吉田A仮名(ええがな)

1990年、大阪に生まれる。小2、F君との遊びに飽きていると、ガムが欲しくなり、「マッ…

吉田A仮名(ええがな)

1990年、大阪に生まれる。小2、F君との遊びに飽きていると、ガムが欲しくなり、「マッハで買ってくるから」とF君を残し、チャリでガムを買いに行くも、T字路で車にぶつかり、たんこぶができる。中2の夜、親父に500円貸し渋ると、椅子を持ち上げて追いかけられる。現在、文章を書いている。

マガジン

  • 透明無題日常劇場

    これは日記。すなわち、透明無題の日常を綴る一個の人間の、魂の軌跡、生命の神秘、宇宙的エロスの三文芝居。

  • 吉田戦車『伝染るんです。』に触発された400文字

    吉田戦車『伝染るんです。』(文庫版)に触発された文章を掲載していきます。二次創作的なノリで、1つの四コマ漫画につき400文字、思いついたことを書いています。400文字は作品と関係があったりなかったりします。よく分からない営みですが、私なりの『伝染るんです。』への愛です。

  • 言わんでもええがなエッセイ 好きだの嫌いだの

    身の回りのものについて、好きだの嫌いだの書いたものを掲載していきます。各noteごとのテーマは、連想的につないで決めていきます。「好き」の中に「嫌い」を、「嫌い」の中に「好き」を発掘してやろうという、変な意気込みで書いていこうと思います。やらんでもいい、不自然な営みです。1作品1000字程度。

最近の記事

透明日記「掃除して、哲学する」 2024/05/17

モノに住所を与えた。生きていると部屋は散らかる。部屋中に行為の痕跡が散りばめられる。あらゆるモノが住所を失う。 棚から出されて永遠に待たされていた小説、読後に打ち捨てられた漫画、明日に備えて野宿する洋服、「いつか掛ける」と毎日思われ続けている布団のシーツ、部屋の隅に散乱するペン、ハサミ、カッター、物差し、紙切れ等の文房具。 抜け毛、陰毛、紙屑、ほこり。モノが塵に覆われる。住所の記憶を失った浮浪物の群れ。 部屋を掃除する。モノの住所登録。本棚に収まらない本と漫画は机の上に

    • 透明日記「恥ずかしい」 2024/05/14

      哲学書に取り組みつつ、Gガンダムを観る。Gガンダムがだいぶアホな内容だからか、理詰めの迷路と並べると、頭のバランスがいい感じになる。 Gガンダムには、恥ずかしさの極みみたいなものが随所に散りばめられている。わざとらしく苦境に苦しむ主人公とか、修行と称して刀を振りながら森の中をがむしゃらに走り回るとか。 ガンダムの名前も、技の名前も、ストレートすぎて恥ずかしい。シャイニングガンダムのスーパモード、シャイニングフィンガー。「おれにはスーパーモードがあるんだ」という台詞もある。

      • 透明日記「純粋な積み木」 2024/05/12

        角がごっつい鋭い、青っぽい灰色の積み木。それが「純粋理性批判」の感想だ。半分くらいまで読んで、そう思った。 5月の初め、夜中。カントクがおれの耳に息を吹きかけた。おれは本棚からでかい本を取った。それが「純粋理性批判」だった。数年前に諦め、二年前に別バージョンを買い直し、また諦めた本だ。この二年のあいだ、ただ存在感を宿すだけの器となっていた本。寝る前にふと読み始めた。 それからずっと読んでいる。今回は序盤で設計図面を配る人物を発見し、なんとなく工程が読めた。その人物がカント

        • 透明日記「知識を咀嚼する」 2024/05/02

          新しく摂取する知識に唾液や血を混ぜるとどうなるか。四月の終わりからそんなことを考え、試していた。ぺろっと読める匂いのない文字に、自分の匂いを練り込んでやろうと。 以下、四月の終わりごろに書いていた。 わたしは知識を咀嚼する。ぺちゃくちゃ汚い音を立てる。虚ろな知識の咀嚼音。知識を侵食する肉体のリズム。 ブルーバックスの『図解・プレートテクトニクス入門』を読む。いつか買って忘れていた本。ふと、手に取った。 地球の活動を知ることは、太くて果てしない音楽を聴くようなものだ。人

        透明日記「掃除して、哲学する」 2024/05/17

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        • 透明無題日常劇場
          109本
        • 吉田戦車『伝染るんです。』に触発された400文字
          20本
        • 言わんでもええがなエッセイ 好きだの嫌いだの
          11本

        記事

          透明日記「昨日」 2024/04/26

          昨日の日記。昨日は頭痛だった。読み返すとずいぶん昔に感じる。 この眠気はなんだ。頭痛もひどい。言葉がこんがらがる。頭の中から何冊かの辞典が紛失したようだ。わたしはもう、統率の取れた文章を書けないだろう。言葉になにも期待できないだろう。行き止まりだ。墓場だ。 墓場の方がマシかもしれない。墓場には生きた人間がうろちょろしない。蟻は静かだ。正常な生きた人間は言葉を持つが、意味のないことしか話さない。蟻は静かに意味のあることばかりする。しかもその意味が死人には関係ないときている。

          透明日記「昨日」 2024/04/26

          透明日記「望洋」 2024/04/25

          日中は明るかった。空が広くて気持ちがよかった。ベランダで切り取られたわずかな空を飛び越えて、どこまでも空を飛んだ。果てしない、広がりばかりの空だった。 望洋、望洋。いい響きだ。ぼうよう、という音にイメージの全体が刻まれている。頭が空に染み出して、生ぬるい風にさらわれて、どこか遠くの空まで行ったような気分になれる。 気分は気分だ。今日はどこにも行かなかった。絵の具をさわり、いつかのちびまる子ちゃんを観て、本を読んで、夕方に寝た。 水彩絵の具をさわる。真っ白の紙に色をつける

          透明日記「望洋」 2024/04/25

          透明日記「風の日」 2024/04/24

          南の空に大きな穴でも空いたんやろな。巨大な風が街を呑み込んどる。心に砂が入ってきよる。わしはざらざらの、邪悪なブラックホールじゃ。 こんな風は若かった頃を思い出してあかん。あの頃のわしはアホみたいなもんじゃった。人生でいちばん邪悪じゃった。かたちのない現実にあたまが狂っておったわけじゃ。それがいまでは根っからのアホじゃ。ああそうじゃ、アホじゃ。見い、歯ぁないやろ、アホの証拠じゃ。 人間はみんなして、それぞれの現実っちゅうもんを触っとる。そう感じてたんや。けどなあ、わしには

          透明日記「風の日」 2024/04/24

          透明日記「ベランダで泣く」 2024/04/23

          朝の空、雨を降らしあぐねる灰色の顔。今日はベランダで泣きじゃくった。家でひっそり古い漫画を読んでいた。長々と。朝が昼になり、昼が夕方になる。 坂口尚の『石の花』。希望コミックス版は初めて読む。文庫で読んだのは遠い昔で、どこが違うとか分からない。とにかく新鮮な気分で読んだ。 ベランダでタバコを吸うときも読んでいた。戦時下の旧ユーゴスラビア、ナチスに抗うパルチザン。ゲリラ活動中のパルチザンが結婚式をあげる。笑いがなかった日々でのひとときの笑い。 作中に詩が流れる。その詩にや

          透明日記「ベランダで泣く」 2024/04/23

          透明日記「詩を書く」 2024/04/22

          詩を書く。 「信号待ち」 自転車が信号を待つ じじいがタバコに火をつける 子どもは母と手をつなぐ 車が通り過ぎ 車が通り過ぎ 車が通り過ぎる ぼやけた雲が街をおおう 交差点は色を失い 灰色の風景がわたしをこまかく切り裂く 一滴の血さえ噴き上げず 肉片のわたしはアスファルトに染み 路上の小さな突起となった 「女のうどん」 初対面のさびしい女が かしこそうな教科書を肘で揉み 細切りにしてうどんを作り始めた うどんは関西風の出汁につけて おれの前に差し出された むずかし

          透明日記「詩を書く」 2024/04/22

          透明日記「親戚ゴシップ、変人を変人枠に位置付ける語り手」 2024/04/21

          目覚めると手の指が痛い。全部の指が痛い。肘から下の筋肉も調子がよくない。右も、左も。肘から下を廃材にしてリサイクルショップで売り飛ばしたい気分だ。 人間はさまざまな技術を開発してきた。テーピングもそうだ。白いテーピングを指という指に、手首という手首に、腕の表に、裏に、ここに貼れば痛みがマシになるだろうという勘を頼りに貼っていく。 わたしは正式なテーピングを知らないし、知りたいとも思わない。そんな学習の暇があったら、何もない空を眺めて頭をからっぽにしている方がいい。 テー

          透明日記「親戚ゴシップ、変人を変人枠に位置付ける語り手」 2024/04/21

          透明日記「魔のトライアングル」 2024/04/20

          魔のトライアングルというものがある。わたしの生活では、家と川辺と近所のカフェという三つの場所が魔のトライアングルの頂点となっている。川辺は点にしては広いが、向こうに行ってこっちに帰るだけで風景に大差はない。場所は広くともやはり点だ。家がそうであるように。 この三つの頂点を結んだその中身が、わたしの一日のすべてだ。二年ほど前に無職を始めてから、そういう日が多い。魔に魅入られているのだ。 この退屈なトライアングルから抜け出したい気持ちになることもある。しかし、外に出てすること

          透明日記「魔のトライアングル」 2024/04/20

          透明日記「就職活動をポケットに入れて」 2024/04/19

          ここ数ヶ月のあいだ、わたしは自分が就職することを待っている。ただひたすらに待っている。その証拠に、右ポケットにはいつも就職活動を入れて持ち歩いている。 就職活動をポケットの中で弄び、手垢に汚れたところで取り出して、洗剤で洗うこともある。きれいな表面を見つめると、自分が就職したような気分にもなる。嬉しくなって壁に投げつけると、就職活動は跳ね返ってわたしの顔面を殴りつける。 鼻柱が痛くて涙が出ても、騒いではならない。就職活動の思う壺だ。その代わり、上唇をむき出してなにもない空

          透明日記「就職活動をポケットに入れて」 2024/04/19

          透明日記「短パンで無能の工作」 2024/04/18

          秋みたいに涼しく、秋みたいに静かで、秋みたいに風がささやく。秋みたいな気持ちになって長ズボンで過ごす。 朝はパソコンをいじる。昼にシャワー。シャワーのあとは半そで短パンにして髪を乾かす。 鏡の中の人間と見つめ合う。不思議な顔だ。顔は不思議だ。誰でもそうだと思うが、自分の顔がイケてる日とイケてない日と、自分の顔になんとも思わない日がある。いつもはなんとも思わない。たまに、イケてる日とイケてない日がある。 イケてる日は気分がいい。一日が明るくなる。鏡の前で様々な角度の自分に

          透明日記「短パンで無能の工作」 2024/04/18

          透明日記「春のゆるい日」 2024/04/17

          昼食後、日陰になったベランダで毛布が揺れるのを見る。空は青白く霞んで静かな雲を流している。近隣で金属を叩く音、背景にはぼやけて響く飛行機の騒音。中学校のチャイムは薄く伸び、ゴミ屋のメロディーが日常を醸す。外壁工事の灰白色のメッシュシートが風を孕んだり逃したりして、時間のゆるい流れを見せる。 昼間のゆるやかな静けさに身をひたす。どこにでもあるような退屈な風景にやすらぐ。退屈な風景の断片は普遍的な空気となって、時代を超えた人間の眼差しを孕む。腹を満たし、日陰でやすらぐひとときに

          透明日記「春のゆるい日」 2024/04/17

          透明日記「家事は無気力の処方箋」 2024/04/16

          朝、全然やる気がなかった。何もかもやりたくなかった。朝一番に一日を諦めるほど頭がだるく、無気力だった。 でも、何もせず時間が過ぎることばかりを気にしているのは、時間が長くなるばかりで、心がささくれ立つので、何かをしようと思い始めた。 しかし、肝心のやる気が足りないので、ベランダでタバコばかり吸っていた。4本は吸った。それ以上は覚えていない。 やる気を生むのは何なのか。動きの鈍い頭を滑らかに動かすにはどうすればいいのか。 頭は身体だから、身体を動かすのがよい。しかし、意

          透明日記「家事は無気力の処方箋」 2024/04/16

          透明日記「雀・開発・架空の存在」 2024/04/11

          強欲な小雀がドリルみたいな声でぼくの心に欲望をねじ込む。ぼくは痩せこけた召使いになって部屋の引き出しに走り、殻の剥かれたエサを取ってベランダに戻る。 皿にエサを盛ると、小雀は召使いの目を気にしながらガツガツと飯を食っていた。 アプリの設計をする。だらだらと慎重にやる。でたらめな設計はのちのち膨大な時間となる未来を孕んでいる。時間の種子はできるだけ刈り取っておく。種子は雑草となって開発の道中を覆い、人間と対峙するようになるからだ。 ベランダで、外壁工事の作業員が足らんかも

          透明日記「雀・開発・架空の存在」 2024/04/11