそうでは?などとおそらく採用されない餅づくりを妄想して楽しむ。

地域ごとの暮らしや人々の性格まで見えてくるようで、料理というのは奥が深く、面白い世界だ。

夫の祖母が作り続けていた雑煮を、近年はその息子である義父が作ってくれている。流れ的にここは夫に引き継いでもらいたいと私は思っている。
雑煮にはうるさい夫が、「今年の雑煮は・・・」などと父へ言う度に、その思い伝え続けている。

そんな夫も、今ではすっかり私の実家の雑煮の虜だ。ここだけの話、私の実家へ雑煮を食べに行っているんではないか?と密かに思っている。

このままでは将来、我が家では2種類の雑煮を作り、食すという、稀な家庭となりそうだ。   しかし、それさえも受け入れてくれるだろう嫁ぎ先の、癖は強めだけど自由な雰囲気が私は好きだ。

私が餅を丸める日もそう遠くはないかもしれない。

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