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燃やして探してツアー



ビールには関係ない記録です。
私の好きな、えっちゃんこと橋本絵莉子さんの話です。
※燃やして探してツアーのセットリストなどにも触れるので、嫌な方は読まないでください。



昨日、えっちゃんのライブを観に行った。
えっちゃんがツアー回るのは5年ぶりと言っていた。私がえっちゃんの生歌を聞くのは多分2009年が最後だから13年ぶりだった。
こんなに時が経っていたのか。

記録に残っている最後に行ったチャットモンチーライブ


チャットモンチーのこと。

初めてチャットモンチーを聞いたのは大学生の時。2006年4月に恋の煙を聞いて一気に好きになった。
ライブにもよく行ったし、CDやDVDも持っていた。

右に見切れてるTシャツやタオルもチャットグッズ



だんだんとライブから遠ざかってしまい離れていったけど、チャットモンチーが完結することを知った時、やっぱり寂しくて悲しい気持ちになった。
完結のニュースを聞いた当時私は北海道に住んでいて掛け持ちで仕事をしていたので、ラストライブに行くことが難しかったし、最後まで全力でチャットモンチーを応援した人が観に行ってほしいと思ったので行かないという選択をした。


そして


チャットモンチーが完結して2年後、私は店を持った。
開店前の時間は好きな音楽をかけながら準備をしている
その時、懐かしさで選んだチャットモンチーが、また私の心を揺さぶることになる。



私がチャットモンチーから心離れた理由は色々あった。
1番大きな理由は、その時の私が欲しい言葉や音とは違ったこと。
時が経てば私の生活も価値観が変わるしバンドの方向性や表現したいことも変わる。
チャットモンチーの進んだ方角、景色を、私は一緒に見られなかった。


誰が悪いということではない。
私は今の自分が求める音楽を選んでいるだけ。
彼女らは今の自分が表現すべき音楽を鳴らしているだけ。
リスナーとプレイヤーの求めるものが交わる瞬間が人生で一度あるだけでも奇跡なんだと思う。




さて、久しぶりに聞いたチャットモンチーは、懐かしさでいっぱいになったけれど
ちゃんと聞いたことのない曲もたくさんあった。
懐かしい曲はもちろん何度でもリピートした。
でも、今更だけどあの頃聞かなかった曲も聞きたい。
そう思ってじっくり聞くと、あの頃にはピッタリとはまらなかった音や言葉が妙にしっくりきて
再びチャットモンチーに魅了された。




えっちゃんのソロ活動のこと。


コロナ渦で知ったえっちゃんの活動
ああ、1人になっても歌っているんだな、と思った瞬間胸が熱くなった。
今のえっちゃんの歌を聞きたい。
YOUTUBEを開いて聞いてみたら、懐かしい声。
だけどチャットモンチーの頃とは言葉の置き方が違ったし、音の選び方も違って、
それは「今の」私が、よりかかりたくなる心地よさを奏でていた。


「またえっちゃんの声でたくさんの歌を聞きたい」
そう思って過ごしていた時に届いた嬉しいニュースが
「燃やして探してツアー」。
これは行かないと後悔するぞ。
今、私は必要としているんだ、橋本絵莉子を。


10月17日のこと。

10月17日。
難波ハッチの二階席で私はドキドキしていた。
この日のために休みをとって、朝は夫とアルバムをBGMに朝ごはんを食べた。

えっちゃんはどんな顔でステージにやってくるんだろう。
何の曲から始まるんだろう。


ライブきたって感じするよねハイネケン




19時の開演と同時にステージに登場したえっちゃん。
少し緊張したような、でも笑顔で。
私はその姿を見たときに、また名前をつけようがない感情でいっぱいになった。泣きそうだったけど堪えた。

「脱走しよう」
えっちゃんがそう言って始まった一曲目。
多分、ここにいるみんな、仕事、家庭、日常、いろんな場所から脱走して来てるはずだから
会場に勝手に一体感を感じて嬉しくなった。
でもそれ以上にえっちゃんが歌う姿に嬉しい気持ちがあふれる。


その後も続くえっちゃんのライブ。
20年近く何百回も重ねているはずなのに拙いMC、
ステージに横並びで配置された楽器隊、
誕生日を自分でアピールする39歳、
曲の間に急いでとる飲み物休憩、
みんなで奏でる手拍子、
全部が愛おしかった。


MCで話してくれたこと。
バンドからソロになって、バンドの曲を歌うかどうか問題。
当事者になってこの問題の深刻さに気づいたとのこと。
当事者でない私も充分深刻な問題。


ライブに当選した時、夫に聞かれた。
「チャット時代の曲やると思う?」

あえて考えないようにしていたことだったけど、私は答えた。
「思わない。」「やって欲しいけどね」
「えっちゃんがやりたいと思ってやったら嬉しいし、やらない選択ならそれも受け入れたい」

その問題は誰が何と言おうと全部えっちゃんが決めることで、外野に振り回されず自由でいてほしかった。
それは私の本心だったのに。


えっちゃんが出した答えは
「これからもやろうと思います」
だった。
その瞬間観客席から大きな渦みたいな拍手が起きた。
渦に音はないんだけどそう思ったから言わせて。渦はきっと感情の渦。もしくは鳴門の渦潮かもしれんけど。
大きな渦から拍手の音が聞こえた気がしたんだよ


その言葉のあとすぐに、
たったさっきから3000年までの話を歌ったえっちゃん。
えっちゃんがチャットモンチーだった頃、1人で歌うことを想定してなかったはずの歌。
涙を堪えるのに必死で、私は前しか向けなかった。
周りで誰かも泣いてたかもしれない。
でもそれを見る余裕もなくて、私は私の感情の渦に溺れかけていた。
嬉しい気持ちと、この曲を「あの頃」聴けなくてごめんと思う気持ちと。


あの頃、チャットモンチーのライブに行かなかったのは自分の選択だから。
選ばなかった自分が今の人生を作っているのだから。
あの頃チャットモンチーを愛せなかった自分が、えっちゃんにもう一度チャットモンチーの曲を歌って欲しいなんてずるいこと言いたくないという思いと、でもあわよくばもう一度聞かせて欲しいと思う相反する気持ち。
それらを全て笑ってくれるような、そんな大きななにかに包まれたような。
無理に強がらなくていいんだと思わせてくれた。



続くライブ。
えっちゃんの軽やかなステップも、響く高音も、最後まで途切れることはなかったね。
今日がインフィニティ、one of themで終わる本編。
私はこの2曲はオープニングにやるんじゃないかと思っていたから見事に裏切られた。


アンコールで歌ってくれた余談。
みんな大丈夫だった?私は大丈夫じゃなかった。
波が打ち寄せるみたいにぐっと曲が私の心臓まで近づいてくる感じ。
終わってほしくない〜5番ぐらいまでアドリブで歌って欲しい〜と無理なことを願うほどには心地良い時間だった。


最後の掛け声は
「宝物を!」「探して!」
アンコールのラストにふさわしい、笑顔で終われる曲だった。


帰り道のこと。

夫と晩御飯を食べにお店によった。
何を言えばいいかよくわからなくて、とりあえず夫に聞いてみた。

「今日は何が1番よかった?」

夫は「全部よかったけどね。」と前置きをしてから話してくれた。
インフィニティかっこよかったね。あ、そ、か もよかったよね。
あとやっぱり、チャットモンチーの曲やってくれたのも嬉しかったね。


私は夫の感想に頷いたあと、自分の感想のターンが来ることはわかっていたのに、涙が言葉と一緒に出ようとするからうまく声が出せなかった。
でも夫はライブで泣いてしまった私にも、今涙を堪えているのも気づいていたし。
何から言葉にしたらいいかわからないまま話してもいいかな、と思ってゆっくり声を出した。


おしまい


このノートを書き始めてからあっという間に日々がすぎ、気付けばもう東京でのツアーファイナルが終わってしまっていた。18日から書き始めたのに。

名古屋、東京では恋愛スピリッツを歌ったそう。
さすがに聞きたかったな!?と思ったけれど、チャット時代に何度も聞かせてもらったからいいんだ。

えっちゃん、各地でやさしいライブをありがとう。(大阪しか知らないけど絶対やさしいライブだったはず)
精一杯燃やして、探した。そんな夜だった。

体に気をつけてね。自分らしく過ごしてね。歌いたいことを歌ってね。
えっちゃんの表現したいことを私も共鳴できる未来だったら良いなと思います。


えっちゃんからもらった莫大な多幸感を、自分の店に来てくれるお客さんに還元できるように、わたしは精一杯ビールをつくるしお店を開けるね。
明日も頑張ろう。

サポートして頂いたお金は、よりおいしいビールをつくるための研究活動費に充てさせていただきます!