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私の好きなカバーソング(64)デヴィッド・サンボーンさん追悼 「You Belong to Me」カーリー・サイモン、「First Love」宇多田ヒカル
サックス奏者のデヴィッドサンボーンさんが5月12日に亡くなられました。 「You belong to me」という曲には同名異曲が複数ありますが、紹介するのはドゥービーブラザーズの本歌をカーリーサイモンさんが1978年にカバーしたものです。2分をすぎたあたりから入ってくるサンボーンさんに全部持っていかれます。セッションミュージシャンとして多くの作品に参加し、この作品は氷山の一角ですが、主役を食ってしまうことも多かっただろうと想像します。 宇多田ヒカルさんのファーストラブにも
私の好きなカバーソング(63)「Ponta de Areia(砂の岬)」ウェイン・ショーター&ミルトン・ナシメント、エスペランサ・スポルディング、THE BOOM
ジャズサックスのレジェンド、ウェインショーター(1933-2023)のアルバム「ネイティブダンサー」(1975)でこの曲を知り、同時にミルトンナシメント(1942-)のことを知りました。 ミルトンナシメントさんは1970年代以後、ブラジルを代表するシンガーソングライターで、ウェイン・ショーターのこのアルバムにゲストとして参加してジャズ界でも注目される存在となりました。 この曲はナシメント作で故郷の自然や人々を歌っており、タイトルは廃線となっている駅の名前らしいです。とにかく声
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私の好きなカバーソング(61)「Moon And Sand(月と砂)」キース・ジャレット、チェット・ベイカー、ケニー・バレル
キースジャレットのスタンダーズトリオのアルバム「Standards, Vol. 2」(1983)で知った曲です。キース自作の「So Tender」に続く2曲目で、この曲から隠れた名曲の沁みる演奏が続きます。 月夜の浜辺での一夜の逢瀬を描いた作品で、1941年に作られベニーグッドマン楽団によって最初に演奏されました。このキース版ではイントロとアウトロが印象的で、特にアウトロでは同じメロディが3回繰り返されますが、美しさの極みでひとつの独立した作品のようです。 チェットベイカー
私の好きなカバーソング(59) 「You Don't Know What Love Is(あなたは恋を知らない)」その2 ソニー・ロリンズ、エリック・ドルフィー、キース・ジャレット
前回(58)の続きでこの曲の2回目です。なお曲の紹介順に意味はありません。結果的にジャズの名演ばかりになりました。 ソニーロリンズはアルバム「サキソフォン・コロッサス」(1957)の2曲目です。1曲目「セントトーマス」が明るく陽気だったのが一転してシリアスムードで背筋が伸びます。このギャップにシビれます。 エリックドルフィーは米国のジャズ音楽家でアルトサックス、バスクラリネット、フルートを奏でます、この曲はフルートによる名演の誉れ高い作品でアルバム「ラスト・デイト」(19
私の好きなカバーソング(58) 「You Don't Know What Love Is(あなたは恋を知らない)」その1、ジョン・コルトレーン、マイルス・デイビス、ビリー・ホリディ、マル・ウォルドロン
この曲はジャズレジェンドたちがこぞって取り上げます。名演や定番ばかりで選ぶのに苦労したので2回に分けて紹介します。 曲は1941年頃映画音楽として作られ、その後多くのミュージシャンに取り上げられ、スタンダードになってます。 インストルメンタル作品が多いですが、歌詞は叶えられない恋に落ちたり、失恋して落ちこんだり、眠れない夜を何度も過ごすまでは、あなたは恋のことをわかっていないという意味のようです。 曲紹介を兼ね、まずはジョンコルトレーンです。アルバム「バラード」(1961
私の好きなカバーソング(57)「Sometimes It Snows In April」プリンス、ディアンジェロ、コールドプレイ
4月21日はプリンスの命日です。天に召されて8年経ちます。 私が暮らす北海道では温暖化で昔より減ったけど4月になっても雪が降る日があります。季節は春なのに気温が低く雪が降りそうな気配を感じるとき、頭の中をこの曲が静かに流れて厳かな気持ちになります。 この曲はプリンスが1986年に製作し主演した映画「アンダーザチェリームーン」のサントラ盤「パレード」のラスト曲です。映画を見てないのでどういう場面で使われたのかわかりません。映画自体は興行的に大コケだったようですが、このアルバムは
私の好きなカバーソング(56)「Love…Thy Will Be Done」Martika(マルティカ)、プリンス、松田聖子
この曲はプリンスと米国のシンガー、マルティカの共作で、マルティカのアルバム「Martika's Kitchen」(1991) に収録されてます。マルティカが書き留めてあった詞(祈りの言葉)を見たプリンスが感動して、曲をつけて提供したということです。いかにもプリンス作のバラードで、美しいとしか形容できないメロディです。 タイトルの「Love…Thy Will Be Done」は「御心があるように」とか「御心のままに」と訳されていて宗教的な意味合いです。歌詞も主を讃え、その愛に感
私の好きなカバーソング(54) 「Mona Lisas and Mad Hatters」エルトン・ジョン、ハート、ザ・キラーズ、ルーマー
エルトンジョン初期のアルバム「ホンキーシャトウ」(1972)の後半に登場する宝石のような曲です。このアルバムにはロケットマンやホンキーキャットなどヒット曲もありますが自分はこの曲を強く推します。 作曲エルトン、作詞バーニートーピンの名コンビです。エルトンジョンしか作れないと思わせる繊細なメロディーに若きエルトンの瑞々しいボーカルとピアノが光ります。 歌詞はニューヨークという大都会で暮らす生きづらさがテーマで、モナリザは笑わない女性、マッドハッターはドラッグの売人を指すというこ
私の好きなカバーソング(53)「バッハと鉄人ジャズピアニストたち」キース・ジャレット、ジョン・ルイス、ブラッド・メルドー
カバーとはちがいますが、ジャズピアニストはよくバッハを演奏します。クラシックのように譜面に忠実に演奏するものとアドリブを取り入れジャズのリズムやアレンジで演奏するものがあります。 私がジャズピアニストの最高峰と思っているキースジャレットは前者です。クラシックのアルバムも多く、バッハ作品をいくつも出してます。でもキースがアドリブを封じ譜面に忠実であるのならクラシックの一流演奏家を聴けばいい、ということになるのでキースは短いのをちょっとだけ。 今回のオススメはこちらです。米国の
私の好きなカバーソング(52)「Reach Out I’ll Be There」フォー・トップス、ダイアナ・ロス、ジャクソン5、ザ・スパイダース
学生の頃ダイアナ・ロスさんにハマり聴きまくった時期がありました。きっかけはダイアナ主演の「マホガニー物語」という映画を観たことで、主題歌「マホガニーのテーマ」がそれからしばらく耳に残ってました。 ダイアナロスがシュープリームスを離れ、ソロになってから世に出した多くの曲の中で、自分はこの「Reach Out I’ll Be There」が一番のお気に入りでした。 オリジナルは米国のR&Bコーラスグループ、フォートップスの1966年の大ヒットです。1971年にダイアナロスがカバ
私の好きなカバーソング(51)「Goin’ Home」アルバート・アイラー、アート・ペッパー、ハンク・ジョーンズとチャーリー・ヘイデン、宮沢賢治
原曲はドボルザークの交響曲第9番「新世界より」第2楽章のメロディです。小中学校の音楽の授業で教えられた記憶があります。それぐらい有名な曲です。 ドボルザークの弟子の米国人が詞を作り、このタイトルをつけてます。日本では『家路』というタイトルが有名ですが、同じメロディで別の詞になる『遠き山に日は落ちて』もあります。そしてなんと宮沢賢治が1924年(大正13年、100年前です!)に日本語詞をつけた『種山ヶ原』という作品もあるのです。 「遠き山に日は落ちて」はキャンプファイアの定