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ビールのストーリー

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3TREE BREWERYのビール達の背景です。
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記事一覧

ひねもしゅ

ひねもしゅ、というビールをリリースしました。 味の説明はブルワリーSNSにて投稿したので割愛。 収まらない私の割り切れない愛をここに。 20年近く前のことなんですけど、音楽イベントを幼なじみ2人と一緒に開催してました。 16歳、高校生の頃です。 当時ライブハウスに通い詰めてた私たちは、大阪、京都、神戸には色んなバンドがツアーでやってくるのに我が地元である奈良には来ないことが不服で。 来ないなら自分たちで呼べば良いという結論に至り、イベントを主催することにしました。 単細胞

モリシキ

「今までに飲んだことない味。2人らしい味わい。これは森式のビールだね」 私たちが開業するきっかけになったパン屋さん「マルコーブ」で、私たちのビールを飲んでもらった時の言葉が印象的でした。 「らしさ」とはなんだろう。 自分のことには気づけないもので、どんなビールが私たち「らしさ」なのかまだわからない。 でもわからないからこそ面白い。全部答えがわかれば考えることをやめてしまう。 だから私たち「らしさ」をいつも探している。 心が揺れたり、世の中が変化したり、考えも変わったり。そ

二月のナミダ

2021年2月にビールをリリースし無事また2月を迎えるにあたって、1年の思いを詰め込んだ今回のビール。スタイルは小麦を使ったWHEAT SOURです。 小麦の白に心地よく刺さる酸味を意識するたび、まっさらなゲレンデにシュプールをつけるような気持ちよさを思い出します。 太陽の反射が眩しくて目を片方閉じて見た雪景色みたいなわくわく感を、何回飲んでも楽しんでもらえれば。 うれし涙、くやし涙、悲し涙、感涙、言葉にできない思いがあふれるとき、涙はマイナスな存在ではないと思っていま

こたつ記念日

こたつの引力は魅力的。 一度入れば抜け出せなくて、それを笑うように熱を溜め込んで 膨らむこたつの存在感。 冬を冬たらしめるものは寒さではなくて、 あたためてくれる存在の偉大さなのかもしれないし、そうではないかもしれない。 この味がいいね、と君が言った日がサラダ記念日ならば、この冬こたつと再会する日にも記念日を。 やっぱりこたつで食べるのはお鍋がいいよね、なんてうなずきあえば夕飯の献立もばっちり。 買い出しに行く足はスキップ。 冷たい風に揺れるコートの裾、それも良し。

HERE COMES THE BOOM

夫婦でバレーボール観戦が好きで、初めて全日本選手チームの試合を観戦した時のことです。 息をのむ緊迫したラリーを制した時や、選手が連続得点を決めた時に会場に響き渡るノリノリな曲、それがHERE COMES THE BOOMでした。 応援する私たちも高揚させるパワフルなBGMから着想を得て完成したのがこのビールです。 個人的に好きだけどメジャーではないスタイルのビールが、いつか注目されるチャンスが来て、ビールのタイトル通り「ブーム到来!」となることを願って名前をつけました。

ブルーベリーナイツ

ブルーベリーナイツは、1周年記念につくったフルーツサワーです。 レシピを考え始めたのは6月頃だったと思います。 どんなビールをつくればみんな喜んでくれるだろうと、思い浮かべる沢山の顔。 だけどみんないつも「2人がつくりたいと思うものをつくってほしい。」 「どんどんいろんなチャレンジをしてほしい」とおっしゃってくださるので、結局自分たちのやりたいようにやることにしました。 サワーを作りたいという目標は前々からありましたが、単なるサワーではちょっとおもしろくない。 せっかく

Bubble of Life

酸味が大好きな私たちがつくる、初めてのサワーです。 サワーというとケトルサワーという製法がメジャーですが、私たちが今回選んだのはPhilly Sour Yeastという酵母の力で酸味をつける方法です。 この酵母は発酵の過程で乳酸を発生させてくれます。 鬼伝説ビールにいたころには使ったことのない酵母なので、また新たなチャレンジとなりました。 完成したビールは目が覚めるようなしっかりとした酸っぱさで、爽快感が口いっぱいに広がります。 多くのお客さまがサワー未体験。酸っ

帰り道のオレンジ

午前四時七分前、BOY END GIRL、BREAK TIME に続くダークエールです。 引き続き、ビールのスタイルにはこだわらずにレシピをつくっています。 寒い季節の方がダークエールが好まれるイメージですが、汗ばむような季節にも飲みたくなる味わいにしたいと思い オレンジピールを使用することで、ロースト感の中にすっきりした味わいを溶け込ませました。 ダークエールにオレンジピール。 オレンジと黒のコントラストが、夕焼けに染まる帰り道と、その中でどっぷりと影を落とす街並

大作戦

自分の好きな音楽を聴きながら、仲間と一緒に騒いで、ビールを乾杯し、最後はくたくたになりながらも笑顔で帰る一日。 私の夏の風物詩ともなっていた、夏フェスに参加した日のことを思い返しています。 広い敷地会場内にはたくさんの人がいて、その人たちとの共通点は「音楽が好き」ということだけ。 それだけなのに、というかそれだけだからこそ、「その一日が最高になるように」という気持ちでみんながひとつになれるのかもしれません。 音楽を浴びるのはもちろんですが、一体感と高揚感で終始わくわく

BreakTime

茨木市の自家焙煎珈琲店たたらば珈琲さんの豆を漬け込んでつくったコーヒーエールです。 たたらば珈琲さんに初めて訪問したのはちょうど一年前のこと。 私たちがブルワリーを開業しますと伝えると、醸造が始まった暁にはコーヒー豆を使ったコラボビールを作ろう!と、即座におっしゃってくださいました。 オーナー 藤井さんは、茨木というまちに対する思いが会話の端々から感じられる、ローカルな目線から広く物事を捉えている方。 私たちがまだ突き詰められていない「ビールを通して街に何ができる

BACK to theONIYOME

大変遅くなりましたが、大切なビールのお話です。 BACK to the鬼嫁は3TREE BREWERYのプレオープン記念のビールで、 古巣である鬼伝説地ビールとのコラボレーションビールです。 夫が鬼伝説地ビールに勤務していた頃、 レシピをつくった自身初ビールが鬼嫁セゾンというビールでした。 夏にぴったりな、さわやかな酸味と飲みやすさが印象的だった鬼嫁セゾンを大きく変化させたのが BACK to the鬼嫁です。 店のプレオープン日はまだ暑さが止まない9月。 本来であれ

パトリシアとSHY BOY

パトリシアがいうには、それは春のせいだ。 “春の空気が好き。誰にでも優しい春が好き。 反射して光る水面も、色づく木々も、本当は一瞬も見逃したくない。 そんな気持ちにしてくれる春だから、私はいつも外ばかり見ているの。 天気のいい日は尚更うわの空。そんな私のこと、笑って許してね。“ 彼女はいつも陽射しの中にいる。ブロンドの髪をなびかせて。 柔らかな風に乗ってどこへでも行けそうな、つかみどころのなさもパトリシアのいいところ。だからみんなパトリシアのことが大好きで、ひだま

愛に帰結するものづくり

12月に仕込んだビールたちは、コロナに翻弄されながらも無事2月8日からリリースできました。 たくさんの方に飲んでいただけており、本当にうれしく思っています! 完成したビールは4種類。 ビールについて毎日お客さまから質問をいただくので、改めてこちらに記しておこうと思います。 まず、イラストをお願いしたのは大阪のイラストレーター辻野清和さん。 去年の夏からインスタグラムで作品を拝見していてひとめぼれしました。 シンプルながらも温かみのあるイラストで、表現の幅が豊かなと