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テレビ春ドラマが終盤戦 感想あれこれ 『季節のない街』『光る君へ』『Destiny』『95』『からかい上手の高木さん』
テレビ春ドラマについての感想をあれこれ
◆『季節のない街』企画・脚本・監督:宮藤官九郎 (テレビ東京)
「プールのある家」の回が印象に残っている。又吉直樹演じるインテリ
ホームレスが、息子に建築の知識を披瀝し続け、喋り続ける。息子を
死なせる原因になった「しめ鯖」だが、加熱して食べろと言われた忠告を
聞かずに、自分の知識を押し通した。息子に死が迫っていても、何も行動
できず、喋り続け
映画「関心領域」ジョナサン・グレイザー~恐怖の音を感じない麻痺した家族の恐ろしさ~
※画像(C)Two Wolves Films Limited, Extreme Emotions BIS Limited, Soft Money LLC and Channel Four Television Corporation 2023. All Rights Reserved.
冒頭、何も映らない黒味で不安な音楽がしばらく続く。この映画は音の映画であることを告げているかのようである。川べ
映画『マイアミ・バイス』~夜のクライム・アクションが得意なマイケル・マン
1980年代を代表するテレビシリーズ『特捜刑事マイアミ・バイス』(‘84~’89)の製作総指揮をしていたマイケル・マンが自ら監督してリメイク映画化。 刑事ソニー・クロケットにコリン・ファレル、リカルド・タブス役にジェイミー・フォックスを起用し、テレビとキャストを一新。黒のトーンの衣装のより渋いバディ刑事モノのクライム・アクション映画に仕上げた。
マイケル・マン監督は夜のシーンを描くのが上手い。空
濱口竜介の奇妙な新作『悪は存在しない』~謎のラストと自然との対峙~
画像(C)2023 NEOPA / Fictive
なんとも不思議な映画である。名のある役者は誰ひとり出ていないし、物語もあるようなないような。レビューを書きづらい作品だ。いずれにせよ、謎の多いラストシーンもあり、ネタバレになるので、鑑賞後にお読みいただければと思います。
最近見た『落下の解剖学』が結末を曖昧にしたように、本作もどうとでも解釈できるような曖昧で複雑な終わり方をしている。答えは
話題作『バービー』グレタ・ガーウィグ~理想化された女性像の虚実~
画像(C)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
グレタ・ガーウィグ監督は、『ストリート・オブ・マイライフ わたしの若草物語』が面白かったので、期待して見た話題作だが、それほどでもなかった。脚本にガーウィグの夫であるノア・バームバック(『フランシス・ハ』、『マーゴット・ウェディング』など)が入っている。
いちばん驚いたのが、ライアン・ゴズリングが
二大俳優が対峙する犯罪映画『ヒート』マイケル・マン監督の名作
アル・パチーノがロサンゼルス市警の刑事、ロバート・デ・ニーロが犯罪集団のボス、「コインの裏表」のように二人の役者が対峙する。どっちが刑事でどっちが犯罪者か分からないほど、二人はよく似ている。刑事のアル・パチーノは家庭を顧みず、昼も夜も犯罪者を追いかけているため、結婚にも失敗し、二度目の家庭もうまくいっていない。ロバート・デ・ニーロはこれまで孤独を貫いてきたが、犯罪集団の仲間たちはそれぞれパートナー
もっとみる映画『ミューズは溺れない』淺雄望~多様な生を模索する美術部の青春~
画像(C)カブフィルム
万田邦敏監督や大九明子監督のもとで助監督など映画制作を学んだ期待の新鋭、淺雄望監督の初の長編作品。高校の美術部に所属する3人の女子高生を中心に多様な生き方を模索し、葛藤する瑞々しい青春映画。
出演している女の子たちがとにかくいい。人を好きになったことがない朔子(上原実矩)は、親友の栄美(森田想)に彼女が思いを寄せる野球部の男の子が朔子のことを好きなようだと告げられても、
クリント・イーストウッド監督デビュー作『恐怖のメロディ』~名曲とともに「声」と「視線」が迫る恐怖~
クリント・イーストウッドのデビュー作のミステリー。女たらしのイケメンのラジオDJが、一夜限りと割り切ってベッドを共にした女性からストーカー的につきまとわれ、恐怖のうちに追い込まれていく心理サスペンス。
カリフォルニアにある海辺の田舎町。空撮で海辺の田舎町が映し出され、断崖に建つ一軒の家の前で崖を見下ろす一人の男が立っている。クリント・イーストウッド演じるデイブは、深夜ラジオの人気DJだ。荒波と崖
『エル・ドラド』ハワード・ホークス×ジョン・ウェインの傑作西部劇
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ハワード・ホークスの『リオ・ブラボー』とも似ている西部劇。ジョン・ウェイン主演の西部劇で、『リオ・ロボ』と合わせてホークス西部劇三部作と言われているらしい。『リオ・ブラボー』と似ているというのは、登場人物の役回りが似ているのだ。
ジョン・ウェインの相棒役として、『リオ