壷中天

You are what you ate...人はその摂取したものの総体であるなら、同…

壷中天

You are what you ate...人はその摂取したものの総体であるなら、同時に、見たもの、読んだもの、聴いたもの、感じたこと、考えたこと、さらには為したことの総体でもあるだろう

最近の記事

旅芸人と神と鬼:モーム、小津安二郎、フェリーニ、鈴木清順、横溝正史、エルヴィス、小林旭、川端康成

「古典ミステリー初読再読終読:サマーセット・モーム『アシェンデン或いは英国諜報員』その1」でふれた、イギリスの某国駐在大使の若き日の恋の相手が、旅芸人一座の醜いアクロバット芸人だというのを読んで、いろいろ思いだし、あれこれ考えた。 そのあれやこれやを書くので、これは「アシェンデン」を扱った三つの記事のまっすぐなつづきというより、枝分かれというべきかもしれない。 ◎川端康成『伊豆の踊子』 日本の場合、旅芸人の物語というと、わたし自身はあまり興味がないのだが、何よりもまず、

    • 古典ミステリー初読再読終読:サマーセット・モーム『アシェンデン或いは英国諜報員』その3

      (「古典ミステリー初読再読終読:サマーセット・モーム『アシェンデン或いは英国諜報員』その2」よりのつづき) ◎寝返りの寝返り (承前)そして、そのつづきの、アシェンデンがグスタフに「調査中」だと云った、やはりスイスにいるスパイを描く「裏切者」(The Traitor)という章も深い味がある。 その駐在員が住むLucerneまたはLuzern(現在はルツェルンと表記するらしいが、スイス・ドイツ語発音の音声ファイルを繰り返し再生しても、英語発音と同じルザーンまたはルツァーン

      • 古典ミステリー初読再読終読:サマーセット・モーム『アシェンデン或いは英国諜報員』その2

        (承前) 「古典ミステリー初読再読終読:サマーセット・モーム『アシェンデン或いは英国諜報員』」でふれたX国駐在英国大使の告白を聞きながら、アシェンデンはしきりに時間を気にしている。 夜遅くに「人と会う約束がある」のだとしたら、ふつうなら情事だと思うが、アシェンデンはエイジェントだ、何か別の理由だろう。 しかし、大使の独り語りが終わり、外出から戻った夫人に挨拶すると、アシェンデンはそそくさと公邸を辞し、その章は終わってしまう。あれ? 説明しないのかよ、と肩すかしを食った気

        • ローランド・カーク - Triple Threat, 1957 子供の時にテレビで見て、テナーとソプラノを同時に吹くというアクロバットに驚いたが、虚心にプレイを聴けば、出音もピッチもよく、その気ならスタジオ・プレイヤーにもなれただろう技術を持っている。

        旅芸人と神と鬼:モーム、小津安二郎、フェリーニ、鈴木清順、横溝正史、エルヴィス、小林旭、川端康成

        • 古典ミステリー初読再読終読:サマーセット・モーム『アシェンデン或いは英国諜報員』その3

        • 古典ミステリー初読再読終読:サマーセット・モーム『アシェンデン或いは英国諜報員』その2

        • ローランド・カーク - Triple Threat, 1957 子供の時にテレビで見て、テナーとソプラノを同時に吹くというアクロバットに驚いたが、虚心にプレイを聴けば、出音もピッチもよく、その気ならスタジオ・プレイヤーにもなれただろう技術を持っている。

          ローランド・カーク - Triple Threat, 1957 そもそももヘチマもあったものではない。デビュー盤からして、すでに4ビート的というよりR&B、いや、ポップ・アルバムといってもいい。ほとんどキング・カーティスを聴いている気分で笑ったのなんの。

          ローランド・カーク - Triple Threat, 1957 そもそももヘチマもあったものではない。デビュー盤からして、すでに4ビート的というよりR&B、いや、ポップ・アルバムといってもいい。ほとんどキング・カーティスを聴いている気分で笑ったのなんの。

          ローランド・カーク - Complete Recordings 1956-62 どこでグレて「そういう人」になっちゃったのかと、そもそものはじめまで遡って聴いてみた。デビューから数年間のリーダー盤、ゲスト盤の詰め合わせ。

          ローランド・カーク - Complete Recordings 1956-62 どこでグレて「そういう人」になっちゃったのかと、そもそものはじめまで遡って聴いてみた。デビューから数年間のリーダー盤、ゲスト盤の詰め合わせ。

          ローランド・カーク - Blacknuss, 1971 いや、モータウンのカヴァーはまだわかる。わからないのはMake It With You。同題異曲でしょ、まさかアレじゃないさ、と思ったら、まさかのブレッドのアレ! ふつう、あの時代のジャズ・プレイヤーはやらないぜ。

          ローランド・カーク - Blacknuss, 1971 いや、モータウンのカヴァーはまだわかる。わからないのはMake It With You。同題異曲でしょ、まさかアレじゃないさ、と思ったら、まさかのブレッドのアレ! ふつう、あの時代のジャズ・プレイヤーはやらないぜ。

          ローランド・カーク - Blacknuss, 1971 選曲もマーヴィン・ゲイのWhat's Goin' OnだのテンプスのMy Girlだの、ええ? だし、サウンド的にも4ビートというより、ジャズ・ファンク。そういう人だっけ? であった。

          ローランド・カーク - Blacknuss, 1971 選曲もマーヴィン・ゲイのWhat's Goin' OnだのテンプスのMy Girlだの、ええ? だし、サウンド的にも4ビートというより、ジャズ・ファンク。そういう人だっけ? であった。

          『ファム・ファタール』 Obsessionは見終わって「面白いんだけどさあ、これじゃあちょっと……」と困惑したが、同じように「それはちょっとなあ」というプロットでも、ファム・ファタールは「しよーがねーなー」と苦笑いするのみ。口の中に厭な味は残らなかった。

          『ファム・ファタール』 Obsessionは見終わって「面白いんだけどさあ、これじゃあちょっと……」と困惑したが、同じように「それはちょっとなあ」というプロットでも、ファム・ファタールは「しよーがねーなー」と苦笑いするのみ。口の中に厭な味は残らなかった。

          『ファム・ファタール』 エンディング・クレジットを見たら、キャメラ・オペレーターとはべつに、ピン送りのスタッフ(Focus Pullers)の名前がちゃんとあった。アメリカ映画の分業化には毎度驚かされる。

          『ファム・ファタール』 エンディング・クレジットを見たら、キャメラ・オペレーターとはべつに、ピン送りのスタッフ(Focus Pullers)の名前がちゃんとあった。アメリカ映画の分業化には毎度驚かされる。

          『ファム・ファタール』 この機内の2ショット、眼病の経験があるわたしは、また目が悪くなったのかと、見直してしまった。さにあらず、被写界深度を浅くし、話者が替わるたびに、そちらへと微妙にピン送りをしていた!

          『ファム・ファタール』 この機内の2ショット、眼病の経験があるわたしは、また目が悪くなったのかと、見直してしまった。さにあらず、被写界深度を浅くし、話者が替わるたびに、そちらへと微妙にピン送りをしていた!

          『ファム・ファタール』 IT富豪を演じたのはピーター・コヨーテ。20年ぶりぐらいに見た。懐かしい。本物のヒッピーだった人で、最初はグレイトフル・デッドについてコメントしているのを見て知り、あとで出演映画を見た。

          『ファム・ファタール』 IT富豪を演じたのはピーター・コヨーテ。20年ぶりぐらいに見た。懐かしい。本物のヒッピーだった人で、最初はグレイトフル・デッドについてコメントしているのを見て知り、あとで出演映画を見た。

          『ファム・ファタール』 堂々と正面切って誰の耳にもラヴェルとの類似がわかる曲を書いたのは、いったいどなたさまとクレジットを見れば、坂本龍一。なるほどねえ。いや、構成法、スタイル、気分が似ているのであって、メロディーが似ているわけではなく、模倣ではない。為念。

          『ファム・ファタール』 堂々と正面切って誰の耳にもラヴェルとの類似がわかる曲を書いたのは、いったいどなたさまとクレジットを見れば、坂本龍一。なるほどねえ。いや、構成法、スタイル、気分が似ているのであって、メロディーが似ているわけではなく、模倣ではない。為念。

          『ファム・ファタール』 そのエロティックかつサスペンスフルな冒頭のケイパー・シーンの音楽が、性行為のメタファーと云われるラヴェルの「ボレロ」を思わせる、シンプルなモティーフを延々と繰り返し、緩やかなクレシェンドで「上り詰める」音楽で、ニヤニヤしてしまった。

          『ファム・ファタール』 そのエロティックかつサスペンスフルな冒頭のケイパー・シーンの音楽が、性行為のメタファーと云われるラヴェルの「ボレロ」を思わせる、シンプルなモティーフを延々と繰り返し、緩やかなクレシェンドで「上り詰める」音楽で、ニヤニヤしてしまった。

          『ファム・ファタール』 ヒチコックも窃視症的だったが、ディ・パーマも同類、エロティックなシークェンスで腕を見せる。ボディー・ダブルのダンス・シーンはポーン以上にセンジュアルだったが、ファム・ファタールのふたつのエロティック・シーンも素晴らしく蠱惑的。

          『ファム・ファタール』 ヒチコックも窃視症的だったが、ディ・パーマも同類、エロティックなシークェンスで腕を見せる。ボディー・ダブルのダンス・シーンはポーン以上にセンジュアルだったが、ファム・ファタールのふたつのエロティック・シーンも素晴らしく蠱惑的。

          『ファム・ファタール』 ヒチコックのめまいを模したObsessionというディ・パーマ映画があった。面白いが無理を重ねすぎたプロットだった。やはりヒチコックの裏窓にヒントを得たボディー・ダブルでそのへんはかなり修正されたが、ファム・ファタールはまた無理筋に戻った感がある。

          『ファム・ファタール』 ヒチコックのめまいを模したObsessionというディ・パーマ映画があった。面白いが無理を重ねすぎたプロットだった。やはりヒチコックの裏窓にヒントを得たボディー・ダブルでそのへんはかなり修正されたが、ファム・ファタールはまた無理筋に戻った感がある。