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処女とハンバーガー

先日、ハワイをモチーフにしたちょっとリッチなバーガー屋さんでアボカドチーズバーガーを食べていたら、Twitterのタイムラインに性的同意年齢のニュースが流れてきた。

性的同意年齢。
調べると
『性行為の同意能力があるとみなされる年齢の下限のこと』
と書いてあった。

私は16歳の頃を思い出す。

当時の私はセックスについての知識といえば中学校の保健体育で習ったものだけだった。

・セックスの時はコンドームをしましょう。
・望まない性行為は拒否しましょう。
・精子が卵子と受精し、着床すると妊娠します。

私は3歳から母子家庭だったため、男の人の局部というものにあまり接触する機会が少なかった。

小学生の頃、友人や同級生が「お父さんがお風呂あがりにフルチンで歩いてたー!」と言うのを聞いて、なんとなく男の人の裸のことだとはわかってはいたが、身近ではなかった。

見たことがなかったわけではない。
たまにおじいちゃんやおじさんと一緒にお風呂に入った時に見て、自分や母にはないその地球外生命体を「なんだこりゃ…」と思ったのを覚えている。

中学生も後半になってくると、そういうことの知識が多い子が色々と教えてくれる。

しかしどれも曖昧で、核心をついたような話を耳にすることはなかった。

また、母が読んでいたレディコミを盗み見した時にそういうシーンがあったが、直接的な表現がされているものはなく、なんとなく花が散りばめられ、恍惚とした裸の男女がキスをしながら「愛してる…」と囁いていた。

そのため私は16歳になるまで、男と女がキスしたりお互いの身体を触ったりして気持ちよくなると、男の人のどこからか精子が現れ、それが長いトンネルをのぼり子宮に到達して妊娠すると思っていた。

授業をちゃんと聞いていればわかることだろうが、勉強が嫌いだったためふわふわした知識しか持ち合わせていなかった。
単語を単語としてしか認識していなかった。
パズルのピースは手元にあるけど、パズルとして完成していないような感じ。
自分の身体の仕組みでさえ、あまり理解していなかったように思う。


青天の霹靂が訪れたのは、私の友人が初体験を済ませた話を教えてくれた時である。

ものすごく痛くて辛かった
と聞いて私は驚いた。

なんで痛いの?!
とそこから根掘り葉掘り聞いた。

そこで私は友人からセックスとはなんたるかを知った。


まさに衝撃だった。
なんて合理的なんだろうと思った。

そうか、そうすれば無駄なく精子は卵子に到達することができるのか!
と膝を打った。


その感動からしばらくして、私は処女喪失を果たす。


初めてキスをし、初めてセックスをした相手は年上の人だった。

付き合っていることは誰にも秘密と言われ私は律儀に守っていたが、避妊をしてくれないことに不安を感じ色々と調べたり婦人科に行ったりしていたら、家族にバレた。

付き合っていたことがバレた時、母は泣き、おじさんは震えながら怒った。


当時の私は彼のことが本当に好きだったので(当時の彼の年齢を過ぎた今、女子高生相手に避妊しないのは相当ヤバい奴だとわかる)、なぜそんなに怒られるのかわからなかったし、自分の身体なのだから私の勝手ではないかと思っていた。
別れさせられるのは理不尽だとも。

しかし、悲しんだり怒ったりしている家族を前にしたら、ただただ謝るしかなかった。

あれから色んな人と知り合い、恋もした。
友達も増え、様々な考え方や世界に触れた。


今ならあの時の家族の悲しみや怒りの理由がわかる。

守れなかったことが悔しかったのだ。

「何も知らない」ことにつけ込まれ
肉体的にも精神的にも傷つけられたことが悲しかったのだ。

のちに彼の交際相手から連絡があり、自分が浮気相手の1人だったことが発覚した。

彼女は私より大人だったけど、とても傷ついていた。
私はでもそれ以上傷つかなかった。
私のために泣いてくれる家族がいたから。



性的同意年齢の引き上げで、守られる子供が多くなればいいなと思う。


「知らない」ということ、「経験がない」ということで搾取されてはならない。


純粋であることが、誰かに傷つけられていい理由にはならないのだ。

そんなことを思いながら食事を終えた。

ハンバーガーを食べたばかりなのに、なんとなく、久しぶりにマクドナルドのチーズバーガーが食べたくなった。

デブの発想である。

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