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エッセイ

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美しきパフェに浸る。II

美しきパフェに浸る。II

パフェとは、つかの間の夢であり刹那のエンターテイメントである。

以前、ブライトンホテル東京ベイのロビーラウンジ「シルフ」にて「美しすぎるパフェ」として苺をふんだんに使用したスワンパフェを堪能した。

そして今回また別のブライトンホテルに泊まることになり、他のスワンにもお目にかかれると知ったとき、これはぜひ会いに行かねばと思った。

というわけでパフェを食す、あの夢のような時間を求めてブライトンホ

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「風が気持ちいい」のかっこいい言い方。

「風が気持ちいい」のかっこいい言い方。

茶室に入った瞬間に、あれ、とほのかな違和感を抱いた。

それもそのはず。
先月までぽっかりと畳をくり抜いて、備え付けてあったはずの炉がない。その場所は何事もなかったように畳になっていた。
その代わり、勝手付けに近い方の畳の上の釜でしゅんしゅんとお湯がたぎっている。

風炉、である。
5月からは気温が高い時期は、こうして畳をくり抜いた「炉」から畳の上でお釜を沸かす「風炉」に切り替わる。

前回前々回

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京都で小学校だった建物でお籠りステイ。

京都で小学校だった建物でお籠りステイ。

ホテルやら旅館やら、わたしにとってのお宿とは、観光地へ赴くための足掛かりではない。
ここ最近は、どちらかというと、ゆっくり過ごすための非日常と日常のあわい的な要素が強い。

いつもと違う環境の場所で、お気に入りの飲み物片手にゆったり過ごす。
それは、リフレッシュであり、贅沢であり、またゆるやかな現実逃避でもある。

関西圏に暮らすわたしは、京都、奈良、大阪、和歌山など関西にお気に入りのお宿が多いが

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風情ある奈良の今井町にて、そぞろ散歩。

風情ある奈良の今井町にて、そぞろ散歩。

奈良公園、ならまちはもう行ったしなあ…。
というあなたにすすめたい、また違う奈良の魅力を。

訪れたのは橿原神宮前駅の二つ隣の駅、八木西口駅から徒歩5分歩いて見えてくる今井町。
町全体が重要伝統的建造物群保存地区であり、江戸時代の民家が残る、風情たっぷりの町である。

到着したのがお昼過ぎ、腹が減ってはなんとやら、ということで重要文化財の古民家をリノベーションしたカフェ「Hack berry」さん

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サーティワンで子どもの頃からの夢を叶えてきた。

サーティワンで子どもの頃からの夢を叶えてきた。

ああ、一度でいいから好きなだけ選べたらいいのに…!!

母とのお買い物帰りに寄ったとき。
高校生のときに、学校帰りに友だちとわいわい寄ったとき。
大学生や社会人になってふと寄ったとき。

ポップで楽しげな色とりどりのショーケースを目にするたび、何度そう思ったかしれない。

先日からサーティンワンにて「よくばりフェスキャンペーン」が始まった。

どんなキャンペーンかというと、スモールサイズよりもやや

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架空の兄が出来た話。

架空の兄が出来た話。

その日は、なんだか気分の良い帰り道だった。

予定以上に仕事は捗ったし、子どもたちのトラブルもなかった。仕事帰りにカフェにだって行くことができた。そして手からぶら下がるのは、先ほどコンビニで買ったばかりの幸せバターのポテチと限定三ツ矢サイダーみかん味。

その上、明日からは週末。しかもずっと楽しみにしている予定があるときた。

傘の上で弾ける雨の音も心なしか、リズミカル。
こんなささやかな幸せが幾

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繋がれた小さな手。

繋がれた小さな手。

きゅ、と小さな温もりがわたしの手の平に触れる。

少し驚いて、そうっと手の持ち主を盗み見る。特段、照れ臭そうでもなくうれしそうでもなく、いつもと変わらぬ低学年のそうたくん(仮名)の横顔。

意外に思ったのは、彼は普段わたしの近くによってきたり、スキンシップを求めたりするようなタイプではないから。

…なんでこのタイミングで?

彼は、玄関で上靴から外靴に靴を履き替えるときに手を握ってきた。

あ、

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新1年生に、きゅん。

新1年生に、きゅん。

小学校に入学して、はや2週間が経った1年生たち。

廊下ですれ違っただけで、にこにこと楽しそうな笑みを乗っけて、手を振ってくれる子。
思わず、こちらも笑顔になっちゃう。

廊下で初めてわたしと会って、
「だあれ?」と目をぱちくりさせて聞いてくる子もいる。
「碧魚先生だよ〜。(名札ちらっ)よろしくね、○○さん。」
「わ〜ありがとうー!なんでわたしの名前、知ってるのー!」

か、可愛い。
まあ多分、次

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予定は未定。

予定は未定。

わたしは、予定を立てるのが好きだ。
否、むしろ立てないと落ち着かないという方が正しい。

学生時代、テスト前にはドリルの○ページから〇ページ。○○を重点的にやる日。など細かくノートに書き記した。
そして完了したものに罫線を被せること、そして+α出来たことを書き足すことに優越感を抱いていた。

今なお、その習慣は健在であり、仕事専用の手帳には同じようにその日や今週やるべきことを細かく書き出しており、

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すずめと一緒に「戸締まり」できた話。

すずめと一緒に「戸締まり」できた話。

昨日の金曜日ロードショー、「すずめの戸締まり」でしたね…!
映画館で見て衝撃を受け、すごく印象に残った映画の1つです。

そういえば、前にその日のわたしの出来事と映画の内容を絡めてnoteを書いていたなあ、と思い出しました。
仕事に対してマイナスなことも書いてるし、
書いた当時は投稿を躊躇していましたが、折角書いたしこの機会に出しとこう…!笑

…*…*………*………*………*……*

「すずめの

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ロイホであんみつに出会い直す。

ロイホであんみつに出会い直す。

以前、もはやわたしの作業部屋といっても過言ではない、愛しのコメダ珈琲についてつらつらと書いたが、比較的お客さんが少ない時間帯であれば、ファミリーレストランも作業場所として最高である。

なんたって、食べ物が充実している上に机が広い。その上ドリンクバーという、カフェオレも珈琲もメロンソーダも何でも飲み放題という神システムが存在するのだから。

そして意外と、時間を選べば、パソコンをカタカタしているサ

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卒業式、斜め前の先生の涙が美しいと思った。

卒業式、斜め前の先生の涙が美しいと思った。

つい先日、わたしの勤める小学校で卒業式があった。
卒業生の新たな門出を祝うかのごとく、春の日差しが温かな日だった。

何度も練習したように、1人1人、ゆっくりと体育館の壇上にあがる卒業生たち。

担任により名前を呼ばれると返事をし、卒業証書を受け取って礼をし、またゆっくりと階段を降りてゆく。

卒業生である6年生へどんな思いを抱くかは、これまでの彼らとの関係性によると言える。

わたしはというと、

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滋賀大津にて、ドイツを堪能する。

滋賀大津にて、ドイツを堪能する。

未知との遭遇は愉しい。

それが不安要素が特に見当たらず、期待に覆われているならばなおさら。

目に飛びこんでくる文字は読めるけれど、どんなものを指すのかは見当もつかない。
しかし、きっと美味しいものであるという期待は膨らむ。

わたしは、ドイツにやってきた。

いや、正しく言うと滋賀県大津市にある
「ヴュルツブルクハウス」というドイツ料理のレストランにやってきた。

可愛らしい民族衣装のようなワ

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ひな祭りの特別な甘酒。

ひな祭りの特別な甘酒。

つい先日まで、冷たい風に首を縮こませて歩いていたというのに急に気温が上がった。

分厚いセーターの下、じわりと微かに汗ばんできたので、コートを腕にかけ歩く。

今日のお稽古はきっとお雛祭りにちなんだしつらえに違いない、なんて思いながら茶道の先生のお宅へ急ぐ。

予想通り、使うお道具も床の間も桃の節句のしつらえ。
菱餅に似たような棚(業平棚というらしい)と、床の間には可愛らしいお雛様と桃の花。

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