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飲食店未来学43:価格転嫁の極意5つの法則

均一の価格転嫁(値上げ)はダメ

価格転嫁をしたい側は面倒を避けるために一律に価格転嫁したいですね。でもこれは、本当は価格転嫁の効果を100%にする方法ではありません。

なぜならよく売れる商品も、あまり売れない商品も、一律に価格転嫁してしまうと、あまり売れない商品がもっと売れなくなる恐れがあります。また商品により、2%~5%追加の価格転嫁しても売れる商品があります。

価格転嫁の極意の一つは、全体で10%の価格転嫁をする場合は、商品の人気度に応じて、5%~15%あたりの率を1%刻みで振り当てることです。実に面倒ですが、無駄なくより良い結果が得られます。

人気メニューの価格転嫁は二通りある

売れ筋の人気メニューの価格転嫁の方法には二通りの方法があります。ひとつは10%以上値上げしても同じように売れる商品。もうひとつは、この価格までは売れるがこれ以上の価格にすると売れ行きが悪くなる商品です。

この見極めはどこでしているか。それは、「売る側が商品の価値と売価のバランス感を消費者目線でどこまでシビアに判断できるか」です。

購買層の特性を知り、売価に対する反応の予測ができなければ、的を得た価格転嫁は難しいと思います。

私だったら「お客さまの気持ちになればこの価格は納得(我慢)できても、ここまで高い価格では魅力を感じなくなるだろう」と、売価候補ごとに何度も考えます。

価格転嫁はコストダウンとワンセットで行う

食材の値上げが続き、社会の風潮が後押しする従業員の待遇アップも考慮した商品価格の価格転嫁であっても、コストダウンをないがしろにした価格転嫁一本やりでは、お客さまはついてきません。

10%の価格転嫁が必要なら、そのうちの2%~3%はコストダウンで生み出し、残りの8%~7%を価格転嫁分にすべきです。価格転嫁とコストダウンをワンセットで価格転嫁の目標比率を達成しましょう。

コストダウンは商品力をキープして成功させる

どれだけ良い商品で売れ行きが良くても、「商品力を落として商品劣化」させると売価は上がりますが、販売数量が低下して本当の改善にはなりません。

★食材の品質を落としてボリュームを維持する
★品質が同じでもボリュームを小さくする
★本物の食材をやめてダミー食品に変える
★食品偽装をする
★調味や熟成を添加物に大きく依存する など

ではどこでコストダウンするか。それは価格転嫁率を少しでも差出られるために、「どこの何がなくてもしょうがない」と思っていただけるところを見つけるしかありません。小鉢一つ、サラダを30%減らす、サービス行為を省くなど、お客様目線で我慢できるところを無くしてコストダウンします。

よく言われることは、プロは一度食べるとわかり、素人(お客さま)は10回食べるとわかる。結局は、食べて心から満足しない商品は長続きしないのです。

商品ごとの確かな商品力があればこそ、それが価格転嫁のよりどころになっています。

実施時期を選ぶ

価格転嫁の作業が完了してもすぐに実施してうまくゆくとは限りません。ここ3年間の流れを見ると、4月、7月、10月が価格転嫁開始月になっています。

また食品メーカーなどは、年間3回以上の価格転嫁を行い、合計25%もの値上げを行うところもあります。価格転嫁が一巡してさらに価格転嫁を引き起こす状態です。これはこれからも続きます。

飲食店に置いては、売れ行きが良くなる月、わかりやすく言うと、満ち潮が始まる月に価格転嫁メニューに切りかえると、上手く上げ潮にのせられるとイメージしてください。具体的には、3月、4月、5月、7月。観光地の10月です。

<まとめ>
●均一の価格転嫁はダメ
●人気メニューの価格転嫁は二通りある
●価格転嫁はコストダウンとワンセットで行う
●コストダウンは商品力をキープして成功させる
●実施時期を選ぶ

詳しくはこちらのキンドル本(オードリー7著)をご覧ください。

飲食記事の投稿をお待ちしています。とらねこさんとのコラボ企画です。

(了)

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