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ミクロゲンパスタへの期待

私は全体的に体毛が薄い。
髪の毛は美容師さんからするとごく普通らしいけど
眉毛もまつ毛も多分平均より薄い。
薄いというか毛が細いのかもしれない。


友人にまつ毛がボーボーで
いわゆる堀の深い顔をしている子がいるが
美人で羨ましい。


友人曰くまつ毛だけならいいけど
他もボーボーやけん。

と言っていて
毛が豊かな人はそれはそれで悩みらしく。


私は思春期の時に眉毛が麻呂眉で
かなり悩んでいた。


眉毛の書き方もろくにわからないし
お母さんの化粧ポーチから
黛をちょっと借りて描いてみたりもしたけど
とても変になるし


私がこんなに幼く見えて
モテないのは全部眉毛のせいだ!
と本気で思っていた。


そんな時、ちょっとした事件が起きた。
幼馴染の男子も
同じように薄い眉で悩んでいたはずなのに
なぜか眉毛が少しリッチになっている。
どうしたことか?とめざとい私は
すぐに幼馴染を問い詰めた。


そしたらヤツは
おもむろに、小さなチューブを私に見せてきた。


そのチューブには
「ミクロゲンパスタ」と書かれていて
眉毛や体毛に悩む人への
光ともいえる塗り薬だった。


これだ!
と謎に期待を高めて
私はミクロゲンパスタを手に入れるべく
近所の薬局へ走った。


私はそれからマメに自分の眉毛に
ミクロゲンパスタを塗った。
なんとも言えない匂いは
大人になった今もなんとなく覚えているけど
ミクロゲンパスタは期待通りに
私の眉毛を少しづつ濃くしてくれた。


あんなに悩んでいた麻呂眉も
ミクロゲンパスタのおかげで
一般的な眉になり
麻呂眉ではなくなったのだが
かと言って幼い顔は幼い顔のままだし
モテない私は相変わらずモテなかった。


もう眉毛のせいにできない。


なにも理由にするものがない。


眉毛が原因じゃなかった。


そう、こうやって一つづつ
いろんな現実を知っていき
夢や希望を持たなくなり
期待することも無くなっていくのだ。


だけど、いろんな現実を知った
大人の今だけど
もう一度くらい、夢見て
願望実現に向けて未来を明るくみてみようかな
なんて思い始めている。


そんな時に
謎に思い出したミクロゲンパスタ。
絶対に忘れない名前、ミクロゲンパスタ。


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