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『百年経っても読まれる小説の書き方』

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YouTube「百年経っても読まれる小説の書き方」のテキスト版です。YouTubeで放映できない本音もたくさん。
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記事一覧

『8、英語で小説を書こう! きっと誰かが読んでくれる。百年経っても読まれる小説の書き方』

まず言語を翻訳することが、いかに難しいか、ということを考えてみよう。 私がカナダに移住した年、同僚に「日本語でGood morningって何て言うの?」と聞かれ「お早うございますって言うんだよ」と答えると、彼に「じゃあ、どの部分がGoodでどの部分がMorningなの?」と聞かれた。 ほらね、言語ってやっぱり難しい。でも面白い。 『不思議の国のアリス』の冒頭。三人の翻訳者がどう書いたか比べてみよう。 翻訳で不自然な部分を太線にしてみた。 ChatGPTの翻訳はどうか

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『7、あらすじの書き方。百年経っても読まれる小説の書き方』

note創作大賞、ひたひたと締め切りが近付いて来てますよね。 今日は、みんなが苦手な「あらすじ」の書き方。noteの創作大賞がどの様なあらすじを求めているのか、募集要項に正解は書いてないですよね。 ちょっと応募者のあらすじを読んでみたけど、ちゃんと書ける人、いないですね。みんな知らないから書けないのか? 知っているのに書かないのか? これから私が書くものは、創作大賞だけではなく、文学賞一般のあらすじの書き方だと思ってください。 小説を書き終えて、あらすじがすらすら書け

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『5、百年経っても読まれる小説の書き方、説明はしない』

六年前に日本に行った時、ホテルの側に地下鉄の駅があった。ホームに立つと録音されたアナウンスメントが聞こえた。暫らくは気にならなかったけど、そのうち自分は日本語を理解できることを思い出して、聞いていると、なんでも、「改札はホーム中央のエスカレーターで二階に上がったところにあります」というようなことを、延々と一日中毎日繰り返している。聞いていると気が狂いそうになった。 日本に住んでいる友達に、あれはせめて五分に一回にしたらどうだろう、と聞くと、そういうことをすると、不親切だ、と

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『6、百年経っても読まれる小説の書き方、風景描写はしなくていい』

ある方がエッセイに、いつも風景描写をどうやってするか、悩むんですよね、と書いていた。 風景描写はしなくていい。なぜかみんなは小説を書くということが、イコール風景描写をすることだと思っている。 あなたが余計な風景描写をしているうちに、なにが起こるかと言えば、もっとあなたが本当に書かなくてはいけない、大事なことが書いてない。 今、仕上げている新しい小説があって、掌編4,000文字の中で、羽田空港→銀座→新宿→銀座という場所の移動があるけど、私は風景描写なんて一回もしていない

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『4、百年経っても読まれる小説の書き方』

保存版。トートロジーを75連発! で、ご紹介します。 一緒に勉強していきましょう。信じられないようなトートロジーもあるけど、これらは実際に最近投稿された小説の中で見付けたものです。かなり個性的なのもあって、面白いです。形は多少変えてあります。 これを読んだら、トートロジーのことは全て分かるようにしてあります。自分の書いている文章が怪しいな、と思ったら、これを再読してください。 トートロジーがあると、この人の小説はいいけれど、文章の書き方を知らないな、と思われる。完成まで

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『3、百年経っても読まれる小説の書き方』

書きたいことを書いていれば、テーマは自然に、あっちからやって来る。しかし、「書きたいことを書く」のはなぜか非常に難しい。みんな書きたいことを書けばいいのに、わざわざそれを書かない。 誰にだって書きたいことがある筈なのに、書きたいことを書いていないから、途中で書けなくなったり、テーマが見付からなかったりする。 YouTube「百年経っても読まれる小説の書き方」 長編小説を書き終えて、梗概を書いている段階で、ストーリーの不要な部分を全部削っていくと、突如そこに意外なテーマが

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『2、百年経っても読まれる小説の書き方』

私がみんなの小説を読む時、まずここを見る。 最初の四行を読んで、小説が進んでいなかったら、二ページ目の頭の四行を読んでみる。それでも小説が進んでいなかったら、その小説はもう読まない。 最初から最後まで立ち止まって、全く進まない小説を読んだことがある。博士論文を読んでいるみたいだった。全てが「解説」になっていて、されど、それが芸術的であるわけでもなかった。 「小説が進まない」の意味は、最後に私の未発表新作『パトカー』の一部を使ってお話しようと思います。 その次は、意外だ

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『1、百年経っても読まれる小説の書き方』

ソーシャルメディアのどこを捜しても、書いた小説を批評する、という機能が見当たらない。御互いに読み合うことはあるけれども、いいところを緩く褒め合うだけで、ここはおかしいよ、と指摘し合うことはない。 小説を書く人は、人の意見を聞くのを怖がる。小説というのは、自分の内面の一番繊細な部分を使って書くもので、「小説の書き方」という方便は基本的には存在しないから、みんなは自分自身の設計図に従って、小説世界を創造していく。 だから、書いた小説を批評されると非常に傷付く。小説を書くような

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