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「音色」 4 目が覚めた

フーッと、自分の息を感じた。反射的に目が開き、白い天井が見える。

    あー、生きてる

「目が覚めましたね、手術終わりましたよ、」と明るい声。          ccu、冠疾患集中治療室担当の看護師さんの爽やかな口調に癒やされた。無事、手術が終わった事に気がついた。

前日

札幌水源地通りにあるこの病院に救急車で運ばれたのは3日前。

北見市内からの転院、4時間弱ずーっと「ピーポー」を聴いてました。こんな長時間のサイレンを聴く体験はなかなか無い。室内のストレッチャーに横になっている間は少しでも眠りに入るもんなら

ブー

と警報がなる。「キツイですが眠りに入らないよう頑張って下さい」と付添の看護師さんに説明されていました。時々、家内も看護師さんもサイレンを子守り唄に、こっくり眠り入っていた事は秘密に。

病院に到着後早々に入院、手術の説明を受けて家内は市内のホテルに。病衣に着替え心電図やCTなどの検査に半日。病室でやっとくつろいでいると「採血します」とカーテンを少し開き担当看護師さんの顔が見えた。   その後方にはまだ若い看護師さん。手元にはトレーに山積みになっている真紅採血管が見えた。

これ、なんか多いので、確かめてきます

と戻っていった。担当看護師さんから「大丈夫ですか、手術で良くなります。少しつかれましたか?今日は採血で検査終わりです」と。「だいぶ腫れてますね、沢山の注射したんですね」と腕を摩すり新たな注射針の場所をやっと見つけた。先程のトレーが見えた。

    これ、全部でした、

トレーに13本。心臓の手術前はしっかりと検査するんだなと自分で納得。

すみません、もう一本

少し横になり小一時間。病室は4人部屋で心臓疾患の方々。その中にいたって元気なお父さんがこちらが気になる様子が伺えた。

「貴方は、なんの手術かな」と尋ねられ、人工弁の話しをしました。納得した顔でしっかりした口調で、

あんた、まだ若いから手術した後は張り切らないように
元気な身体のつもりで張り切ったら、私みたく大変な事になる
無理しない事だ

なんか、ほっとしました。その方は夕方には退院され、私にお告げを残してくれました。

手術当日

朝、家内も病院に。手術前の説明を一通り受ける。手術予定時間になり、ベットから車椅子に移動。

ドキドキ

手術室の扉が開き、家内、看護師さんも励ましの顔を振りまく。

「さあ、移動しますよ」手術前の準備が始まる。手術台には数人で抱き上げられ移動。すぐさま女性の声で「口開いて下さい」

これは麻酔でないですよ

「あ、これから麻酔なんだ」と、麻酔はどうやってやるのかな?と前日からの不安、疑問が頭を過った。すかさず男性の声

これから、麻…

一瞬で落ちた、

     目が覚めた…


  次回 「音色」5  鼓動                                         乞うご期待!

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