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麦芽カスを利用したモルトサブレ

ビールの仕込み過程で必ず出てくる麦芽カス。
私たちは小さなブルワリーではありますが、1回の仕込みで出る麦芽カスは約20キロになります。



3TREE BREWERYでは麦芽カスを廃棄処分したことがありません。
以前もお伝えしたことがありますが、茨木市の北端で自然養鶏を軸とした有畜型循環農業をおこなっていらっしゃる清阪Terraceさんへ引き取っていただき、ニワトリたちに食べてもらっているからです。
もちろん、渡した麦芽カスをすぐニワトリが食べられるタイミングばかりではないため、適切な管理が必要です。水分たっぷりの麦芽カスなので、特に夏は傷むスピードも早いです。
清阪Terraceの横峯さんからは、おがくずや米糠などを適宜使用し腐敗を遅らせていると教えていただきました。
大変な手間をかけてもらった上でですが、養鶏に利用していただけることで、私たちがビールをつくることによって環境に与える負荷を少し軽くさせてもらっています。


⁡さて、ニワトリのおかげでホップを含む全ての麦芽カスを利用できていましたが、麦芽カスを人が食べるものへも利用したいと考えていたところ、お菓子屋さんのatさんとご縁がありました。



古典フランス菓子やチョコレートを軸として様々なお菓子作りをされているat。
今は工房のみ構えていらっしゃって無店舗で営業されており、茨木市内で間借りでお店を出されたり、イベントに出店されながら少しずつ力を蓄えていらっしゃるお店です。

当店へはお客様としてご来店されていたのですが、偶然声をかけていただいたのがきっかけで麦芽カスについて相談したところ、トントン拍子に話が進み、モルトサブレとして商品化していただきました。


ただ、麦芽カスをサブレに利用するにもやっぱり手間がかかります。
麦芽カスをオーブンとフライパンの二刀流で乾燥し、そのあと口当たりが良くなる程度まで粉砕してから生地に混ぜるとのこと。
手間をかけ、丁寧に作ってもらっているのです。


そうして出来たモルトサブレはお客様に大好評!
チーズの風味や麦芽の味わいと、程よい塩味がビールのおつまみにピッタリな仕上がり。
姉妹都市である香川県小豆島の醤油を隠し味に使っていて、麦芽の香ばしさを増幅するような相性の良さにatさんのセンスを感じます。


「モルトを使ったフードを今まで色々食べたけど、トップクラスに美味しい!」
そんなふうに言われると私たちまで嬉しくなります。
環境に良いから食べる、ではなく、おいしいからまた食べたくなるというのが商品として本当に大切なこと!



人が生きることは環境へ負担をかけることでもあります。
全てをいきなり良い方向に変えることはできませんが、茨木という街で私たちがビールを作ることが、茨木のなかでプラスになるような循環を今後も探していきたいと思っています。

サポートして頂いたお金は、よりおいしいビールをつくるための研究活動費に充てさせていただきます!