見出し画像

どんな子どもを対象にした本なのかという話。

こんにちは、平熱です。

この度は、はじめて書いた本にたくさんのご予約ほんとうにありがとうございます。

いよいよ、あと数日で発売です。

ただ、順調な予約数とは裏腹に、ひとつだけご迷惑をおかけするかもしれないことを先に謝っておきます。ごめんなさい。

この本のタイトルには「発達が気になる子」の文字が入っています。

さらに、帯には「発達障害」「グレーゾーン」の文字が入っています。

もちろんこれは、この本における「(メインの)対象となる子ども像」です。

でも、これだとどんな子どもを具体的な対象としているかわかりませんよね。

なにも言ってないのと等しいです。申し訳ありません。

だからと言って、具体的に「こんな子を対象に書きました」なんて言えるわけないのも事実です。

何度もツイートしてるし、本文にもあとがきにも書きましたが、特別支援教育の総本山は「実態把握」つまり「この子はどんな子?」です。

だから、もし「IQがなんたらで知能検査の結果がいくつの自閉症の子に向けて書きました」なんての書いたところでなんの意味もありません。

それだけじゃ、その子はどんな子かわかりません。

もちろん障害の種類や程度によって、ある程度の特性や特徴はあるんでしょうが、それでもやっぱり「自閉症の子のために」「ダウン症の子のために」「ADHDの子のために」…なんてのも書けません。

だから、予約された方の中には「うちの子の役に立つことは書かれてるんだろうか?」と不安になっている方もいるんではないでしょうか。

ハッキリ言います。

役に立つことは書いています。

なぜなら、特別支援教育は全人類に有効だから。

障害の種類や程度に関わらず、いえ、障害の有無に関わらず役立つことは書いてます。

ただ、正直に言います。

ある程度「音声での指示」が通る子どもへのアプローチを中心に書いてます。

もう少し言うと「音声での会話(コミュニケーション)」が基本的に成立する子どもをメインの対象として書いています。あと、ある程度の「文字理解」。

つまり「音声での指示がむずかしい」「音声での会話(コミュニケーション)がむずかしい」「文字の理解がむずかしい」子どもには、役に立つ部分が少ない本かもしれません。

わたしは、知的障害のある子どもが通う特別支援学校の先生です。

今まで「(明瞭な)発語がない」「音声だけではうまく指示が通らない」「文字の理解がむずかしい」そんな子どもたちを何人も見てきました。何人も担任してきました。

そういった子どもたちをサポートする大変さ、指導するむずかしさだって骨身に沁みてわかっています。

どうしても障害が重いことも多いから、いわゆる「発達障害」「グレーゾーン」と呼ばれるような子どもとはまた異なる困りごとや大変さもあります。

高等部に入ってからも、身辺自立をひとつひとつがんばっている子どもだっています。

彼らには、より専門的で分厚い知識やサポートだって必要です。

また、(身体の機能的に)ベッドから起き上がるのがむずかしい子ども、視覚や聴覚に障害や困りごとを抱えている子どもたちにも役に立つことは多くないかもしれません。

今から書く内容に出版社さんから許可をもらっているわけではないんですが、嘘はつけないので書かせてもらいます。

そういったお子さんと生活する大人のみなさんが、少しでも生きづらさを小さくしようとこの本を手に取ろうとするのであれば、キャンセルしたっていいんじゃないかと思います。

わたしはこの本で、そこのニーズに大きく答えられている自信がありません。

当然ですが、買わないでくれなんて言いません。

でも、焦らず予約注文しなくても、本屋で立ち読みしたり、図書館で借りたりして、それでも役に立つと思ってから買ってくだされば十分です。

もちろん、本に書かれている内容や方法を、障害の重い子どもたちに応用できるようにはなっています。

音声や文字ではなく、絵カードや写真、具体物で置き換えればそのまま使えるサポートや支援方法はたくさんあります。

音声や文字に頼らないサポートの方法や考え方もたくさん載せています。

でも、一方で「こんな風に声をかけましょう」と「音声での意思疎通」ができることを前提にしている内容も少なくありません。

その一説を読むたびに「うちの子、ことばの指示わからないんだよな」と、悲しい気持ちになってほしくないんです。

なにかしらの希望をもって手に取ったわたしの本で「なーんだ、ことばがわかる子のことが多いんだ」とガッカリしてほしくないんです。

「発達が気になる子」「障害(特性)の困りごとで苦労している」全員を救える方法なんてあるわけないし、救える本があるわけない。

その中で、「やらないより、やったほうがいいサポート」「知らないより、知っているほうがいい考え方」などを今のわたしのフルパワーで0から7万文字を書きました。

この本を書くときに、編集さんに言いました。

「絶対うまくいく」「絶対によくなる」とか、そういったことは書けませんと。おなじように「鉄則」などの強いことばも削りました。

「絶対に」うまくいくことが、「絶対に」ないことだけは絶対だから。

だって、大袈裟だもん。わたしはそこまで思ってない。

だから、おなじように「知的特別支援学校に通う子ども、(発達)障害のある子どもたち全員におなじだけ有効な本ですよ!」とはやっぱりちょっと言えないです。

繰り返しますが、役に立つことが少なくないのも確かです。

実際にわたしがこの本に書いた、子どもたちを相手に考えたり実践したりしているあれこれは、障害の種類や程度によって大きく変わるものではありません。ベースはおなじ川の水です。

こんな書き方をすると、今度は「音声のやりとりができる子どもには全員効果がある」ような聞こえ方をするかもしれませんが、それだってわかりません。

つーか、そんなことはありません。

でも、このnoteに書いた文章を含め、ひとつだけ自信をもって言えるのは「嘘」「大袈裟」をベースにした断定や、著者のわたしが思ってもない断定や誇張はほんとにひとつもありません。

むつかしい話ときれいごとは一切ありません。

それでも買おうと思ってくれる方は、どうぞ好きなだけ買ってください。5冊でも10冊でも800冊でもどうぞどうぞ。

全体的になんとも歯切れの悪い文章になってしまいましたが、煽って買わせて後悔させるくらいなら、正直に伝えて踏み止まってもらうほうがうれしいです。

煮ても焼いても、あと4日(3月23日)で全国の本屋さんに並びます。みなさんも本屋で見かけた際には(店員にさんに声をかけて)写真の1枚でも撮ってやってください。


サポートしてもらったお金で「特別支援教育に関する本」を購入します。そこで得た知識や情報を、またみなさまに還元します。無理は言いません。2億ください。