ヒデヨシ

札幌で暮らすオヤジです。テレビの仕事をしています。世界を彷徨うような映画や小説が好きで…

ヒデヨシ

札幌で暮らすオヤジです。テレビの仕事をしています。世界を彷徨うような映画や小説が好きです。映画レビューhttps://hideyosi719.blog.fc2.com/

マガジン

  • 映画レビュー(日本映画)

    日本映画のレビューをまとめました。

  • 映画レビュー(外国映画)

    外国映画のレビューまとめです。

記事一覧

テレビ春ドラマが終盤戦 感想あれこれ  『季節のない街』『光る君へ』『Destiny』『95』『からかい上手の高木さん』

テレビ春ドラマについての感想をあれこれ ◆『季節のない街』企画・脚本・監督:宮藤官九郎 (テレビ東京)  「プールのある家」の回が印象に残っている。又吉直樹演じ…

ヒデヨシ
1日前
4

映画『メリちん』吉田恵輔~ダメ人間たちの愛すべき再会~

『ミッシング』公開で話題の吉田恵輔監督の自主製作時代に手掛けた監督第2作をWOWOWで放送。有名な役者は誰も出ていない。それでも面白かった。人間の情けない弱い部分を…

ヒデヨシ
2日前
2

映画「関心領域」ジョナサン・グレイザー~恐怖の音を感じない麻痺した家族の恐ろしさ~

※画像(C)Two Wolves Films Limited, Extreme Emotions BIS Limited, Soft Money LLC and Channel Four Television Corporation 2023. All Rights Reserved. 冒頭、何も映…

ヒデヨシ
2日前
3

映画『コンパートメント No.6』フィンランドの新鋭ユホ・クオスマネン監督~極北のロードムービー~

画像(C)2021 - AAMU FILM COMPANY, ACHTUNG PANDA!, AMRION PRODUCTION, CTB FILM PRODUCTION フィンランドの新鋭ユホ・クオスマネンの長編第2作。 フィンランドの作家ロ…

ヒデヨシ
4日前
3

注目の気鋭クリエイター加藤拓也の映画『ほつれる』~不安定な心の揺れ~

画像(C)2023「ほつれる」製作委員会&COMME DES CINEMAS 演劇、ドラマ、映画と横断的に活動している今注目の気鋭クリエイター加藤拓也の2本目の映画。1作目は『わたし達…

ヒデヨシ
8日前
1

時代劇『せかいのおきく』阪本順治~糞まみれでも美しい「せかい」~

画像(C)2023 FANTASIA 糞まみれの映画である。糞に始まって糞に終わる。江戸時代の循環型社会。食って、出して、それで畑を耕し、作物を作り、それを食ってまた出す。そ…

ヒデヨシ
12日前
3

函館の佐藤泰志原作映画シリーズ『草の響き』~死の不安から逃れるために走り続けるしかないこと~

画像(C)2021 HAKODATE CINEMA IRIS 芥川賞候補になりながら受賞できなかった函館出身の夭逝の作家・佐藤泰志の原作モノをシリーズでプロデュースし続けている函館シネマ…

ヒデヨシ
2週間前
5

映画『マイアミ・バイス』~夜のクライム・アクションが得意なマイケル・マン

1980年代を代表するテレビシリーズ『特捜刑事マイアミ・バイス』(‘84~’89)の製作総指揮をしていたマイケル・マンが自ら監督してリメイク映画化。 刑事ソニー・クロケッ…

ヒデヨシ
2週間前
1

濱口竜介の奇妙な新作『悪は存在しない』~謎のラストと自然との対峙~

画像(C)2023 NEOPA / Fictive なんとも不思議な映画である。名のある役者は誰ひとり出ていないし、物語もあるようなないような。レビューを書きづらい作品だ。いずれにせ…

ヒデヨシ
3週間前
3

映画『コラテラル』マイケル・マン~一夜限りの巻き込まれサスペンス

マイケル・マン監督の映画を何作か続けて見ている。デ・ニーロとアル・パチーノの対決を描いた『ヒート』も面白かったが、少し長かった。それに比べて本作は、サスペンスが…

ヒデヨシ
3週間前
2

話題作『バービー』グレタ・ガーウィグ~理想化された女性像の虚実~

画像(C)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. グレタ・ガーウィグ監督は、『ストリート・オブ・マイライフ わたしの若草物語』が面白かったので、期待して見た話…

ヒデヨシ
3週間前
3

二大俳優が対峙する犯罪映画『ヒート』マイケル・マン監督の名作

アル・パチーノがロサンゼルス市警の刑事、ロバート・デ・ニーロが犯罪集団のボス、「コインの裏表」のように二人の役者が対峙する。どっちが刑事でどっちが犯罪者か分から…

ヒデヨシ
4週間前
11

映画『ミューズは溺れない』淺雄望~多様な生を模索する美術部の青春~

画像(C)カブフィルム 万田邦敏監督や大九明子監督のもとで助監督など映画制作を学んだ期待の新鋭、淺雄望監督の初の長編作品。高校の美術部に所属する3人の女子高生を中心…

ヒデヨシ
1か月前
2

『落下の解剖学』ジュスティーヌ・トリエ~真実は藪の中 音と犬に導かれて

画像(C)LESFILMSPELLEAS_LESFILMSDEPIERRE 犬に始まり犬に終わる。ボールが階段を落ちてくる音とともに犬が階段を下りてきて、ボールを咥えて階段をまた上がっていく。息…

ヒデヨシ
1か月前
8

クリント・イーストウッド監督デビュー作『恐怖のメロディ』~名曲とともに「声」と「視線」が迫る恐怖~

クリント・イーストウッドのデビュー作のミステリー。女たらしのイケメンのラジオDJが、一夜限りと割り切ってベッドを共にした女性からストーカー的につきまとわれ、恐怖の…

ヒデヨシ
1か月前
3

『エル・ドラド』ハワード・ホークス×ジョン・ウェインの傑作西部劇

TM,® &Copyright ©2003 By Paramount Pictures All Rights Reserved ハワード・ホークスの『リオ・ブラボー』とも似ている西部劇。ジョン・ウェイン主演の西部劇で、『…

ヒデヨシ
1か月前
3
テレビ春ドラマが終盤戦 感想あれこれ  『季節のない街』『光る君へ』『Destiny』『95』『からかい上手の高木さん』

テレビ春ドラマが終盤戦 感想あれこれ  『季節のない街』『光る君へ』『Destiny』『95』『からかい上手の高木さん』

テレビ春ドラマについての感想をあれこれ

◆『季節のない街』企画・脚本・監督:宮藤官九郎 (テレビ東京)
 「プールのある家」の回が印象に残っている。又吉直樹演じるインテリ 
 ホームレスが、息子に建築の知識を披瀝し続け、喋り続ける。息子を
 死なせる原因になった「しめ鯖」だが、加熱して食べろと言われた忠告を
 聞かずに、自分の知識を押し通した。息子に死が迫っていても、何も行動
 できず、喋り続け

もっとみる
映画『メリちん』吉田恵輔~ダメ人間たちの愛すべき再会~

映画『メリちん』吉田恵輔~ダメ人間たちの愛すべき再会~

『ミッシング』公開で話題の吉田恵輔監督の自主製作時代に手掛けた監督第2作をWOWOWで放送。有名な役者は誰も出ていない。それでも面白かった。人間の情けない弱い部分を描くのが得意な吉田恵輔監督の実力が感じられる。

幼い頃からの3人の微妙な関係がベースにある。暴力的ないじめっ子タラちゃん(仁志原了)が上京してから10年ぶりに故郷の田舎町に帰ってくる。ベンツに乗って。いかにもチンピラでガラが悪そうな装

もっとみる
映画「関心領域」ジョナサン・グレイザー~恐怖の音を感じない麻痺した家族の恐ろしさ~

映画「関心領域」ジョナサン・グレイザー~恐怖の音を感じない麻痺した家族の恐ろしさ~

※画像(C)Two Wolves Films Limited, Extreme Emotions BIS Limited, Soft Money LLC and Channel Four Television Corporation 2023. All Rights Reserved.

冒頭、何も映らない黒味で不安な音楽がしばらく続く。この映画は音の映画であることを告げているかのようである。川べ

もっとみる
映画『コンパートメント No.6』フィンランドの新鋭ユホ・クオスマネン監督~極北のロードムービー~

映画『コンパートメント No.6』フィンランドの新鋭ユホ・クオスマネン監督~極北のロードムービー~

画像(C)2021 - AAMU FILM COMPANY, ACHTUNG PANDA!, AMRION PRODUCTION, CTB FILM PRODUCTION

フィンランドの新鋭ユホ・クオスマネンの長編第2作。 フィンランドの作家ロサ・リクソムの小説が原作。1990年代、フィンランドからモスクワに来ている留学生ラウラ (セイディ・ハーラ )は 同性の恋人で大学教授である イリーナ(デ

もっとみる
注目の気鋭クリエイター加藤拓也の映画『ほつれる』~不安定な心の揺れ~

注目の気鋭クリエイター加藤拓也の映画『ほつれる』~不安定な心の揺れ~

画像(C)2023「ほつれる」製作委員会&COMME DES CINEMAS

演劇、ドラマ、映画と横断的に活動している今注目の気鋭クリエイター加藤拓也の2本目の映画。1作目は『わたし達はおとな』(2022年)。妊娠をキッカケにすれ違っていく若い男女の物語で、過去と現在の時間を交錯させながら脆く壊れやすい人間の心のあり方を巧妙に描いていた。テレビドラマ『きれいのくに』にしても、岸田戯曲賞を受賞し

もっとみる
時代劇『せかいのおきく』阪本順治~糞まみれでも美しい「せかい」~

時代劇『せかいのおきく』阪本順治~糞まみれでも美しい「せかい」~

画像(C)2023 FANTASIA

糞まみれの映画である。糞に始まって糞に終わる。江戸時代の循環型社会。食って、出して、それで畑を耕し、作物を作り、それを食ってまた出す。その繰り返し、循環。金持ちも貧乏長屋の庶民も出すものは同じ糞は糞。「長屋の貧乏人と違っていいもん食っているんだから、もっと高く買い取れ」とお屋敷で言いがかりをつけられるが、糞であることに変わりはない。糞に身分の差なんてない。

もっとみる
函館の佐藤泰志原作映画シリーズ『草の響き』~死の不安から逃れるために走り続けるしかないこと~

函館の佐藤泰志原作映画シリーズ『草の響き』~死の不安から逃れるために走り続けるしかないこと~

画像(C)2021 HAKODATE CINEMA IRIS

芥川賞候補になりながら受賞できなかった函館出身の夭逝の作家・佐藤泰志の原作モノをシリーズでプロデュースし続けている函館シネマアイリスの菅原和博氏。『海炭市叙景』(2010)、『そこのみにて光輝く』(2014)、『オーバー・フェンス』(2016)、『きみの鳥はうたえる』(2018)に続く第5弾として2021年に製作されたのが本作。これ

もっとみる
映画『マイアミ・バイス』~夜のクライム・アクションが得意なマイケル・マン

映画『マイアミ・バイス』~夜のクライム・アクションが得意なマイケル・マン

1980年代を代表するテレビシリーズ『特捜刑事マイアミ・バイス』(‘84~’89)の製作総指揮をしていたマイケル・マンが自ら監督してリメイク映画化。 刑事ソニー・クロケットにコリン・ファレル、リカルド・タブス役にジェイミー・フォックスを起用し、テレビとキャストを一新。黒のトーンの衣装のより渋いバディ刑事モノのクライム・アクション映画に仕上げた。

マイケル・マン監督は夜のシーンを描くのが上手い。空

もっとみる
濱口竜介の奇妙な新作『悪は存在しない』~謎のラストと自然との対峙~

濱口竜介の奇妙な新作『悪は存在しない』~謎のラストと自然との対峙~

画像(C)2023 NEOPA / Fictive

なんとも不思議な映画である。名のある役者は誰ひとり出ていないし、物語もあるようなないような。レビューを書きづらい作品だ。いずれにせよ、謎の多いラストシーンもあり、ネタバレになるので、鑑賞後にお読みいただければと思います。

最近見た『落下の解剖学』が結末を曖昧にしたように、本作もどうとでも解釈できるような曖昧で複雑な終わり方をしている。答えは

もっとみる
映画『コラテラル』マイケル・マン~一夜限りの巻き込まれサスペンス

映画『コラテラル』マイケル・マン~一夜限りの巻き込まれサスペンス

マイケル・マン監督の映画を何作か続けて見ている。デ・ニーロとアル・パチーノの対決を描いた『ヒート』も面白かったが、少し長かった。それに比べて本作は、サスペンスが持続した一夜の凝縮した物語であり、こちらの方がすこぶる面白かった。ジェイミー・フォックス演じるタクシー運転手が、殺し屋演じるトム・クルーズを客として乗せたばかりに次々と犯罪事件に巻き込まれていく。まさに「巻き込まれ型」サスペンスだ。「コラテ

もっとみる
話題作『バービー』グレタ・ガーウィグ~理想化された女性像の虚実~

話題作『バービー』グレタ・ガーウィグ~理想化された女性像の虚実~

画像(C)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

グレタ・ガーウィグ監督は、『ストリート・オブ・マイライフ わたしの若草物語』が面白かったので、期待して見た話題作だが、それほどでもなかった。脚本にガーウィグの夫であるノア・バームバック(『フランシス・ハ』、『マーゴット・ウェディング』など)が入っている。

いちばん驚いたのが、ライアン・ゴズリングが

もっとみる
二大俳優が対峙する犯罪映画『ヒート』マイケル・マン監督の名作

二大俳優が対峙する犯罪映画『ヒート』マイケル・マン監督の名作

アル・パチーノがロサンゼルス市警の刑事、ロバート・デ・ニーロが犯罪集団のボス、「コインの裏表」のように二人の役者が対峙する。どっちが刑事でどっちが犯罪者か分からないほど、二人はよく似ている。刑事のアル・パチーノは家庭を顧みず、昼も夜も犯罪者を追いかけているため、結婚にも失敗し、二度目の家庭もうまくいっていない。ロバート・デ・ニーロはこれまで孤独を貫いてきたが、犯罪集団の仲間たちはそれぞれパートナー

もっとみる
映画『ミューズは溺れない』淺雄望~多様な生を模索する美術部の青春~

映画『ミューズは溺れない』淺雄望~多様な生を模索する美術部の青春~

画像(C)カブフィルム

万田邦敏監督や大九明子監督のもとで助監督など映画制作を学んだ期待の新鋭、淺雄望監督の初の長編作品。高校の美術部に所属する3人の女子高生を中心に多様な生き方を模索し、葛藤する瑞々しい青春映画。

出演している女の子たちがとにかくいい。人を好きになったことがない朔子(上原実矩)は、親友の栄美(森田想)に彼女が思いを寄せる野球部の男の子が朔子のことを好きなようだと告げられても、

もっとみる
『落下の解剖学』ジュスティーヌ・トリエ~真実は藪の中 音と犬に導かれて

『落下の解剖学』ジュスティーヌ・トリエ~真実は藪の中 音と犬に導かれて

画像(C)LESFILMSPELLEAS_LESFILMSDEPIERRE

犬に始まり犬に終わる。ボールが階段を落ちてくる音とともに犬が階段を下りてきて、ボールを咥えて階段をまた上がっていく。息子は犬をシャンプーし、犬と散歩に出て行く。息子のダニエル(ミロ・マシャド・グラネール)は目が不自由なようだ。犬が道を先導する。そして、ラストシーンは、犬が寝床にジャンプし、小説家のサンドラ(ザンドラ・ヒュ

もっとみる
クリント・イーストウッド監督デビュー作『恐怖のメロディ』~名曲とともに「声」と「視線」が迫る恐怖~

クリント・イーストウッド監督デビュー作『恐怖のメロディ』~名曲とともに「声」と「視線」が迫る恐怖~

クリント・イーストウッドのデビュー作のミステリー。女たらしのイケメンのラジオDJが、一夜限りと割り切ってベッドを共にした女性からストーカー的につきまとわれ、恐怖のうちに追い込まれていく心理サスペンス。

カリフォルニアにある海辺の田舎町。空撮で海辺の田舎町が映し出され、断崖に建つ一軒の家の前で崖を見下ろす一人の男が立っている。クリント・イーストウッド演じるデイブは、深夜ラジオの人気DJだ。荒波と崖

もっとみる
『エル・ドラド』ハワード・ホークス×ジョン・ウェインの傑作西部劇

『エル・ドラド』ハワード・ホークス×ジョン・ウェインの傑作西部劇

TM,® &Copyright ©2003 By Paramount Pictures All Rights Reserved

ハワード・ホークスの『リオ・ブラボー』とも似ている西部劇。ジョン・ウェイン主演の西部劇で、『リオ・ロボ』と合わせてホークス西部劇三部作と言われているらしい。『リオ・ブラボー』と似ているというのは、登場人物の役回りが似ているのだ。

ジョン・ウェインの相棒役として、『リオ

もっとみる