見出し画像

編集者さんと本の話。

お待たせしました。お待たせしすぎたかもしれません。

本が出ます。

なんとびっくり

7万文字、すべて書き下ろした正真正銘完全無敵のはじめて世に出す本
が完成しました。

すべて、この本のためだけに。すべて、あたらしく書きました。

ひとりでも多くの人に特別支援教育のかっこよさ、特別支援学校のたのしさを知ってもらうために。

そして、なにより。

発達につまずきのある子どもたちの生きづさらを少しでも小さくできるように。
支える大人たちが、子どもたちと関わっていく上でのヒントにできるように。

平熱として、140文字をはじめて飛び出しました。
大きく大きく飛び出しました。

ちょうど1年まえ

「はじめてご連絡させていただきます。かんき出版 編集部の今駒(こんま)と申します。実は、平熱先生に出版の企画をご検討いただきたく、DMを差し上げました。」

突然、こんな連絡が届きました。

正直、出版にそこまで興味があったわけではなかったのですが、このあとに続く文面がすごくすてきで、一気に興味を惹かれました。

それから電話やメールのやり取りで、どうして平熱と本がつくりたいのか、平熱とどんな本がつくりたいのか、そんなことをやわらかく真摯にあたたかく語ってくれました。

べつに本を出したくてツイートしてたわけじゃない。これをキッカケに有名になりたいわけでもないし、さんま御殿に出たいわけでもない。

本業だってあるし、プライベートも初孫くらい大事にしたい。

それでも、今駒さんには「この人となら」と本をつくる覚悟を固めさせてくれる魅力がありました。いろんなことを犠牲にしてもいいと決意させてくれる人柄がありました。

ツイートじゃ届けられないことを届けられると思いました。ツイートじゃ届けられない人に届けられると思いました。

書き進めていく上で、企画、構成、添削、進行、打ち合わせなど、100を超えるメールのやり取りをして、何度も電話で意見を交換しました。

彼女の日常もたくさん教えてくれました。
大好きなミュージシャンの話や、息子さんとのほほえましいやり取りもメールに何度も載せてくれました。ひとりの人として、とても信頼できました。

もちろんスムーズにいかないこともたくさんあったし、ふたりで頭を抱えたこともたくさんあります。

でも、その度に

「どうやったらもっと読者に伝わりますかね?」
「ここをこうしたらもっとわかりやすくなるかもです!」
「これは保護者さんの役に立ちますね」
「平熱さん、無理しないでくださいね」
「わたし、ひとりの読者として救われてます」

そう言い続けてくれました。

常に、ほんとに常に、まだ見ぬ読者と平熱のことをずっとずっと気にかけてくれました。
常に、ほんとに常に、自分がはじめての読者として触れたあたたかい感想をくれました。

完成したゲラ(完成見本)や図版を見て、他の編集者ならゲンナリするような細かい注文を何度出しても、自分の主張をやさしく伝えてくれながら、わたしのこだわりを極限まで反映してくれました。

だから、言い切れます。この本を書くにあたって、与えられた条件の中で妥協したところは一切ありません。

現時点で、わたしのフルパワーです。

今駒さんは表に出さないからわたしの目や耳に入ることは一切なかったけど、きっと絶対、会社の内外、そして自分自身でえげつないストレスや葛藤、調整のしんどさ、体力的な疲れがあったはずなんです。

そして、出版社として、編集者として、プロとして「たくさん売りたい」のは当然です。ビジネスですから当然です。

でも、それなのに彼女から「売れるために」「売るために」を軸に話をされたことは一度たりともありません。

今駒さんから出てくるのは「読者さん」「困ってる保護者さん」そんなワードばかりです。「売れるために」「売るために」なら、書き手のわたしが迷っていたり自信がなかったりすることも「ズバリ」言い切ったほうがいいのかもしれません。

でも、彼女は言います。

「ズバリ!の答えはいらないです。平熱さんが迷ってるなら迷ってると書けばいいし、自信がないなら自信がないと書いてください」

そう、あっけらかんと言ってくれます。

こんなにもウソがない特別支援教育の本を書かせてくれたことに心から感謝しています。
こんなにも誇張や大袈裟な表現をせずに書かせてくれたことがほんとうにうれしいです。
かっこいい教育書は言います。えらそうな先生は言います。

「こうすれば、子どもは成長します!」
「こうやれば、自己肯定感は伸びるんです!」
「こんな指導をすれば、こんなことができるようになります!」

ズバリ、言い切ります。

でも、わたしには断定ができません。
いつだって、ズバリの解決策は出せません。

だって、そうじゃないって知ってるから。子どもたちは十人十色だから。あの子にバチっとハマった方法が、この子にはかすりもしないことを知ってるから。

ハマる日もあれば、かすりもしない日があることを知ってるから。

今駒さんは、それを全部許してくれました。

「売るために」を脇に置いて、ずっとわたしを支えてくれました。

だから、代わりに言います。

買ってください。

そして、まわりにいる特別支援学校(学級)の保護者さん、学校の先生たち、放課後等デイサービスのスタッフさん、学生さん、お友だち。いえ、全人類に勧めてください。

この文章を読んでくれている人はもう知ってると思います。

平熱の書く文章です。

読みにくいはずがありません。読みやすさしかありません。

教頭にゲラを読ませたときも開口一番「読みやすくて一気に読めた!」と言われたんだから。

え?内容は?

と思わずタメ口で聞き返し減給処分となりましたが、それほどに読みやすい本ができました。

特別支援教育の基本や実例を、むつかしい話やきれいごとは一切なしで、地味にリアルにやわらかく書くことができました。

正直に言います。書いてることが、すべて役に立つわけではありません。すべて有効でもありません。

もしかしたら、役に立たないほうが多いことだってあるかもしれません。

それでも、役に立つことのほうがきっと多いし、なにより何度も読み返せる本が書けました。その自信はあります。

ふだん仕事に家事に子育てに忙しく、なかなか腰をおろして読書なんてする時間のないみなさんに、なるべくストレスのかからない本をつくることができました。

発達につまずきのある子どもたちと関わるとき、教えるとき、話すとき、注意するとき。様々なシチュエーションで活用できる本が書けました。

断定もせず、折り合いと落としどころばかり探っているような弱気でふざけた本です。でも、この本がたくさんたくさん売れることは、大袈裟じゃなくこの界隈をほんの少しポップに色付けてくれると信じています。

これからもわたしは何度だって伝えます。

特別支援教育は全人類に有効だし、特別支援学校は最高です。

かっこいい本ができました。

ぜひ、買って読んでみてください。

感想のリプライやDM、ネット書店でのレビュー、みなさまのSNSでの宣伝に広告、夏休みよりたのしみに待ってます。

これからもマジメにふざけながら、自分なりの表現をしていきます。
どうぞ、飽きるまでお付き合いください。

2023年3月 平熱

サポートしてもらったお金で「特別支援教育に関する本」を購入します。そこで得た知識や情報を、またみなさまに還元します。無理は言いません。2億ください。