『虎に翼』第97回 3年でいろいろと変わる
猪爪家にもどると、直明と花江が結婚後同居するかどうかで揉めており、寅子は解決策を見出せません。寅子は感情に寄り添えるようでズレているので、ここは静観ですかね。
3年間で世の中も子どもも変わったとしみじみと語る寅子。ここで花江はうっかりのふりをして、口止めされていたということを漏らしてしまいます。
「そうね……よねさんだってやっと」
ここで寅子が驚くと、梅子に口止めされていたと続ける花江。いや、わざとだろ。
弁護士が二人になったあの法律事務所
さて、そのよねは轟とおにぎりを口に運びながらあの法律事務所にいます。一日の打ち合わせをしているようです。そこへ寅子がやってきます。驚く轟。昭和らしいメガネをかけ、整髪料がにおいそうな髪型になり、茶色いスーツもいかにも昭和です。昭和のおじさんらしさが出ています。NHKスペシャル未解決事件で大沢たかおさんが演じる松本成長を思い出しましたね。
轟ははしゃいでいるのに、よねは動揺をおさえつつ、無表情です。しかも、おにぎりを持ったまま寅子を避けて移動していく。そのスーツには弁護士バッジが光っています。追いつかれてしまい、観念して寅子から祝われるよね。無表情です。でも寅子はよねがわかっているから、いちばん言って欲しいことがわかっています。
自分を曲げず、何も変えず、よねさんのままで。ただ、合格しただけでなく、そこをちゃんというのが寅子です。一念発起すれば合格できるだけの実力はある。でもそのためにスーツを脱ぐのはよねじゃない。ここでよねがスカートを履いていたらそれはそれで残念なんです。司法修習を終えたところで寅子にこう言われ、内心はとてもうれしいと思います。
轟がここで新しい名刺を見せてきます。そこには「山田轟法律事務所」とあります。どっちの名前を先にするかでもめて、最後はじゃんけんで決めたそうです。あの憲法第14条の前でじゃんけんをする二人が出てきます。
これは含意がある場面でしょうね。名義変更は面倒だし、轟が先に弁護士になっていたんだし、何より轟は“男”なんだし。轟山田でもいい。なんなら轟のままでもいけるはず。それをあえてまっさらにして、じゃんけんという要素で決めるところに、提示された未来の可能性を感じます。夫婦の姓だってこうしてじゃんけん勝負で決めることが定番なら、世の中もっとちがうはずですよ。
寅子は祝いの言葉だけいうと、あわただしく出ていきます。ここでよねがすごくおだやかなで、ちょっとうれしそうな顔になっていて、轟もそれを察知しています。そうして喜んでいるところを指摘されると照れ臭いのでした。
法曹たち、それぞれの3年後
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