見出し画像

飲食店未来学59:飲食店の難題は3つ~開業、事業承継、閉店のしかたです

今年2024年度で、私の飲食店コンサル業霊歴も35年間になります。一番がんばって長く感じたのはやはり起業後の10年間。次の10年間は2/3になり、20年を超えれば、惰性の放物線のようにあっという間の30年間でした。

経験して学んできた30年間を振り返ってみると、一番飲食店の仕事で大変なのは、

飲食店の開業(難易度80%以上)
誰しも初めて立ち向かうことなので、経営者自身だけで行った場合の成功率は10%、キャリア10年未満の開業コンサルがサポートして50%、キャリア20年前後以上の方がサポートして80%の成功率ではないかと思います。(自分の履歴から見てもこのような感じです)

飲食店の事業承継(難易度90%以上)
事業承継の担当の方に聞くと、特に親子の事業承継が一番難しいと言います。親だから、子だから、という血縁のこだわりがまとまりにくさにつながっているようです。

この分野の専門家の方に聞くと、年間の成立率は5%くらいということです。身内から他人へという流れも強くなってきているようです。血縁よりも引き継ぐ事業に強い思いがある、高いスキルを有しているということの方が優先されてきていると思います。

*公的な行政がらみの事業承継センターや民間の事業承継支援会社があります。民間の方は特に営利団体としての性格が強い。

飲食店の閉店(難易度70%以上)
多くの人は、賃借契約書の原状回復の条項に従って、内装を全部取り壊し、機材を撤去するために何百万円もコストをかけます。しかも敷金は半分も返ってきません。

キャリアが15年、20年以上ある飲食店コンサルの方であれば、閉店の引き受けも上手にできるはずです。たとえばこんなことを行います。

①機材の売却処分
中古機材であっても、まとめて処分もできますし、個別処分もできます。手間はかかりますが、個別処分の方が高く売れます。

中飛機材の販売業者の方に聞くと、相場の目安は、『使用年数が5年以内の機材であれば、新品の取引実勢価格×20%が目安の金額とのことです。中古の専門業者さんは、まとめてこれを引き取り、廃棄手数料を引き、電気製品のメンテナンスを行い、売れるまで何か月も寝かせる金利分をのせて再販売します。3万円で引き取ったものが4倍、5倍の12万円~15万円になります。

中古品が飛ぶように売れる時代は、新品よりも儲かると言われた時もあります。中古機材には定価がないため、売りやすく儲かりやすいのです。

②従業員の解雇
期限を決めて解雇するだけではありません。就業目途の使いない人には、心当たりに打診して就業あっせんをすることもあります。あるテイクアウトショップ2か所の閉店業務契約を受けた時は、2カ月~3か月かけて、貸主、従業員、機材、お客様対策のすべてを担当しました。

一番は、従業員さんに対し粗略な扱いをしないことです。これには気をつけて配慮するしかありません。閉店はあくまで店の都合ですから。

③肩代わりの経営者を見つける、居抜きで解決する

スケルトン(原状回復)の必要がない
これの撤去費用はとても大きいのです。ある焼肉店が複合施設を撤退する時のスケルトン費用の見積もりは1,000万円でした。現れた同業の居抜き候補さんに1万円で譲渡しました。999万円の儲け。さすがです。

敷金が全額返還される
閉店すると、家賃の6か月分、12か月分の猪金のうち半分以上は返ってきません。しかし、肩代わりの経営者を紹介すると、ほぼ全額の敷金が返ってきます。これも大きな儲けです。

従業員を解雇しなくても済む
業種や業態が変わっても、同じ飲食店であれば、雇用の継続を居抜き条件に加えてもよいと思います。

*これには拘束条件は付きませんから、新たな経営者が後月に変更してもクレームはつけられません。

居抜きの契約の場合は、必ず不動産業者を仲介者として立会させること。後日問題が起こった際に動いともらうためです。

また、居抜き契約の調印は厳禁と引き換えにするのが安全です。金銭の受け渡しを後日に回して契約書にサインをすれば、した方が分が悪くなります


オードリー7は、初めて飲食店を開業する人を応援するために、飲食店開業コンサルタント業に的を絞ります。

(了)

飲食店を良く知らない人でも、安心して開業できるエスコート本です。ほぼ知名度ゼロなのでほとんど売れていませんが、読まれた方には、読みやすい内容です。(オードリー7の著書)



飲食コンサルタント業30年の経験を通じてお知らせしたいこと、感じたこと、知っていること、専門的なことを投稿しています。 ご覧になった方のヒントになったり、少しでも元気を感じて今日一日幸せに過ごせたらいいなと思います!よろしければサポート・サークル参加よろしくお願いします