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学歴社会クソくらえ!広島で出会ったすごい大家族の話

僕はある日の仕事終わり、とある居酒屋に一人で飲みに行きました。
その居酒屋を経営していたママとその家族がとてもすごい人たちで、これが本当の「生きる力」だと感じる出来事があったので、そのことを書きたいと思います。

東京の価値観にうんざりしていた自分

皆さんは自分自身の学歴を気にするタイプですか?
特に有名な大学、有名な会社に行きたい人、すでに入っている人ほど気にする人が多いと思います。
外資コンサル、外資系金融、商社、ベンチャー、港区○○(笑)
確かに優秀で華やかな人は多いのかもしれないが、見栄っ張りで虚栄心の塊のような気がする。

最近、Twitter文学で話題の麻布競馬場さんが出版した『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』という本が話題になっています。
この本は一言でいえば地方から東京へ出てきて、すごい人たちキラキラ人たちと自分を比較しては思い悩み、かと言って地元(東京以外の地方)に残った人たちを見下し、他人の格付けばかりを気にしている人たちの短編小説集です。
物語の登場人物は皆せっかく東京へ来たのに、学歴や勤務先の会社、家柄、居住地で他人と比較しては自分一人で勝手に悩んでいる。

かく言う自分も他人からの格付けを気にするタイプでした。
東京にいた頃は何かと学歴やブランドを気にせざるおえないことが往々にしてありました。
大学生の時はより偏差値の高い大学の人ほど「何かがすごい」、有名な会社から内定を取っている。
社会人になれば、有名な会社、有名な企業の人ほど優秀な人は多いし、ブランド価値が高いので、マッチングアプリでも転職においてもその価値は高いでしょう。

しかし、そのような「他人の格付け」を気にする自分の考えも、広島に来てからは大きく変わりました。

8人大家族全員が個人事業主のママとの出会い

まず僕が働いている会社は国内外でプラントを建設するEPC企業です。
東大卒やMBAホルダーから現場の高卒の方まで幅広いバックグラウンドの方が、それぞれ自分の役割に誇りを持って働いています。
彼らと力を合わせて一つのプロジェクトを完成させたときの達成感は何にも代えがたいです。
そんな世界だからこそ、次第に学歴で人の価値は決まらないというのはだんだんと気が付くようになりました。

そのように考え方が変わる中で、例の居酒屋のママに出会ったのです。
僕はまだ広島に移住したばかりで知り合いもいなければ、土地にあまり詳しくはありません。
そこで色んな個人経営の居酒屋を開拓して、そこの店主とのおしゃべりを楽しむことを趣味にしています。

ママはとても明るくエネルギッシュな人で、居酒屋の仕事を「これは趣味でやってるの、私の生きがいだからここでお客さんに囲まれて死ぬのが憧れ」というほど居酒屋の切り盛りを楽しんでいました。

ママには6人も子供がいて、僕は正直驚きました。
少子化と言われるこのご時世、一人育てるだけでも大学までも教育費を考えると気の遠くなるような額です。
それなのに6人も育てるって、一体どんな家計のやりくりをしているのだろうか?大学までの学費は大丈夫なのだろうか?
僕はお節介にも色々と質問して深掘りしてしまいました。

そしたら、彼ら6人の子供は全員中卒か高卒だとのこと。
もちろん夫婦も高校卒業後にすぐ働き出している。

しかし、なんと彼ら8人家族はそれぞれ「ポータブルスキル」を持ち、家族全員が個人事業主でした。
旦那さんと息子たちは電気工事業、飲食店経営、娘さんたちは芸能活動、ダンサーなど、そしてママはこの居酒屋を経営していました。

全員がどこに行っても生きていけるスキルを持っている、そして家族の仲はとても良く、子どもたちは20代前半で結婚して子どもも生まれている。
家族行事の際は大賑わいでとても楽しい時間だったとのこと。

これは僕にとって価値観が大きく変わる出来事でした。
広島に移住するまで、僕は東京で生まれ育ち、東京の価値観に触れて育ってきました。
大学に入学してからはプライドと向上心の高い優秀な中国人留学生から常に上へ上へ(よりブランドの高い大学、よりブランドの高いキャリアを歩む)という価値観を間近で感じてきました。

その一方で、「他人の格付け」を軸により高い格付けを追い求めることに疑問も感じていました。
いつもすごい人、キラキラ人を見ては自分と比較してブルーな気持ちになる、切り替えて努力をしてもその欲望には際限がない。
そして何より、「この人は○○大だから、この人は○○に勤務しているから~だ」とラベリングする風潮がすごく嫌いでした。

その対極にいるのがこのママたちです。
ママたちの家族はそれぞれ自分の事業を持ち、その仕事を愛し、それぞれが自立した個人としてお互いを尊敬しています。
もちろんママのお店に来る常連さんたちも社長として個人事業主の人、何人かを雇用しているリーダーもいます。

彼らは決して他人が格付けしたブランドには依存しない。
自分に自信があるからこそ、個人対個人で関係を築くことができるし、手に職を持っているからずっと働き続けることができる。

そしてたとえ大学に行かなくても、会社に就職しなくても自分の力で生きていけることを知っているから子どもの教育費がどうこう悩まない。
家族が多い方が楽しくて幸せなのを親を見て知っているし、自分はどこでも生きていけるという自信があるから結婚するのも早い。

彼らのような価値観が今の日本、そして東京が抱える人々の悩みの処方箋になるのではないか?

世の中にはたしかにすごい人はたくさんいる。
でも他人は他人、自分は自分として生き方の軸を持っている。
他人の格付けをものともせず、自分がいる場所・生き方に自信を持ち、人と人との関係を築けるようになれればもっと豊かで不安のない生活ができるようになるのではないだろうか?

僕はママの居酒屋で広島の地酒を飲みながら、ママとの会話から価値観が変わるような大きな学びを得た気がした。
僕もママたちの大家族のように、自分の生業や生き方に自信を持ち、どんな人とも対等で尊敬し合える関係を築けるようになりたい。

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