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【インタビュー第2弾】大沼健太郎さん、

地方自治体勤務
海外ボランティア系、 地方イベント系等4つのサードコミュニティで活動中

■まずは、簡単に自己紹介をお願いします。

 大沼健太郎です。社会人歴は18年目ですね。東京にある民間のシンクタンクでコンサルタントとして17年間働いたあとに、2020年4月から熊本に移住して、地方公務員になりました。趣味はお酒を飲むことと、山登りやカヌーなどのアウトドア活動です。

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■いきなりサードコミュニティから少し逸れてしまいますが、17年間東京でコンサルタントをやって、地方自治体に転職したのはどうしてですか?

  大学時代に政治学を専攻していて、その時からずっと社会と政策をつなげるような仕事をしたいと思っていました。それでシンクタンクに入って、公共系の仕事、たとえば国や地方自治体から委託を受けて、いろんな調査をしたり、政策を作るお手伝いをしたりしていました。
 で、社会人14年目の時ですね、2016年4月に熊本で大きな地震が起きました。当時勤めていたそのシンクタンクが、復興の支援ということで、熊本のある町役場に社員を常駐させることになりました。たまたま縁があって僕が常駐することになりまして、4年間ずっと熊本と東京を往復しながら復興のお手伝いをしていました。熊本で復興支援に携わる中で、地方の現場を知る機会をいただいたことで、「東京でマクロ的な視点で仕事はできないな」、「もう俺は現場でしか働けないな」と思ったんですよね。
 いや、本音を言いますと、東京と熊本を往復する4年の間に、熊本での生活が楽しくなっちゃって、「熊本のファースト、セカンド、サードなくしては、もう俺は生きていけない」と思ったので、「移住しちゃえ」と思ったことが先でしたね。東京でファーストとセカンドしかない生活よりも、熊本のサードコミュニティもある生活のほうが、自分の人生が豊かになるだろうなと思いました。
 「転職したい」というよりは「熊本で暮らしたい」という思いが先にあったので、まず先に移住を決めて、その次に働き先としてそれまで常駐していた町役場に転職することに決めました。

■転職の話はまた後(After Talk)で、ゆっくり聞かせてください。
では、1週間のスケジュールの使い方を教えてください。

  仕事は17時15分が定時で、残業はそれほど多くないので、18時前には仕事が終わることがほとんどです。時間があるので、平日は走るか、泳ぐか、家でサードコミュニティのオンラインミーティングをしていることが多いですね。土日は誰かと遊びに行ったり、サードコミュニティにいろいろと所属しているのでサードコミュニティの活動をしたり。平日も土日も、何かしら予定が入っていますね。

■サードコミュニティにいろいろと所属しているとのことですが、サードコミュニティに入ったきっかけは?

  全部飲み会経由ですねえ(笑)。

■飲み会経由!?

   うーん。なんて言うんでしょう…(笑)。
 サードコミュニティには「社会的な活動」っていう側面があると思うんですよね。でも僕の場合は、今4つやっていますが、どれも友達と遊んでいる感覚なんです。友達が「こういうことやりたい」って言うから、「じゃあやろうぜ」って始まることが多くて。
 「こういう活動をしたい」って探して、見つけて、サードコミュニティに入る人もいると思うんですけど、僕の場合はそういうわけじゃなくて、仲いい人たちと盛り上がって、そのままそういうことをやっていた感じですかね。

■サードコミュニティではどういう活動をしているのですか?

  1つ目はフィリピンの児童養護施設を支援している団体。2つ目が地元の夏祭りの企画・開催。3つ目が防災の勉強会。4つ目は、地球環境問題を通して、地元の大学生と地域を結ぶような活動をやっています。
 今やってるサードコミュニティはその4つですね。

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■本当にいろんなサードコミュニティで活動されていますね。人と人をつなげるのが好きなんですかね?

  いろんな活動をするのに、人によってモチベーションって違うと思いますが、僕の場合は、完全に「人」です。「何をするか」ではなくて、「誰とやるか」ですね。好きな人と一緒に、楽しい時間を過ごしたいんです。活動内容ありきっていう人もいっぱいいると思うんですけど。
 たとえば4つ目に話した、「地元の大学生と地域の人たちをつなぐ」っていうのは、その活動をしている人にたまたま飲み会で出会って、その人から活動の話を聞いて、活動もおもしろそうだったけれど、それよりなにより、その人自身がすごく魅力的だったので、「それおもしろそうですね、一緒にやりたいです」っていう形で入れてもらいました。夏祭りも、やりたいって言う人がいるから、「じゃあやろうぜ」っていう感じでスタートしました。
 子供の時の遊びって、缶蹴りをやりたいからその日遊ぶチームを作るっていうのではなくて、みんなでなんとなく集まって、今日は缶蹴りしようぜとか、かくれんぼしようぜっていう感じじゃないですか。そういう感覚でずっと来てるのかもしれないです。サードコミュニティをわざわざ自分で探したことはないです。

■この4つのサードコミュニティに入ったのはいつ頃からですか。

  2017年くらいですかね。熊本地震があって、2016年から熊本に来るようになってからですね。それより前って仕事がとにかく忙しかったので、そんな余裕はなかったし、週末は基本的にはひたすら寝てるか、休日出勤するかのどっちかというような生活だったので。

■2016年あたりからは余裕ができて、サードコミュニティの活動にも時間を充てられるようになったってことですかね。

  僕はもともと熊本に縁もゆかりもないので、熊本に来た当時っていうのは、熊本のことを何も知らなかったんですよね。東京生まれの東京育ちなので、人も知らなければ場所もわからないって状態でした。でもそれじゃ仕事にならないし、熊本のことを知りたいから、地域のいろんなところに出ていこうっていうのはしていました。だから当時は仕事につなげるってことを意識してたんだと思います。
 「時間や気持ちに余裕ができたからサードコミュニティに入った」というわけではなくて、熊本のことを知りたいから地域に出ていって、そこで出会った人たちと仲良くなって、結果的にいろんな活動をするようになったという感じですかね。

■それでは、サードコミュニティで活動して良かったことや、自分自身がこう変わったことはありますか?

  誰にでも仕事や家族や学生の時の友達といったコミュニティがいくつかあると思いますけど、サードコミュニティでの活動をいろいろやる前の当時の僕は、各コミュニティを完全に分けていました。オン・オフもきれいにばっちり分けてました。仕事上の付き合いの人や職場の同僚とプライベートで会うことなんてなかったし、Facebookで仕事の話なんか書かないですし、Facebookで会社の人とも繋がりませんでした。
 一方で、仕事の話をFacebookにあげていたりする友達がいて、オン・オフの境がない人のほうが人生楽しんでるなあって思ってたんです。常に24時間その人ですと。人にはいろんな顔がある、たとえば父親としての顔、会社員としての顔、趣味サークルの代表としての顔。でもその顔を使い分けるっていうのではなくて、常にその人はその人でしかないっていうんですかね。そういう友人が何人かいて、それがすごく楽しそうだなっていうのは前から思っていました。
 で、僕は熊本来て、今はファースト、セカンド、サードを分けてないっていうのもあって、人生楽しくなりました。いろいろなものの境目がなくなって、24時間俺は俺ですと。それが自分自身変わったところかなあ。
 サードコミュニティに入ってよかったこととしては、いろんな人と出会えたことですね。理念ベースで僕は動いてないですけど、逆に理念ベースで動いている人たちがいて、そういう考え方があるんだ、そういうことを大事にしている人たちがいるんだ、っていうことに触れるのは面白いですね。

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■サードコミュニティで活動している人のイメージを教えてください。

  悪い言い方すると、暇なんだろうなって思います(笑)。僕は今40代で、いわゆる昔の「普通」って言い方をするなら、「普通」の人たちって、結婚して、子どもがいて、会社でもそれなりの立場で、ファーストとセカンドでいっぱいいっぱいなわけですよ。サードのことなんてやってる余裕なんてないはずなんですよね。正直、僕が3つ4つやってるのは、時間とエネルギーを持て余しちゃってるからだと思います。たとえば子どもがいたら絶対そっちで精一杯だろうし、そっちが優先になるんじゃないですかね。だから、他の人たちは分からないけれど、サードコミュニティで活動してる僕自身は暇なんだろうな、って思います。仮に今やってる3つ4つのサードコミュニティがなくなって、「家と職場以外なんもやっちゃだめよ」って言われたら、それはつらいでしょうね。
 ただですね、このあいだ友達に「大沼は生きる力がすごいよね」って言われたんです。それは、バイタリティがあるってことなんだろうなあ、と解釈してます。たとえば仕事と家庭を往復しているだけの人で、その2つがそんな忙しくないって人もいるとは思います。でもそういう人でも、バイタリティがそこまで強くなければ、サードコミュニティに手出さないでしょうし。だから、僕もただ暇なわけじゃない(笑)。
 僕は、たとえば今日一日なんも無かったとなったら、「今日はつまんなかったなあ」って思うんですよね。それは楽しいことでも、つらいことでも、何でもいいんですけど。その日1日の中で、自分の気持ちやテンションに何も変化なくずっと平らというんじゃなくて、なんかさざ波というか、それは大きくても小さくてもいいんですけど、そういう変化というか刺激みたいなものがないとダメなタイプなので。サードコミュニティに所属している人は、そういうのがないとダメな人たちの集まりだと思います(笑)。

■たしかにそういう人が多い気がしますね(笑)。
では、サードコミュニティで活動するにあたって譲れないポイントはなんですか。

  それはやっぱり、「俺が楽しいかどうか」ですかね。活動をしていれば、そりゃイラっとすることとか、寝る時間を削ったりとかあるんでしょうけど、やっぱり「自分自身が楽しいかどうか」ですね。「一人でコツコツと」っていうのはあまり好きじゃなくて、やっぱりみんなとキャッキャキャッキャするのが僕の人生のテーマなので。

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■次に、あなたの人生の格言・目標・座右の銘などを教えてください。

 テーマはさっきの「キャッキャ生きていく」、それに尽きますね。頭悪そうだけど(笑)。
 座右の銘というか好きな言葉で言うと、RHYMESTERっていうHIP HOPグループの曲で出てくる、「俺史上今ベスト更新中」っていう言葉がすごく好きです。せっかく生まれてきたんだし、人生1度しかないんだから、常に楽しくありたいなって思ってます。世の中知らないことばかりなので、いろいろなこと知りたいっていう想いもずっとあるので、いろんなコミュニティに顔を出すのかもしれません。サードコミュニティでいろんなことを楽しむ・知ることで、「自分自身のベストを更新したい」って思ってるのかもしれません。
 ついでに好きな歌でいうと、BON JOVIっていうアメリカのバンドがいまして、その人たちの「Keep the Faith」っていう歌がすごく好きです。日本語に訳すと、「信念を貫け」とか「初志貫徹」とかになるんでしょうけど、それも座右の銘ですかね。

■では最後に、あなたにとってサードコミュニティとはなんですか。

 やっぱり「キャッキャできる場所」ですかね。
 先ほどお話ししたように、僕にはあんまりファースト、セカンド、サードの区別がないので、サードコミュニティとは何かって聞かれると、難しいですけど。学校でいうと部活のような場所でしょうか。家庭があって授業があって、授業とは別でひたすらキャッキャキャッキャ楽しんでやっているっていう感じだと思います。
 あとは、気持ちよくお酒飲める場所ですかね。もちろんワイワイ飲むことも好きですが、飲みながらちょっとまじめなことを話したりする場面もあって、そういうのも含めて僕はお酒の場が好きなので。真面目な話もできる、楽しく盛り上がることもできる、僕にとっては、そのバランスがいい人たちがいるところなんだと思います。思います。

■大沼さんありがとうございました。


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