良野均

文章や詩歌など色々な形で自分の気持ちに忠実に言葉を紡いでいきたいと思います。

良野均

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【ショートショート】悪いのは誰なの

 昨日と同じく誰かが後をつけて来る足音がする。  夏休みの部活動からの帰り。帰省の最中だからか、午後2時という時間帯のためか、ほとんど人通りのない道を冴島さつきはひとりで駅まで歩いていた。足音に気づかないふりをして、一旦立ち止まり、鞄から取り出したスマホの画面に目をやりつつ後ろの気配を窺う。すると足音の方も私の何十メートルか後ろで止まる。しばらくして、おそるおそる振り返ってみたが、誰もいない。  ちょうど樹木の林立する公園の辺りだから、どこかの木陰で息を潜めているのかもしれな

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    • 【詩】オリジナルの季節

      いのちの価値を上回る 青春がもしあるとするなら あなたの他にない 悲しくなんてない時も 涙ぐまずにいられないほど あなたはあたたかい あなたを最初で最後の 青春と呼ばせてほしい どれだけ時を重ねても 変わらない二人だけの オリジナルの季節

      • 【詩】愛に拘束されて

        あなた以前のはじめては 色白の少女のままで 痛みにただ歯を食いしばっていた あなた以前のいくたびも きらめきのカケラさえなく 通りすぎてきた過去でしかない 禁断の実を口にしたような 重ねたくちびるの強さ 細胞のひとつひとつまで 愛に拘束されながら 私が眠りにつく場所は あなたの胸と決まってる

        • 【詩】愛は未熟者

          二度と会えないさよならなんて 口が裂けても言えないけれど どこかで再び巡りあう 約束ならば残しておきたい 離ればなれになってから かけがえのない人と知る 愛とはなんて未熟者 さよならでひとつ大きくなって もう何も悔やまない また会える時の微笑み それだけを今あたためる さよならは愛の通過点 避けては誰も愛せない

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        【ショートショート】悪いのは誰なの

          【詩】桜もそして人間も

          最後の力をふりしぼり 散りざまさえも美しく 桜は永い眠りへと 風のうしろを発ってゆく やがては尽きると知りながら それでも命のあるかぎり 生きてゆくのが何よりの 美しい姿ではないか 桜もそして人間も

          【詩】桜もそして人間も

          【詩】君というゴールまで

          寒さをはらう陽射しのように 君にとっての春になれたら 少しは男の役割を 果たせたと言えるだろうが あいにく器用な振る舞いが 何より苦手な性分で 笑わせてあげるつもりが 白けさせてしまう 半人前を通過して 一人前の折り返し まことの男になるまでの間 君を待たせつづける 俺を許してくれないか 君というゴールまで きっと完走してみせる

          【詩】君というゴールまで

          【詩】目の前の真実

          心で流す涙なら バレないとでも思ったか 君はいまだに目の奥で いったい誰を見つづける もしもかつての男なら 君を孤独に追いやった そんな薄情者のこと 思い出す価値さえもない いま君の目の前にある 真実から目をそむけずに 俺だけを見つめてほしい

          【詩】目の前の真実

          【詩】雨上がりの空そっくりに

          雨上がりの空そっくりに みるみる明るくなり 雨上がりの空そっくりに 暗い世を塗りかえる そういう力が私にも いつかに備え眠ってる どんなにさびしい路地裏も 光はかならず届くもの それを信じて生きるなら 心はまぶしい空になる

          【詩】雨上がりの空そっくりに

          【詩】失恋バンザイ

          失恋バンザイ 失恋バンザイ 失恋バンザイ 失恋バンザイ あの子は実にあっさりと 言葉を残すこともなく 俺の前から旅立って 別の人生へと向かう 仕方ないから幸せを 祈ってやろうとまで思う 失恋なんて痛くない もっと大人になってから 出逢っていれば結末は 違っていたかもしれないが 未練はかけらひとつない むしろ男が磨かれて 晴れやかでさえあるほどに 失恋なんて痛くない あまりの大きな感激に 涙が止まりそうにない だから失恋バンザイと 叫んで男を上げてやる       

          【詩】失恋バンザイ

          【詩】わが宿命(竈門炭治郎の祈り)

          この世のどこにも鬼はない ただ傷ついて変わり果て 心に飢えた者だけが 悲しめないまま生きている そんな苦悩にふかぶかと 心を寄せずにいられない かつては同じ人だった 魂たちの声がする それでも生ける人々の 嘆きが響きわたる時 哀れみだけに流されて 惨事を許しなどしない わが宿命は容赦なく 胸に痛みを走らせて なおも生きるということの 重みを教えつづけてる 流れ出ることなく散った 数えきれない涙まで ひとりで背負うことだけが せめての救いと信じてる いま静かにまぶたを

          【詩】わが宿命(竈門炭治郎の祈り)

          【詩】白状しますこの想い

          苦しまぎれの好きなんて 取り消すにはもう手遅れの ブラックジョークにも劣る うっかり君を怒らせて 苦肉の策に本心を ひとえに白状してしまう この上もないみっともなさ この下もない面目なさ 苦しまぎれの好きなんて 悲劇のように泣けてきて 喜劇のようにおかしいもの

          【詩】白状しますこの想い

          【詩】青春の続き

          日記をひらけば目の前に 青春が広がってゆく ふたり朝帰りした時の 息づかいまで聞こえてる 恋愛小説さながらの 微笑ましくなるフレーズが 欄外にこぼれそうなほど 心の余白をいつの日も あなたで埋めつくしてた この続きからまた 青春を書きはじめたい 読み返すたびにそう感じてる

          【詩】青春の続き

          【詩】青春の海原

          渚をひとり駆け出して 真夏の風に体当たり 青春なんてフレーズが ちょうど似合いのワンシーン 追えば追うほど遠ざかる 水平線に思えても 青春という海原は 立ち止まるには惜しいほど とりどりの真珠が眠ってる

          【詩】青春の海原

          【詩】何かが俺を引きとめる

          年甲斐もなく夢のひとつでも 性懲りもなく愛のひとつでも この胸にあたためているかぎり 青春が遠ざかることはない 暦をいくつ見送っても 俺は相変わらずの青春 やり残した何かが俺を 青春に引きとめつづける

          【詩】何かが俺を引きとめる

          【詩】生きてるかぎり青春

          手に余るほど退屈な この一瞬でさえ 青春に他ならない そうと知るまでにかかった 長い時間でさえ 青春に変わりはない 悔やみきれないほど 過ぎてしまった日々と同じだけ 青春はまだこの先もつづく 生きてるかぎり青春が 思い出話になることはない

          【詩】生きてるかぎり青春

          【詩】青春という瞬間に

          まだ行き先を決めかねて 足踏みしてるあいださえ 時間はとても早足で 迷子を残したまま進む 未来から見る風景は 何もかも色あざやかで 孤独に思えた数々も ほのかに甘い香りする 青春という瞬間に いつでも生きていたことを 月日がいつか知らせてくれる

          【詩】青春という瞬間に