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この詩(うた)が死なないように

柔らかな新緑を生(なま)の枝から捥ぎ取り
その葉を甘く噛んで詩(うた)を込めた
この広場には午前十時の木漏れ日がよく似合う

苔と腐葉土の蒸した階層を踏み締めて
叫ぶ
叫ぶ
叫ぶ――
湿潤な土地に叫びがしんと吸収されていく

地団駄を踏む
地団駄を踏む
地団駄を踏む――
肩を上下に揺すって呼吸をする

鼻の奥にこびりついた青の匂いを払い
爪の間に青々とした土を詰めながら
噛み跡を付けた葉を、埋葬した
口笛を吹いても小鳥一羽飛んでこない

生命の連鎖も輪廻転生も程遠いことを知り
秋の落ち葉を思いながら
雪の下で大地の栄養となり春の息吹を聞かせるように願った

葉を噛んでは詩(うた)を込め
還らないことを知り
言葉の死を思った

言葉は死ぬのか
このまま死ぬのか
届けなければならない
この詩(うた)が死なないように

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