見出し画像

46歳♂ぐだぐだ転職記19|質問力

どの内定を選ぶか(というありがたくも贅沢な悩み)はまだ検討中。総合的に、どちらの方が自分に適しているかを考えている。
それは一義的には私の側から見て適した企業かどうかという問いなのだが、同時に、企業の側から見て私が適しているかどうかという問いでもあるだろう。内定まで出してくれたからには、先方も私に一定の評価をしてくれているのだろうし、期待以上の成果を残せばなおのこと良いだろう。しかし、その期待が「設定された枠内での成果」なのか「設定された枠をはみ出しての成果」なのかは、企業によって異なるのではないか。

他にも(おそらくよりマッチする経歴の職務経歴書を携えた)候補者がいた中で、自分のような変わったキャリアの人間を敢えて選んでいるからには、あまり狭い枠を考えてはいないのだろうが、面接を思い出してみると、各社とも「必要なスキルや経験を備えているか」を確認する質問はあった。しかし、その質問が単にスキルの確認に終わっていることもあれば、さらにスキルを備えた上で「この候補者はどういう発想をし、行動を選ぶ人か」のノビシロを見ようとしている質問をする面接官もいたのだと、今さらながら気付いている。

そういう質問を投げてくれた企業/管理職ならば、自分のような一風変わった人間でも、過度に畏まらずに伸び伸びと仕事ができるかもしれない。これまでの経歴を思い出してみると、そのような上司の下にいた時期が一番働きやすく、充実した成果も残せた時期だった。
その上司たちの経歴を思い起こしてみると、皆、王道ではないキャリアを歩み、しかしそれぞれの分野で成果を残していた。あるいは、学生時代に何かの分野で全国、世界レベルの大会に臨んでいたり。
そういう経験のある人とない人とでは、質問や、それを通してみようとしているポイントが違ってくるのかもしれない。

「面接の質問」は、自分がこれから働く環境を選ぶ上での重要な指標足りえる。

質問の土台

翻って、自分が最終選考まで進んだ企業は、いずれも一次面接からこちらからのクリティカルな逆質問を行えた企業だと思う。

未経験業界を選んで応募しているので、面接官の基本姿勢は「アナタはこの業界のことわかってないですよね」からスタートする。
だから、自己紹介のタイミングでは経験業界と応募業界との親和性(たとえばBtoCの構造など)を話題に織り込み、共通する構造の中で出した過去の業績や、それに結びついた発見、行動などを語る。
逆質問では、「以前の業界のこういう点と共通する点/異なる点ががあると思いますが」と前置きして、未経験部分を仕事で取扱っていく際の不安な点を敢えて質問する(面接官が気にしそうな懸念点の存在自体は把握して準備を開始しているアピール)。

また、多くの求人はそれほど真剣に作られていないので、場合によっては矛盾や誤字脱字も存在する。
ある企業の場合は業務プロセスを示す英語の略称を誤記していたので、「私が不勉強なだけかもしれませんが、求められる姿勢として記載されているPDBAというのは何のことか、調べてみてもわからなかったので教えてください。PDCAのヴァリエーションのような気がしているのですが、CheckのCの代わりに入るBが、業務上大切なのかと推察いたしました」と質問した。結局は誤字だったと判明したのだが、知らないことを調べようとする姿勢の表れとして象徴的だった、とあとから聞かされた。

転職活動初期には、面接には出てこないような(もしかすると入社後も会うことはないような)社長、会長、創業者等の名前を記憶してから臨むようにしていたが、一度もそういう固有名詞が面接で飛び出してくることは無かった。それよりは、それらの役職を含む組織構造を把握し、その中での応募ポジションの位置づけを理解しておいた方が、面接においては実際的なのではないだろうか。

会社の沿革なども、把握しておいて損はないが、創業年を暗記することにさほどの意味はないだろう。それよりはメルクマールとなる方向転換を把握しておき、それに関する話題を織り交ぜた方が実践的だと思う。

「頑張って記憶してきました」という情報を出せば、たしかに一瞬面接官は目元だけ笑うものの、それ以上に発展することはなかった。自分の場合にそれよりも効果的なアピールになったのは「表に出ている情報で把握できることは一通り理解しています」だった。

上場企業ならIRに目を通して中長期の戦略をふまえておく、非上場企業でも決算公告を過去に遡って把握して、財務状態の推移を、方向性くらいは知っておく。決算公告が出ていない場合でも、その他に見つけられる情報を拾っておき、場合によっては競合他社の情報をふまえて推定しておく。

そういう大枠が頭に入っていれば、面接本番で頭が真っ白になって情報が飛んでしまう失敗のリスクをかなり抑えられる。

経験業界ならもう一歩踏み込んだ理解と質問もできるだろう。しかし、こちらは未経験業界に踏み込もうとしている人間であり、企業側もそれをふまえて敢えて面接の労を取っている。
であれば、社内の人間よりも確実に不利な「付け焼き刃の記憶」に全振りするよりは、「これまでの経験×スキル×これからの経験」の広がりを予感させるように振る舞えた方が「敢えて業界未経験の中年を採用しようとする理由」として強いだろうと思う。

そういう人材を採りたいと思う採用者に出会えるかどうかは、時の運なのかもしれないが。

この記事が参加している募集

転職体験記

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?