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おじさんとわたし 3 (遺書レシピ)


おじさんがクッキングノートをくれた。

自分の気に入ったレシピを書き留めておくのにちょうど良さそうである。

どのレシピを書こうかしら…と考えていてふと気づいたことがある。

自分の食の記憶の大半は、母とおじさんの手料理で構成されているということだ。


母子家庭で母は毎日忙しく働いていたけど、朝ごはんやお弁当は必ず作ってくれた。

高校生で上京してからは、おじさんの手料理を毎日食べて過ごした。
(たまにお弁当の海苔がハート型にされていて、友人たちから愛妻弁当とからかわれた)

先日、テレビかラジオか忘れたけど、何かで聞いた言葉がある。


死んだ人の顔は写真で思い出せるけど
匂いや声は思い出せない時代があった
今の時代、声を思い出せる術があって良い

なんかこんな感じのニュアンスだった。


母やおじさんの料理を再現することで、一緒に暮らした日々や彼ら自身を懐かしむ日が来るかもしれない。

と、ふと思い

そのクッキングノートは母とおじさんの手料理のレシピをメモすることにした。


タイトルは『遺書レシピ』

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