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歴史小説大賞に参加中の作品について

アルファポリスさんの「歴史・時代小説大賞」に参加している「永き夜の遠の睡りの皆目醒め」https://www.alphapolis.co.jp/novel/806277468/506756984について、少々、裏話など。

本作は、資料を読んでいた時に、
「あれ? もしかして土方さんって芹沢鴨のこと、結構嫌いじゃなかったんじゃないか? むしろ好き?」と
思ってしまったのが、スタートになります。

きっかけは、作中にも出てきますが、
土方が実家にあてた手紙のテンションが、あからさまにおかしかったこと。
そして、その中で、酔っぱらった芹沢が良く歌っていた歌が書き連れられていたこと。
ここに、違和感を抱いたからでした。

その違和感を軸に資料を読込んでいくと、
この土方という男が、いかに時代に流されてきたかが
よくわかりました。

尊王攘夷を掲げて活動して、
浪人から幕臣、
最後には函館でクーデターを起こし、外国人の助けを得て戦う
朝敵になっているところから見ても、
北へ北へと向かうにつれ、立場も何もかも変わっていく。
その様子から目が離せませんでした。

一方で、新撰組は土方たちの「本隊」とは別行動をする組もありました。
なぜか、当時「陸の孤島」として名高かった常州(現在の茨城県)に向かい
潮来あたりを経由して、会津に北上しているのです。
この危険なルートを取る理由も、意味が分かりませんでした。
このルートは、芹沢鴨の実家あたりを経由したことになります。
それであれば、芹沢鴨の実家へ向かったのではないかという仮説が立ちました。
では、なぜ、芹沢鴨の実家へ向かったか・・。

そして、板橋で処刑された近藤の首は、いったい誰が持ち去ったか。
そのようなことを考えていくと、実に、面妖な物語が出来上がりました。

実は、幕末のころになると、何年何月何日になにが起きたかというのは
日割りでわかります。
様々な方の日記が残っているからです。
天気までわかります。
たとえば桜田門外の変でいえば、雪の中行われた犯行ですが、
昼ぐらいには雪がやんだ(場所は品川)という記録を残している人がいることが
わかっています。
本作は、可能な限り、資料を読みこんで、その隙間隙間を創作で縫うような
物語になっています。
(本作を書いてから、たぶん十年近い歳月を経ていますので、
その間に新資料とかもあるかもしれませんし、
こちらの読込ミスというのもあるかもしれませんが、
おおむね事実に即していると思います)

そもそもの土方は、彼の残した(たいして上手ではない)俳句集を見てもわかるように
素朴な心をもった男だったとおもいます。
そんな男が、幕末の表舞台を、運命に逆らうようにさわやかに逆走していった
その瞬間のどこかでも、描けていたら幸いです。

よろしかったら、応援して下さいね!

「永き夜の遠の睡りの皆目醒め」https://www.alphapolis.co.jp/novel/806277468/506756984


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