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【音楽文移植】SUPER BEAVERに人生を変えられてしまった

2019年3月に掲載されたSUPER BEAVERに捧ぐ音楽文。
読みにくい部分が多かったので、少しだけ編集した。けれど熱量そのものは変わっていないと思う。
自分の大切な想い詰まっていて、エッセイとして良いものが書けたと思っている。(思いたい)


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SUPER BEAVERに出会って人生が変わった。

2年前のJAPAN JAMだった。初期衝動は美しい、人間であることは美しい、と美しい夕暮れに照らされたステージで歌うSUPER BEAVERに一目惚れ。

沢山の人がいる中で僕はSUPER BEAVERと1vs1になったように感じた。ボーカルの渋谷龍太がオーディエンスに投げかける人差し指が、まっすぐ自分に向けられているような気がした。
初めて出会ったとは思えないほど安心感があって、高揚感。思い出しただけでも熱い気持ちになれる圧倒的なライブだった。


僕は安定した仕事についていた。いわゆる大企業で、給与はしっかり貰えてたし、福利厚生もかなり手厚かったし、公休も有給もキチンと整えられた会社だった。安定した会社だったけれど、やりがいだけは上手く見つけられなかった。
それでも休みになったらこうしてライブを見れるから何の問題もない。休日は趣味に費やした。旅行やライブも好きだったけれど、本を読んだり文章を書いたりすることが凄く好きになっていた。寝る間を惜しんで活字にのめり込んだ。寝不足になりながら働いて稼いだお金で、SUPER BEAVERのCDを買った。


〈燃やす情熱に 価値をつけられるのは あなただけ〉

『ファンファーレ』を聴くとその疾走感から、競走馬が思い浮かぶ。
遠目では爽やかそうに見えても、4本の足は砂を飛ばしながらバタバタと絶えず地面を蹴り続ける。走ることは楽ではない。
けれど走るのが楽しいと思えるなら、それだけで立派な理由じゃないかと、『ファンファーレ』を聴くと思うのだ。


〈あっという間に終わってしまうよ 笑いたいように 笑っていないと〉
『閃光』の3分間が人生で一番好きな3分間かもしれない。たった3分、ただ聴くだけで、勇気がもらえる。
人生は短い。そんなこと分かっていても、むしろ分かっているからこそ、臆病になってしまう。
線香花火を落としたくないばっかりに、じっとして息まで止めてしまう。動かなければ災いもない。
『閃光』は変化を恐れる臆病な心を打ち砕いてくれる大切な曲だ。僕には目の前に敷かれたレールをはみ出す勇気もなかった。なかったはずだった。

大好きなアーティストが心のドアを叩き続けてる。僕はその中に閉じこもって、どこにしまったか忘れた本音を探した。

SUPER BEAVERをみて、こんな曲を歌われ続けて、立ち止まっていられるわけがなかった。自分に嘘がつけるわけがなかった。
心でぶつかってくる彼らを目前にして、本音が見つからないわけがなかった。


僕は彼らに出会って約4年務めた職場を辞め、趣味だった文章を使える仕事に転職した。

給与は下がった。通勤も前職の倍以上の時間が掛かる。どんな切り取り方をしても前職よりも落ちる。唯一、誇れるのは自分が本当にやってみたい仕事にチャレンジしていることだ。

「もったいない」と言葉で言われ、「馬鹿な選択だ」と無言で言われた。
それでも後悔はない。SUPER BEAVERを知ってしまったから。

大好きなアーティストにも自分にも、嘘をつきたくない。SUPER BEAVERに出会って勇気を持てるようになった。


晴れた空や緑の匂い。爽やかな空気を感じると脳内では『予感』のイントロが鳴り響くことが多い。

なんて明るくて強い曲なんだろう。そしてなぜか泣きたくなってしまう。現状がどうであれ、明るい未来が待っているように"思えてくる"からだ。

確信なんてどこにもない。それでもワクワクするという、不確かなで実態のない、ただの予感を信じて歩んでいたい。


SUPER BEAVERは背中を押すというよりも、手を引いてくれるアーティストだ。
目の前に立ち、指針のような役割を担ってくれる。一人きりでは踏み出せなかった一歩目を、共に踏み出してくれる。
何が起きても運命なんかじゃない。
人生を他人に任せず、自分任せで進んでいく大切さと、かっこよさを、前に立ってみせてくれる。

新しい職場までの長い通勤時間に『秘密』を良く聴く。
ライブでシンガロングしている部分を心の中で歌うとそれだけで勇気が湧いてくる。
それはSUPER BEAVERの力強いライブを思い出すからだ。あの合唱は音楽の、そして彼らの力だと思う。
こんなことを書くとSUPER BEAVERは「声をあげた貴方の力だ」と言うかもしれない。

けれど僕の人生が変わっていったのは間違いなく彼らのおかげだ。その場かぎりの関係では終わらないから、僕は変わることが出来たのだ。

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