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第1話 エジプトまでの道のり(アフリカンジャーニー1カ国目①)〜世界一周備忘録(小説)
1月11日時刻は20時43分。成田空港発カイロ国際空港行の飛行機が遂に出発した。
乗客が全員乗り込んだのか、定刻より2分早い出発である。
僕は経由地であるソウル空港に向かう機内の中で天井をぼーっと見つめていた―
成田国際空港発〜ソウル経由僕が出発の4ヶ月前に予約した成田〜カイロまでの飛行機は、計35時間を要する長時間のフライトだ。
ソウルとアディスアベバ(エチオピア ボレ国際空港)の2つの
第18話 【3カ国目マダガスカル⑥】モロンダバの人々「アフリカンジャーニー〜世界一周備忘録(小説)〜」
「暑すぎる。汗が止まらないぞ」
連日30度を超える「港町モロンダバ」で僕は何もせずダラダラと2週間ほど過ごしていた。
地面に染み込んでいく汗と一緒に、僕自身もこの街に溶け込んでいっているような気がしていた―
ジャラとの別れ。新しいホテル「それじゃ、ジャラ元気でな!とりあえず気をつけてまた650キロ帰ってくれ。アンタナナリボに帰ったら連絡するよ。」
原付旅を終えて無事にバオバブ街道の朝焼けを
第17話 【3カ国目マダガスカル⑤】不安を抱えた一歩「アフリカンジャーニー〜世界一周備忘録(小説)〜」
朝6時前。朝焼けに包まれるバオバブを見て"ある"ことを思った。
「不安を抱えながら進むことが旅なのかもしれない。」
"そう"語りかけてきたのは目の前の景色か。
それとも二人で乗り越えた650キロという道のりなのか―
モロンダバ到着。海と焼き鳥「海ってこんなに綺麗だったっけか―」
体力限界ギリギリで目の前に現れた「一本目のバオバブの木」。そこから、30分程掛けて街の端にあるモロンダバビーチ
第16話 【3カ国目マダガスカル④】バオバブ650キロの紙芝居「アフリカンジャーニー〜世界一周備忘録(小説)〜」
「まさか、あの中に突っ込んで行くわけじゃないよね?」
終わりの見えない一本道。途中でバイクから降り、果てしない地平線の先に浮かぶドス黒い空を見ながら尋ねてみる。
「これがRPGなら、あそこにはラスボスの屋敷があるだろうな。」
受け入れ難い現実を、場違いの解釈で笑いながら飲み込むことにした―
残り500キロの旅への出発昨夜降り出した雨の冷たさを、朝日が照らし始めていた。
前日、無事に19時
第15話 【3カ国目マダガスカル③】始まった大冒険「アフリカンジャーニー〜世界一周備忘録(小説)〜」
僕たち二人はこれまで見たことのないような、美しい棚田に囲まれていた。
「ふぉぉおおーーーーーー!」
眼の前に広がる光景は僕ら二人に雄叫びを上げさせるには、十分すぎる景色だった。
アンツィラベまで150キロ「1日目は150キロ先のアンツィラベで一泊しよう―」
原付2人乗りの僕らの初日の計画はこうだった。
とにかく、1日目は総走行距離650キロの4分の1にしか満たない距離のため少し安心だ。
第14話 【3カ国目マダガスカル②】旅への葛藤「アフリカンジャーニー〜世界一周備忘録(小説)〜」
「タケ。そんなに怖い顔するなよ。俺たちはお前の味方だ。」
不真面目なバイク屋だと思ってたキングコースからの一言に面食らう。
僕はただ、異国のルールを理解できていなかっただけかもしれない―
鬼退治と誤解
「それじゃ、いくぞタケ!」
当日まで若干の不安が晴れることはなかったが、壊れたバイクを預かってくれたマダガスカル人ジャラと僕は無事に2日後の月曜日に合流することができた。
「どうだ?すごい
第13話 【3カ国目マダガスカル①】天国から地獄「アフリカンジャーニー〜世界一周備忘録(小説)〜」
「おい!大丈夫か?中を見てやるから、沿道にバイク寄せろ!」
壊れたバイクに全体重を掛けて、大通りを汗だくで押し歩いてる僕に後ろから声が聞こえた。
その声の主は「救世主」かそれとも更なる「悪魔」か。
自分への"心許なさ"と相手への"猜疑心"が僕の中で激しくぶつかっている―
マダガスカルでの大計画「650キロか。ふむふむ。原付で行けないこともないな―」
世界一周3カ国目のマダガスカルで僕は、
第12話 【2カ国目エチオピア②】すれ違う人々「アフリカンジャーニー〜世界一周備忘録(小説)〜」
「朝起きると、宿から一人また一人といなくなる―」
僅か数日だが一緒に過ごした人が去っていく光景は、ほんの少しだけ寂しさを感じさせてくる。
その寂しさは行きずりの中にも確かな時間が存在していたことの証明なのかもしれない。
素敵なMAD VERVET BACKPACKERS HOTELエジプトからジュンさんタイシと一緒に訪れたエチオピアの宿「MAD VERVET BACKPACKERS HOTE
第11話 【2カ国目エチオピア①】事件と強さ「アフリカンジャーニー〜世界一周備忘録(小説)〜」
「危険な街なのに、良い街だと断言している―」
エチオピアという国の最初の印象はこんな感じだった気がする。
出会う旅人達の人間性が良いのか。本当に良い街なのか僕にはまだ判断が出来なかった―
外務省からの注意喚起「タクシードライバーによる強盗が発生している―」
ジュンさん、タイシと共にエチオピアに向かう前に外務省が発信している情報を目にする。
外務省が発表している文章によれば、僕らがエチオピ
第10話 【1カ国目エジプト⑩】バクシーシ「アフリカンジャーニー〜世界一周備忘録(小説)〜」
「バクシーシの姿がやたら目につく―」
エチオピアへのフライトのために二週間弱ぶりに戻って来たカイロ。
初めて降り立ったときとは少し違う世界を感じている僕がいた。
久しぶりのカイロ「Welcome back」
僕は二週間弱振りにカイロに戻り、最初の宿とした「ベニス細川家」に再びチェックインしていた。
ベニス細川家のスタッフの「おかえりなさい」という言葉にどこか安心感を覚えている自分がいる。
第9話 【1カ国目エジプト⑨】ルクソール-アスワン「アフリカンジャーニー〜世界一周備忘録(小説)〜」
「旅は道連れだ―」
昨日出会ったばかりのジュンさんが何気なく発したその言葉が、やけに胸に響いてくる。
カイロから700m程離れたアスワンで、僕ら3人はアディスアベバ(エチオピア)行の航空券を予約していた。
怖すぎたギザの街「ガルガルゥゥ!ギャンギャン!」
陽が完全に落ちたギザの真っ暗な細道を歩いていると、若い犬使いが黒い番犬を僕にけしかけてきた。
犬使いが発する「アギアギ」という呼びかけ
第8話 【1カ国目エジプト⑧】ピラミッド前の物語「アフリカンジャーニー〜世界一周備忘録(小説)〜」
「タケさん。僕ね。決断したときが"自分を一番変えたような気がする"んですよ。」
僕たち二人は物語をしながら、「トマンホテル」の屋上でギザの風に吹かれていた。
目の前にはピラミッドがゆっくりと存在している。
既に話し始めて3時間は経過していただろう。
二人の会話はこれからもどこかで生きていくようなきがしていた―
もう一度ピラミッドの前へボッタクリにチップ要求、そして頼んでもいないパピルスの
第7話 【1カ国目エジプト⑦】ピラミッドと精神的コスト「アフリカンジャーニー〜世界一周備忘録(小説)〜」
「まじで疲れた。もう二度とピラミッドを見たくない―」
初めて見るピラミッドに心が踊ったのも束の間。
僕は、歪んだピラミッドを背に帰路を急いでいた。
ラクダに跨ってしまった…「よし、ツアープランを3つ紹介するから選んでくれ。」
僕はラクダに跨り3m弱程高い位置から、地面に立つツアーガイドのプラン説明を苦い気持ちで聞いている―
エジプト考古博物館に行った翌日に、「ギザの三大ピラミッド」を見る
第6話 【1カ国目エジプト⑥】ツタンカーメンと初の日本人「アフリカンジャーニー〜世界一周備忘録(小説)〜」
「いやー僕、何も調べてなくてよくわかんないんですよねー」
エジプトからアフリカを50万円で南下すると言い、九州からやって来た少年。
少年らしいあどけなさが残る25歳の男に、初対面ながら親しみを感じている。
エジプトに来て4日目。初めて日本人と出会った―
ツタンカーメンとブチギレおっさん出ては戻ってを既に3回は繰り返しただろうか。
エジプト考古博物館のツタンカーメン専用展示室を僕は年甲斐も
第5話 【1カ国目エジプト⑤】ナイル川と詐欺師「アフリカンジャーニー〜世界一周備忘録(小説)〜」
「日本語勉強したいから、無料で案内するよ―」
流暢な日本語で話しかけてくる、ぼろぼろな服を着た50代の男が僕の手を引いて行く。
またしても、僕は―
最初の食事と優しいおっちゃん「腹減ったな。エジプト最初の食事でもするか」
時刻は14時前。
カイロの目覚めと共に深い眠りに落ちていた僕は、4時間ほどの眠りから目覚め空腹を感じていた。
前日の22時に機内食を食べてから同部屋のインド人がくれた
第4話 【1カ国目エジプト④】ベニス細川家「アフリカンジャーニー〜世界一周備忘録(小説)〜」
「ここは戦場なのか。熱気にやられそうだ―」
僕はタクシードライバーに連れてきてもらった宿の最寄り駅に降り立った。
見知らぬエジプトの雑踏に今にも飲み込まれてしまうのではないかという恐怖に心が侵食されるような気がしていた―
本当の最寄り駅まで辿り着け「お前はアラビックか?」
明らかなぼったくりでふっかけてきはしたが、僕に空港脱出という希望を与えてくれたタクシードライバーが荒い運転をしながら後