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🎬The Gift🇺🇸ザ・ギフト(2015)

あらすじ
何度も届く、恐怖(ギフト)。 新天地で幸せな家庭を築く夫婦サイモンとロビンの前に現れた、夫の同級生と名乗る男・ゴード。再会を喜び、二人に「ギフト」を贈り始めるゴードだったが、徐々にエスカレートしていくギフトに、二人は違和感を覚える。やがて夫婦のまわりに異変が起き始め・・・ついに二人はゴードが仕掛けた恐ろしいギフトの真相を知ることになるのだった――

【感想】
「ギフト」っていう言葉がタイトルに入る映画っていくつかあるなぁと何気なく観たら、映像が綺麗で最後まで退屈せず鑑賞できた。
感動したとか励まされるとかそういう映画の良さではなく、残酷な映像を使わずに洗練された場面の中セリフと俳優たちの表情でスリラーやサスペンスの要素を引き出し続けていたところが好い。同じような内容の小説を発表されていたとしても読み続けられたかもしれないが、その場合説明過剰になったりニュアンス次第では気分が悪くなりそうな内容も含まれている。
この映画は、予想外の展開の具合が程よく、監督や製作の趣味に走りすぎたようなよくわからなくなる感じも私はほとんどなかった。回想シーンなどあからさまな映像を使わなくても最後の方は十分理解できるので、思わせぶりで消化不良なラストでもなく、作品として嫌な感情を抱かなかった。
ストーリーとしては、大元のトラブルメイカーと関わってしまった人だけは気の毒。でも、気づいた時点で行動を起こすとか離れるために自分が変わるかしないと泥沼になってしまうことは予測できるから、通り魔殺人のような理不尽さは感じずに済んだ。
ただ、この映画の中で最も若い高校時代の同級生との過去の話は理不尽かもしれない。若気の至りというよりトラブルメイカー張本人の本性が明らかになっていくのだが、初めは調子に乗った先輩が後輩に嫌がらせをしたような印象だった。しかし、直接的な暴力ではないので被害が直ぐ周囲まで認識されることはなく、いつまでも残り続けても擁護もされない。人々の記憶から悪質な言葉だけが消えないまま数年が過ぎる。この段階ではトラブルメイカーの悪意は証明できないけれど、ターゲットにされた方は周囲からの好奇の視線も併せて忘れられないものになる。
しかも、トラブルメイカーの「高校時代のたったひと言の過失」という訳ではなく、その人物が働くようになってからの近年の様子でも充分に卑怯なエピソードが盛り込まれていて、その存在は最も不愉快であった。過ぎてしまって証明しようのない事実関係に固執しなくても現在進行形でトラブルメイカーは問題をつくり出し続けていたので、過去がどうというより現実でも「現在ヤバイ人」というのがよくわかる構成や演出になっていたと思う。
この映画では、事実不明の悪戯な作り話が、少ない言葉から狭いコミュニティにおいて派生してしまったのかトラブルメイカーが誘導したのかまでは説明されていないようだった。トラブルメイカーはその後の人生において自己中心的な物事の捏造に夢中で、学生時代の事柄は過ぎさった沢山の出来事のなかのひとつという位置付けのような気がする。たぶん、トラブルメイカーの過去の言動がある人の心を殺してしまったということなのではないか。
日本でも「火のないところに煙は立たない」というような先人たちの言葉があるけれど、相手を貶めることだけが目的だったり意味不明で混乱するような虚言に手間をかける人がいることは忘れないでいたいと思う。この映画の場合は、仕事上のライバルへの行いと高校時代の出来事とが直接は繋がらないかもしれないが、注意されて痛い目をみる機会がなかった人が傍若無人な振る舞いをし続けるというのは、世代や性別を問わずあり得ることだと感じた。

解説・あらすじ
『パラノーマル・アクティビティ』シリーズなどのヒットメーカー、ジェイソン・ブラム製作のもと、俳優のジョエル・エドガートンが監督を務めたサイコスリラー。幸せに暮らす夫婦が、ある男から執拗(しつよう)にプレゼントを贈り続けられる恐怖を描く。不気味なギフトに翻弄(ほんろう)される夫婦に『ディス/コネクト』などのジェイソン・ベイトマンと、『それでも恋するバルセロナ』などのレベッカ・ホールがふんし、彼らを恐怖に陥れる男をジョエルが演じる。
転居先で幸せな生活を送っている夫婦サイモン(ジェイソン・ベイトマン)とロビン(レベッカ・ホール)の前に、サイモンの高校時代の同級生だというゴード(ジョエル・エドガートン)が現れる。再会を祝いゴードは1本のワインをプレゼントし、その後もたびたび二人を訪ねては贈り物をし続ける。次第にその内容がエスカレートしていき、二人が違和感を抱くようになると、周囲で異変が生じ……。


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